IGF República Dominicana 2016(第2回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Dominican Republic IGF 2016 サントドミンゴ — サムネイル

3行まとめ

Dominican Republic IGF 2016 サントドミンゴ — 3行まとめ

  1. 2016年8月23日、サントドミンゴのホテル・リナ・バルセロで第2回ドミニカ共和国インターネットガバナンスフォーラム(II-FNGI-2016)が開かれ、115人が参加しました。主催はISOC-RD(インターネット協会国内支部)です。
  2. LACTLD・LACNICなど地域組織の登壇者を迎え、ネット中立性、インターネット上の人権、若者の参加、電子商取引の4本柱で討議。人権原則の憲章づくりや大学へのサイバーセキュリティ課程設置といった具体的な提案が生まれました。
  3. カリブの小国が予算6,000ドルの手作りフォーラムで政府・通信会社・市民を同じテーブルに着かせた好例です。国内対話の場づくりを考える日本の読者にも、規模より継続が大事だという示唆を与えます。

こんにちは、中澤です。この記事は IGF República Dominicana 2016(第2回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Dominican Republic IGF 2016 サントドミンゴ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 IGF República Dominicana 2016(第2回)
会期 2016-08-23
会場 ホテル・リナ・バルセロ・サントドミンゴ「サロン・ラ・マンチャ」(マキシモ・ゴメス通り×2月27日通り角)
テーマ 地域の共通課題
参加者 115(対面115人(女性45%)、YouTube中継の視聴130。参加国はドミニカ共和国99%のほかウルグアイ・キュラソー・プエルトリコ・パナマ・米国)
主催 ISOC-RD(インターネット協会ドミニカ共和国支部、2014年設立)。会長アンパロ・アランゴ(INDOTEL)、IGFコーディネーターはオスバルド・ラランクエント(INTEC大学)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Dominican Republic IGF 2016 サントドミンゴ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 地域IGFから国内IGFへ — 対話空間を根づかせる

取り上げたセッション: 基調講演+マルチセクターパネル「地域IGFから国内IGFへ:教訓・機会・挑戦」(9:10〜10:30)

  • LACTLD(中南米ccTLD連合)のアンドレス・ピアッサ氏が基調講演し、地域フォーラムの良い実践を国内の対話空間にどう生かすかを提起しました [1]
  • INTEC大学のラランクエント氏、ISOC-RDのワンダ・ペレス氏、規制当局INDOTELのビアニー・ウリベ氏、通信大手CLAROのパトリシア・ソリージャ氏が、各セクターの立場から国内IGFの意義を論じました [1]
  • ISOC-RDは「開放・透明」「包摂」「ボトムアップ」「マルチステークホルダー」「非商業」というIGF原則に沿って公募でテーマを選定したと報告しています [1]

2. ネット中立性 — 2015年から持ち越した国民的議論

取り上げたセッション: パネルII「ネット中立性:2015年の議論の継続」(11:30〜12:30、モデレーター:セサル・ディアス〔LACNIC〕)

  • 地域インターネットレジストリLACNICのセサル・ディアス氏が司会し、同僚のカルロス・マルティネス氏、規制当局INDOTELのルイス・シェッケル氏、通信事業者WIND TELECOMのフェリス・ハケス氏らが登壇しました [1]
  • 国内で検知されたネット中立性侵害の疑い事例とその原因究明が議題とされ、前年の議論を引き継ぐ形で規制側と事業者側が直接対話しました [1]

3. インターネット上の人権 — 憲章づくりが動き出す

取り上げたセッション: パネルIII「インターネット上の人権:プライバシー・表現の自由・安全」(14:00〜15:00、モデレーター:ラウラ・ブレトン〔CIPAF〕)

  • 女性団体CIPAFのラウラ・ブレトン氏の司会で、UASD法学部のアントニオ・メディナ・カルカーニョ氏や市民団体パルティシパシオン・シウダダーナのカルロス・ピメンテル氏らが、憲法・法令がネット上の人権をどう守るかを検討しました [1]
  • 本大会に先立ち「インターネット上の人権原則」を検討するプレイベント(ワークショップ)が開かれ、その成果が本会合で承認されました [1]
  • 討議から「インターネット上の人権原則憲章」の策定、大学へのサイバーセキュリティ課程(学部・大学院)設置、セキュリティとプライバシーに関するイベント開催という3つのイニシアチブが生まれたと主催者は報告しています [1]

4. 若者・女性の視点と電子商取引 — 「私たちが望むインターネット」

取り上げたセッション: パネルIV「私たちが望むインターネット:若者の視点」・パネルV「電子商取引の革新への挑戦」(15:30〜17:00)

  • 若者パネルでは大統領府のアナ・オルテガ氏やSIGユース・オブザーバトリーのアルベルト・フォルトゥナート氏らが、若者と女性を包摂する信頼できるインターネットづくりを論じました [1]
  • 電子商取引パネルには産業商務省・INDOTEL・決済会社CARDNET・Ecommerce.com.doが登壇し、国内デジタルコンテンツの創出と商業化の課題を議論しました [1]
  • 「ドミニカ共和国ではインターネットとICTの課題がこうした公開・多視点の方法論で扱われることがなかった」と主催者は総括し、規制当局や大学からISOC-RD会員への登壇招請が相次ぐ波及効果を報告しています [1]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が決まった会議なの?

A. 何かを決める場ではなく、政府・通信会社・大学・市民が対等に話す国内対話フォーラムです。ただしここから「インターネット上の人権原則憲章」づくりや大学のサイバーセキュリティ課程新設という具体的な動きが生まれました。

Q. 「第2回」ってどういうこと?2016年が最初じゃないの?

A. 違います。初開催は2015年7月で、2016年は第2回(II-FNGI-2016)です。主催者の国連提出報告書に「2015年と2016年に連続開催した」と明記されています。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。参加115人・予算6,000ドルという最小構成でも、規制当局と事業者がネット中立性を公開の場で議論する仕組みは成立する——地域の対話の場づくりを考える上で参考になるモデルケースです。

Dominican Republic IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Dominican Republic IGF 2016 サントドミンゴ — Dominican Republic IGFの位置づけ

Dominican Republic IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2016年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. Foro Nacional de Gobernanza Internet (FNGI) República Dominicana — Reporte 2016 (II-FNGI-2016) — ISOC-RD(国連IGF事務局 filedepot 掲載・西語)(参照: 2026-07-17)
  2. Dominican Republic IGF(国連NRI記録:2015年開始・コーディネーター情報・2016年報告書リンク) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-17)
  3. Programa y Agenda del III Foro de Gobernanza de Internet RD 2017(第1回が2015年7月開催であることを明記) — ISOC-DO (isoc.do)(参照: 2026-07-17)
  4. ISOC-DO dio clausura a cuarto Foro de Gobernanza de Internet de Rep. Dominicana(2019年閉会記事。「2015年以来4回目」と系列の回次を明記) — ISOC-DO (isoc.do)(参照: 2026-07-17)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2026年7月14日 13時48分(記事コンテンツアップ)

— 中澤祐樹