3行まとめ
- 2015年10月1日、サラエボでボスニア・ヘルツェゴビナ初の国内IGF「BHIGF 2015」が開かれました。テーマは「すべての人にインターネットを」。登録140人・参加109人という船出です。
- DiploFoundationが導く入門セッション「インターネットガバナンスのABC」と、主催One World Platformによる「インターネットの権利とは何か」の2本柱で、ICANN・欧州評議会・OSCE・RIPE NCCなど国際組織が支援に名を連ねました。
- 紛争後の複雑な統治機構を抱える同国で、政府・規制当局・市民社会・学術が初めて同じテーブルに着いた歴史的な一歩です。この系列は休止と再開を挟みながら現在まで続いています。
こんにちは、中澤です。この記事は BHIGF 2015(ボスニア・ヘルツェゴビナIGF) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | BHIGF 2015(ボスニア・ヘルツェゴビナIGF) |
| 回次 | 第1回(初開催。国連IGFのNRI記録も「ボスニア・ヘルツェゴビナIGFは2015年発足」と記載) |
| 会期 | 2015-10-01 |
| 会場 | サラエボ(会場名は一次資料で未確認) |
| テーマ | Internet for All — ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるインターネットガバナンスの機会と課題 |
| 参加者 | 109(登録140人のうち109人が参加(男性57・女性52)。内訳は政府39・学術35・市民社会23・技術コミュニティ10・民間6・メディア6) |
| 協力・後援 | ICANN・APC・欧州評議会・OSCEメディア自由代表・IGFサポート協会(IGFSA)・DiploFoundation・RIPE NCC・CORE Association |
| 主催 | One World Platform(女性の権利とデジタル権に取り組む市民団体)と通信規制庁(CRA)の共催、外務省後援 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. インターネットガバナンスのABC — 共通言語をつくる入門セッション
取り上げたセッション: セッション「ABC's of Internet Governance」(モデレーター: ヴラディミル・ラドゥノヴィッチ〔DiploFoundation〕、共同モデレーター: アイダ・マフムトヴィッチ〔One World Platform〕)
- 初参加の政府・市民社会・学術関係者に向けて、インターネットガバナンスの基本概念とマルチステークホルダー方式の考え方を国内で初めて本格的に紹介した [1][2][3]
- GISWatchの国別報告によれば、BHIGFはSEEDIG(南東欧IGF)やEuroDIGといった地域の取り組みと世界のIGFに触発されて生まれ、国内のステークホルダー間連携の欠如を埋める狙いがあった [1][2][3]
- 共同モデレーターのマフムトヴィッチ氏はその後、国連NRI記録上のコーディネーターとして2023年の再開も担う、系列の連続性を象徴する人物になる [1][2][3]
2. 「インターネットの権利」とは何か — 人権からガバナンスを問う
取り上げたセッション: セッション「What do you mean by Internet Rights」(モデレーター: ヴァレンティーナ・ペリツェル〔One World Platform〕)
- OSCEメディア自由代表部のデニズ・ヤズジュ氏、欧州評議会メディア・インターネット課のシルヴィア・グルントマン氏、BiH報道評議会のリリャナ・ズロヴァツ氏らが登壇し、表現の自由とメディアの視点からインターネットの権利を議論した [1]
- OCCRP/IMMIのスマーリ・マッカーシー氏、Afiliasのデジレ・ミロシェヴィッチ氏、サラエボ大学のマリオ・ヒベルト氏ら技術・学術側の論者も加わり、国際的な知見と国内の現実を突き合わせた [1]
- 閉会では、ガバナンスの論点を国内の文脈に引き付けることと、メディア・情報リテラシーを教育へ組み込む必要性が確認された [1]
3. 109人の顔ぶれ — 初回が示した参加構造と課題
取り上げたセッション: フォーラム全体
- 参加109人の内訳は政府39・学術35が中心で、民間6・メディア6と経済界と報道の参加が薄く、ビジネスと技術コミュニティの取り込みがその後の課題として残った [1][2]
- 男女比は女性48%・男性52%とほぼ均衡し、女性の権利に取り組む団体が主導する国内IGFらしいバランスとなった [1][2]
- 主催者側は資金と支援の確保を恒常的な課題として挙げており、GISWatch報告は自立可能な運営モデルの必要性を記録している [1][2]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. どんな会議だったの?
A. ボスニア・ヘルツェゴビナ初の国内IGFです。市民団体One World Platformと通信規制庁が共催し、109人が参加しました。「すべての人にインターネットを」を掲げ、ガバナンス入門と人権の2セッションを行いました。
Q. 何が画期的だったの?
A. 紛争後の複雑な行政機構を持つ同国で、政府・規制当局・市民社会・学術が初めて同じテーブルに着いたことです。ICANNや欧州評議会、OSCEなど国際組織も支援に名を連ねました。
Q. 日本に関係ある?
A. 国内IGFの「最初の一回」をどう設計するかの好例です。入門セッションで共通言語をつくり、人権セッションで固有の課題を掘る二段構えは、日本の国内IGF活動にも通じる型です。
Bosnia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Bosnia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2015年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- Bosnia and Herzegovina join global internet governance landscape — APC(進歩的コミュニケーション協会)(参照: 2026-07-11)
- Bosnia and Herzegovina IGF(GISWatch 2017特集号・国別報告、執筆: Valida Hromadzic/One World Platform) — Global Information Society Watch (APC)(参照: 2026-07-11)
- Eastern European Regional Group — NRI records("Bosnia and Herzegovina IGF was launched in 2015 year"・コーディネーター: Aida Mahmutovic) — 国連IGF事務局(参照: 2026-07-11)
- About us – BH IGF(公式サイト: 「2015・2016・2017・2023年に開催」) — BH IGF(bhigf.ba)(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月14日 15時29分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

