3行まとめ
- 2017年5月16〜18日、コロンボのBMICHで第2回スリランカIGFが開催。テーマは「サイバーセキュリティとより安全なインターネット」で、最終日にはハリン・フェルナンド電気通信・デジタルインフラ相が主賓として出席しました。
- 最大の特筆点は初日に開かれた世界初のWomen's IGF。「インターネットはフェミニズムの課題か?」などのセッションで、ジェンダーとネットガバナンスを国別IGFの正式トラックに初めて据えました。
- 若者向けYouth IGFやSchool of Internet Governance(SIG)も併設され、1日会合だった2016年の初回から3日間の総合フォーラムへと一気に拡大。小国の国別IGFの成長モデルとなりました。
こんにちは、中澤です。この記事は Sri Lanka IGF 2017(第2回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Sri Lanka IGF 2017(第2回) |
| 会期 | 2017-05-16 〜 2017-05-18 |
| 会場 | BMICH(バンダラナイケ記念国際会議場)、コロンボ |
| テーマ | サイバーセキュリティとより安全なインターネット |
| 主催 | インターネットソサエティ・スリランカ支部(ISOC-LK) |
| 特記 | 初日(5月16日)に世界初のWomen's IGF(女性IGF)を併設開催 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 世界初のWomen's IGF — ジェンダーはネットガバナンスの課題か
取り上げたセッション: Women's IGF(5月16日・初日): 「Does Gender Matter?」「Is the internet a feminist issue?」ほか
「インターネットは、ローカルな文脈における女性の選択肢を可能にし、広げる(翻訳)」
— サンチア・ブラウン(Women and Media Collective) [2][5]
- ジェンダー・デジタル格差を単一の問題ではなく、アクセス・経済力・言語などが交差する複合問題として議論。「サイバーフェミニズム」の概念も紹介された [2][5]
- ICTAのチトランガニ・ムバラク議長、雇用者連盟のマニケ・グナラトネ氏、The Grassrooted Trustのパバ・デシャプリヤ氏ら、政府・産業・市民の女性リーダーが登壇 [2][5]
- 女性の声を公共空間とガバナンス機構に反映させる方策を扱い、この形式は後年(2024年の復活大会)にもWomen IGFトラックとして継承された [2][5]
2. サイバーセキュリティとより安全なインターネット — メインテーマ
取り上げたセッション: メインセッション(5月18日)「Cyber Security & Safer Internet Forum」ほか
- ハリン・フェルナンド電気通信・デジタルインフラ相を主賓、ワサンタ・デシャプリヤ次官を来賓に迎え、政府のデジタル政策とネットの安全を正面から議論した [1][4]
- APNICのポール・ウィルソン氏の登壇枠が設けられたほか、調査機関LIRNEasiaやネットワーク運用者会合LKNOGが発表し、技術コミュニティが本格参加した [1][4]
- 国連IGF事務局の枠もアジェンダに置かれ、国別IGFとグローバルIGFの接続が意識された [1][4]
3. SDGsとデジタル権利 — 3日間フォーラムへの拡大
取り上げたセッション: メインセッション(5月18日)「SDG and Internet」「Digital Rights and Multistakeholderism in Sri Lanka」
- 持続可能な開発目標(SDGs)とインターネットの関係、スリランカにおけるデジタル権利とマルチステークホルダー主義が午後の2大セッションとして組まれた [1][3]
- 登壇予定者リストには政府(ICTA・通信規制委員会)、学界、通信事業者、市民社会など30人超が名を連ね、公募フォームでパネリスト・スローガン・テーマまで公募するオープン運営が続いた [1][3]
- dig.watchは本大会の議論領域として表現の自由・人権原則・ネットワークセキュリティ・プライバシーとデータ保護を記録している [1][3]
4. 若者と人材育成 — Youth IGFとSchool of Internet Governance
取り上げたセッション: 併設セッション(5月16〜17日): Youth IGF Sri Lanka、SIG Sri Lanka、Safer Internetワークショップ
- 本会合に先立つ2日間に、若者・女性・障害者それぞれに焦点を当てた並行セッションとスクール(SIG)を配置し、多様な層の底上げを図る構成をとった [1][4][5]
- SIGはISOC Foundationの「Beyond the Net」枠組みの案件として記録されており、国際助成が小国の国別IGFの体力を支えた [1][4][5]
- この「本会合+スクール+特定層トラック」の設計は、のちのLKSIG主催2024年大会(5トラック制)の原型となった [1][4][5]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. そもそも何が決まった会議なの?
A. 決定機関ではなく対話の場ですが、「世界初のWomen's IGFを開いた」という事実そのものが成果です。ジェンダーの議題を国別IGFの正式トラックにする流れは、ここから世界に広がりました。
Q. 一番モメたテーマは?
A. 「インターネットはフェミニズムの課題か?」という問いです。アクセスや値ごろ感の格差を理由に女性の声が軽視されてきた実態と、ネットが女性の選択肢を広げる力の両面が正面から議論されました。
Q. 自分に関係ある?
A. あります。ネットの安全やジェンダー格差はどの国でも共通の課題で、女性・若者・障害者ごとに専用の議論トラックを作るという本大会の設計は、包摂的な会議運営の手本になっています。
Sri Lanka IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Sri Lanka IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2017年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- IGF Sri Lanka 2017(公式サイト・「The Second National IGF」告知とメインセッション議事次第) — IGF Sri Lanka / ISOC-LK(Wayback Machine 2017-05-24取得)(参照: 2026-07-11)
- Women's Internet Governance Forum Sri Lanka 2017: A Reflection — Women and Media Collective(参照: 2026-07-11)
- Internet Governance Forum Sri Lanka 2017 — Digital Watch Observatory (DiploFoundation)(参照: 2026-07-11)
- Internet Society of Sri Lanka to discuss cyber security and safer internet — Daily FT(2017-05-12付)(参照: 2026-07-11)
- Report on IGF Sri Lanka 2024(「world's first-ever Women IGF」と記録) — Lanka School on Internet Governance (LKSIG) / 国連IGF事務局filedepot(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月21日 16時26分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

