3行まとめ
- 2023年9月12日、ユトレヒトで「NL IGFイベント2023」が開催。80人超が「未来に耐えるインターネットガバナンス」を掲げ、10月のIGF京都大会への準備を兼ねて討議しました。
- Waag協会のMarleen Stikker氏が基調講演で「技術の方向を決めるのは市民を含む社会だ」と提起。DSAの実装、インターネット標準、EU AI法、国連のグローバル・デジタル・コンパクトを分科会で扱いました。
- ICANNのAdam Peake氏が京都大会を予告するなど日本と直接つながる内容で、開催地をハーグからユトレヒトへ移した「移動する国内IGF」の実例にもなりました。
こんにちは、中澤です。この記事は NL IGFイベント2023 — 未来に耐えるインターネットガバナンス を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
📍 開催都市はハーグではなくユトレヒト。NL IGFイベントの開催地がハーグ固定でないことを示す実例
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | NL IGFイベント2023 — 未来に耐えるインターネットガバナンス |
| 会期 | 2023-09-12 |
| 会場 | ユトレヒト(会場名は資料に記載なし) |
| テーマ | Future-Proof Internet Governance: The Power of Multistakeholder Collaboration(未来に耐えるインターネットガバナンス — マルチステークホルダー協働の力) |
| 参加者 | 政府・企業・市民社会・学界から80人超 |
| 主催 | 経済・気候政策省・SIDN・ECPの3者(NL IGFコンソーシアム) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 基調講演 — 技術の行き先を決めるのは誰か
取り上げたセッション: 基調講演: Marleen Stikker(Waag Futurelab創設者)
- Stikker氏は、社会における技術の役割とデジタル化の方向性を主題に、市民を議論に組み込むこと(inclusion)の重要性を強調。技術の設計に公共の価値を埋め込む立場からマルチステークホルダー協働の意味を問い直した [1]
- 「未来に耐える」ガバナンスの条件として、政府・企業だけでなく市民社会・学界を対等に巻き込む体制が全体テーマに据えられた [1]
2. DSAの実装 — 欧州委・業界・司法省が同じ卓に
取り上げたセッション: セッション「Digital Platforms」: Menno Cox(欧州委DG CNECT)・Michiel Steltman(DINL)・Eleonora van Hoorn(司法・安全省)
- 2023年8月に超大型プラットフォームへの適用が始まったEUデジタルサービス法(DSA)の実装課題を、欧州委員会・オランダのインフラ業界団体・司法省の三者が討議 [1]
- 並行セッションではアムステルダム大学のNiels ten Oever氏がクイズ形式でインターネット標準の重要性と影響を解説し、「標準と安定」をガバナンス議題として可視化した [1]
3. AI法とグローバル・デジタル・コンパクト — 二正面のルール形成
取り上げたセッション: セッション「Artificial Intelligence & AI Act」(Lisa Vermeer〈経済・気候政策省〉・Jord Goudsmit〈Considerati〉・Ariën Voogt〈Stichting Algorithm Audit〉)/「Future of Internet Governance」(Alisa Heaver・Jacco-Pepijn Baljet〈外務省〉)
- 最終交渉段階にあったEU AI法の実務影響を、政策担当者・コンサルタント・アルゴリズム監査NPOが検討。生成AI急拡大の年に規制と監査の実装を先取りした [1]
- 国連の動向を扱うセッションでは、グローバル・デジタル・コンパクトとIGFの将来(マンデート更新)を両省担当者が解説。ICANNのAdam Peake氏による京都大会(10月8〜12日)予告と合わせ、国内議論を国際プロセスへ接続した [1]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が決まった会議なの?
A. 決定はしない準備会合です。80人超の議論が翌月の国連IGF京都大会に臨むオランダ勢の共通認識になりました。
Q. 一番の論点は?
A. 「マルチステークホルダー方式は生き残れるか」です。DSA・AI法という強い法規制の時代に、対話型ガバナンスの存在意義が正面から問われました。
Q. 日本に関係ある?
A. 大いにあります。この会合は日本開催のIGF京都大会への直接の準備で、ICANN担当者が京都の見どころを説明しました。DSAやAI法の実装論も日本の制度設計の先行例です。
Netherlands IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Netherlands IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- NL IGF event 2023 – 'Future-Proof Internet Governance; The Power of Multistakeholder Collaboration'(公式ページ・事後記録) — ECP | Platform voor de InformatieSamenleving(参照: 2026-07-23)
- NL Internet Governance Forum(プロジェクト公式ページ: 2023年イベントと年次報告の一覧) — ECP | Platform voor de InformatieSamenleving(参照: 2026-07-23)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年8月1日 18時20分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

