FGI-CI 2021(コートジボワールIGF・第2回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Ivory Coast IGF 2021 アビジャン — サムネイル

3行まとめ

Ivory Coast IGF 2021 アビジャン — 3行まとめ

  1. 2021年12月28日、アビジャン・プラトー地区のポステル2001タワーで第2回コートジボワールIGF(FGI-CI 2021)が開かれ、対面120人とオンライン約128人が参加しました。テーマは「暗号資産の勃興は挑戦か、機会か」です。
  2. 起業家が語る雇用創出の可能性と、「国は暗号資産を認可していない」と投資自粛を求める経済警察の警告が正面からぶつかり、閉会式では規制枠組みの整備や国産暗号資産の検討など5者向け勧告を採択。IXP「CIVIX」と.ciドメインの活用も議題になりました。
  3. West Africaの若い市場で暗号資産ブームと規制が衝突する現場を、国内フォーラムが真正面から扱った記録です。暗号資産法制を整えつつある日本の読者には、規制前夜の議論の生々しさが伝わる大会です。

こんにちは、中澤です。この記事は FGI-CI 2021(コートジボワールIGF・第2回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Ivory Coast IGF 2021 アビジャン — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 FGI-CI 2021(コートジボワールIGF・第2回)
会期 2021-12-28
会場 ポステル2001タワー24階(アビジャン・プラトー地区)
テーマ 「コートジボワールにおける暗号資産の勃興 — 経済社会発展への挑戦か、機会か?」(仏語原題: L'émergence de la cryptomonnaie en Côte d'Ivoire, défi et/ou opportunité de développement économique et social ?)
参加者 120(対面120人・オンライン約128人(Zoom・Facebook経由)、事前登録189人。季節性インフルエンザ流行で対面定員を当初想定の150人から縮小(報告書には対面130人とする記載箇所もあり))
開催形態 ハイブリッド(対面+Zoom・Facebook配信)。カタログの旧「Virtual」表記は誤りで修正済み
主催 FGI-CI。コーディネーターはファニー・サリュ氏(健康上の理由で当日欠席)、組織委員長サンドリーヌ・ヨマン氏、副コーディネーターのナデージュ・グエ氏が運営。ユースIGF-CIも参加。デジタル経済・電信・イノベーション省(ロジェ・フェリックス・アドム大臣)が後援
成果文書 閉会式で政府・民間・大学・技術コミュニティ・市民社会の5者それぞれに宛てた勧告を採択(暗号資産の規制枠組み整備、国産暗号資産の検討、ブロックチェーン教育課程の設置、.ci のDNSSEC署名、CIVIXへの相互接続促進など)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Ivory Coast IGF 2021 アビジャン — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 暗号資産は機会か挑戦か — ハイレベルパネル

取り上げたセッション: パネル1「コートジボワールにおける暗号資産の勃興:経済社会発展への挑戦か機会か」(10:00〜11:30、モデレーター:アンジュ・マルシャル・エウラデ〔国営紙フラテルニテ・マタン記者〕)

  • 地場暗号資産企業Biwariの創業者ラシナ・フォファナ氏、Cryptomarket CI創業者アノー・エルマン・ニャムケ氏、情報システムセキュリティコンサルタントのマルシャル・アウイ氏が、雇用創出・事業資金調達・取引の迅速化といった発展効果を提示しました [1]
  • 同時に、詐欺被害の実態、パスワード紛失・ハッキング・価値急落のリスクを参加者に注意喚起し、適切な規制枠組みの整備を強く求めました [1]
  • ブロックチェーンを「改ざん不能な分散型取引台帳」として平易に解説し、一般参加者向けの啓発と政策議論を一つのパネルで両立させました [1]

2. 規制の壁 — 「国は暗号資産を認可していない」

取り上げたセッション: プレゼンテーション「暗号資産の逸脱を避け持続可能性を確保する」(12:15〜12:30、経済警察オデウリ・クドゥ・ブリス警視)ほか

  • 経済警察のオデウリ・クドゥ・ブリス警視は、西アフリカ中央銀行(BCEAO)の規則に照らして国は暗号資産を認可していないと明言し、アグロビジネスやQNETのような雲隠れ型投資詐欺の前例を挙げて投資自粛を求めました [1]
  • 「事故が起きても責任を負う主体がいない経済に投資すべきではない」というのが警視の立場で、国家の保護責任と暗号資産の匿名性は両立しないと論じました [1]
  • 司会のナデージュ・グエ副コーディネーターは、技術の進歩に規制が追いついておらず、暗号資産がすでに交換手段として使われている現実を対置しました。規制当局ARTCIのヤピ・ランドリー氏は、ブロックチェーン自体は銀行・保険・不動産・医療・教育に応用可能な大きな潜在力を持つと補足しています [1]

3. デジタル金融包摂 — VISAとCINETPAYが語る現在地

取り上げたセッション: パネル2「コートジボワールにおけるデジタル金融包摂と社会発展」(12:30〜13:00)

  • VISAの仏語圏・葡語圏西中央アフリカ担当カリジャ・バンバ氏と、地場決済企業CINETPAYの営業・マーケティング責任者ジャン=ロドルフ・アマニ氏が、電子マネー収納・送金ソリューションによる企業支援と行政サービスのデジタル化への貢献を報告しました [1]
  • 国内の一部金融事業者がすでに暗号資産を取引に使っている実態と、暗号資産業者の突然の消滅などサイバー犯罪リスクが併存していることが示されました [1]
  • 取引の追跡可能性と透明性を高めるため全産業のデジタル化を進めるべきで、それには国家の全面関与が必要という点で登壇者が一致しました [1]

4. ローカルインフラ — IXP「CIVIX」と.ciドメインを国民のものに

取り上げたセッション: ローカルイニシアチブ紹介:CIVIX・DNS(13:00〜13:20、規制当局ARTCI)

  • 規制当局ARTCIのアルマン・コフィCIVIX課長が国内IXP(インターネット相互接続点)CIVIXを紹介し、通信事業者・ISP・コンテンツ事業者の相互接続で通信品質が向上すること、CIVIXはIPアドレスを広報するだけで通信内容は見えないことを説明しました [1]
  • 同じくARTCIの.ci担当ランドリー・クアディオ・アッシ氏が国別ドメイン.ciの管理体制(NIC CI、2012年電気通信・ICT法典)と利用の意義を解説しました [1]
  • 閉会勧告には、.ciレジストリのDNSSEC署名推進、DNS良行実践の普及、GSM事業者・ISP・コンテンツ事業者のCIVIX接続とコンテンツ国内ホスティングの促進が盛り込まれました [1]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が決まった会議なの?

A. 拘束力はありませんが、閉会式で政府・民間・大学・技術コミュニティ・市民社会それぞれへの勧告を採択しました。政府には暗号資産の規制枠組みづくりと国産暗号資産の検討、大学にはブロックチェーン課程の設置、といった具合です。

Q. 一番モメたテーマは?

A. 暗号資産の是非です。起業家側は雇用と資金調達の機会と訴え、経済警察の警視は「国は認可していない。投資するな」と真っ向から警告しました。規制前夜の国でこの両論を同じ会場でぶつけたのがこの大会の価値です。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。日本は暗号資産の登録制をいち早く整えた国で、規制がない段階の市場で何が起きるか(詐欺の横行、警察の一律警告、それでも進む利用)はコートジボワールの議論から立体的に見えてきます。

Ivory Coast IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Ivory Coast IGF 2021 アビジャン — Ivory Coast IGFの位置づけ

Ivory Coast IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2021年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. National Internet Governance Forum 2021 — Final Report (Second Edition)(公式最終報告書:日付・会場・参加統計・全セッション・勧告・予算) — FGI-CI(国連IGF事務局 filedepot 掲載)(参照: 2026-07-17)
  2. Côte d'Ivoire IGF(国連NRI記録:年次会合「2021年12月28日・アビジャン」・2021年報告書リンク・コーディネーター情報) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-17)
  3. Cote d'Ivoire IGF 2021(イベント情報。6月16〜18日と記載されており当初予定の可能性 — 実開催日は上記2資料の12月28日を採用) — Digital Watch Observatory (DiploFoundation)(参照: 2026-07-17)
  4. Gouvernance de l'Internet en Côte d'Ivoire — FGI CI édition 2020(第1回=2020年オンライン開催の記録。系列の前史) — Groupe Africa Smart (africasmart.org)(参照: 2026-07-17)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2026年7月13日 8時06分(記事コンテンツアップ)

— 中澤祐樹