第13回 スペイン・インターネットガバナンスフォーラム年次大会(IGF Spain 2023) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Spain IGF 2023 マドリード — サムネイル

3行まとめ

Spain IGF 2023 マドリード — 3行まとめ

  1. 2023年9月26〜27日、第13回スペインIGF年次大会「権利をつなぎ、未来を鍛える」がマドリードのETSIT-UPMで開催されました。
  2. EUのAI法最終交渉を背景に「AIを統治する時間はまだあるか」を討議。OTTのインフラ費用負担、ネット中立性、偽情報、若者のデジタル権利も議題となりました。
  3. OdiseIAやTikTok・Google・Metaの専門家がAI規制の均衡を論じ、締めくくりには「接続された世代」をテーマにYouth IGF Spainの円卓が置かれました。

こんにちは、中澤です。この記事は 第13回 スペイン・インターネットガバナンスフォーラム年次大会(IGF Spain 2023) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

📍 カタログのTBDは「マドリード(ETSIT-UPM)・2023年9月26〜27日」で確定可能。国連IGF京都大会(2023年10月)の直前開催

大会の基本情報(公式発表より)

Spain IGF 2023 マドリード — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第13回 スペイン・インターネットガバナンスフォーラム年次大会(IGF Spain 2023)
回次 第XIII回年次大会
会期 2023-09-26 〜 2023-09-27
会場 マドリード工科大学電気通信工学高等技術学校(ETSIT-UPM)
テーマ 「権利をつなぎ、未来を鍛える」(Conectando Derechos, Forjando Futuros)
セッション数 5(5つの主要セッション(公式アーカイブ集計では9円卓。Youth IGF Spainの円卓を含む))
登壇者数 登壇者50人超
主催 コーディネーターはJorge Pérez。開会にCarme Artigasデジタル化・AI担当国務長官、Guillermo Cisneros UPM学長。UPM・Fundación Telefónica・Fundación Vodafone・Google・Orange・経済デジタル変革省が支援

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Spain IGF 2023 マドリード — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. AIを統治する時間はまだあるか — AI法交渉の最終盤

取り上げたセッション: 円卓「¿Estamos a tiempo de gobernar la Inteligencia Artificial?」(9月27日)

  • ChatGPT公開後最初の年次大会として、生成AIの急速な普及を踏まえた「均衡の取れたAI規制」の必要性と、その倫理的・社会的影響を議論 [1][2]
  • AI倫理団体OdiseIA、Adigital、TikTok、Google、Asociación de Internautasの専門家が登壇。EUのAI法(当時最終交渉中、同年12月政治合意)が念頭に置かれた [1][2]
  • 開催国スペインは当時EU理事会議長国(2023年後半)としてAI法交渉の取りまとめ役だった [1][2]

2. OTT費用負担とネット中立性 — 大手プラットフォームと通信網の均衡

取り上げたセッション: 円卓「La contribución de las OTTs a la financiación de las Infraestructuras」「La neutralidad de red」(9月26日)

  • 前年に続き大手コンテンツ事業者の通信インフラ費用負担(フェアシェア)を討議。Google・Meta・Telefónica・Orange・Vodafoneの代表が規制・持続可能性・事業者とコンテンツ生成者の均衡を論じた [1][2]
  • 通信インフラへの投資確保とネット中立性原則の維持をどう両立させるかが対になる論点として扱われた [1][2]

3. 表現の自由と偽情報 — プラットフォームと報道の責任

取り上げたセッション: 円卓「Libertad de expresión y de desinformación en la red」(9月27日)

  • ネット上の表現の自由の保障と偽情報の抑制をどう両立するかを、プラットフォームの責任と報道機関の役割の両面から議論 [1][2]
  • EUのデジタルサービス法(DSA、2023年8月から超大規模プラットフォームに適用開始)が実務の前提として意識された [1][2]

4. 接続された世代のデジタル権利 — 若者が締めくくる大会

取り上げたセッション: Youth IGF Spain円卓「la generación conectada」(9月27日・閉会)

  • 青少年のデジタル権利の保護が大会テーマ「権利をつなぎ、未来を鍛える」の中核に置かれ、閉会セッションをYouth IGF Spainの若者たちが担った [1][2]
  • Artigas国務長官とCisneros UPM学長は開会で、より持続可能なインターネットを考える場としてのIGFの意義を強調した [1][2]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が決まった会議なの?

A. 決定の場ではありませんが、EU理事会議長国としてAI法交渉を仕切っていた当時のスペインで、「AIを統治する時間はまだあるか」を官民市民が点検した回です。結論は翌月の国連IGF京都大会にもつながりました。

Q. 一番モメたテーマは?

A. AI規制の程度です。生成AIの爆発的普及を前に、イノベーション阻害を恐れる産業界と、倫理・社会影響への備えを求める市民社会・学界の間で「均衡」の位置が争われました。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。この直後に国連IGF京都大会が開かれ、AI統治は広島AIプロセスなど日本主導の議論とも合流しました。EUのAI法は日本のAI事業者ガイドラインにも影響しています。

Spain IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Spain IGF 2023 マドリード — Spain IGFの位置づけ

Spain IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. IGF Spain 2023 – Conectando Derechos, Forjando Futuros — IGF Spain (igfspain.org)(参照: 2026-07-22)
  2. Mensajes del 13º Foro de la Gobernanza de Internet en España(セッション別結論) — IGF Spain (igfspain.org)(参照: 2026-07-22)
  3. Historia de los 10 años del Foro de Gobernanza de Internet Spain — IGF Spain(10周年史, jornadasigfspain.es)(参照: 2026-07-22)
  4. Acerca de IGF Spain(フォーラム概要・コーディネーター) — IGF Spain (igfspain.org)(参照: 2026-07-22)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2026年7月16日 20時34分(記事コンテンツアップ)

— 中澤祐樹