3行まとめ
- 2023年11月23〜25日、ダッカで第18回バングラデシュIGF(BIGF 2023)が開催されました。テーマは「私たちが望むインターネット — バングラデシュのすべての人に力を」、参加者は約400人です。
- 規制当局BTRCとの共催という異例の体制で、国連IGF京都大会の8テーマ体系をそのまま国内化し、サイバーセキュリティ・サイバー犯罪・オンライン安全に焦点を当てました。女性IGFセッションにはAPNICが遠隔登壇しています。
- サイバーセキュリティ法(CSA)成立直後の緊張の中で開かれた、ハシナ政権期最後のBIGFです。規制当局と市民社会が同じ場で議論する形の到達点と限界を、翌年の政変が問い直すことになります。
こんにちは、中澤です。この記事は BIGF 2023(バングラデシュIGF・第18回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
📍 公式イベントページ内で会場表記が2通り併存する。国連IGFの事前告知は「11月2〜4日ハイブリッド開催」で、実際の11月23〜25日とは異なり、事前計画からの日程変更とみられる
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | BIGF 2023(バングラデシュIGF・第18回) |
| 会期 | 2023-11-23 〜 2023-11-25 |
| 会場 | ダッカ(公式ページの開催案内はBTRC庁舎〈アガルガオン行政地区〉、会場欄はYWCAダッカと併記) |
| テーマ | The Internet We Want: Empowering All People in Bangladesh(私たちが望むインターネット — バングラデシュのすべての人に力を)(国連IGF 2023(京都)の8テーマ体系(AIと新興技術/サイバーセキュリティ・サイバー犯罪とオンライン安全/デジタル格差と包摂/人権と自由/インターネットの分断回避/データガバナンスと信頼/グローバル・デジタルガバナンスと協力/持続可能性と環境)をそのまま採用) |
| 参加者 | 400(公式イベントページの参加者欄による) |
| 主催 | バングラデシュ・インターネットガバナンスフォーラム(BIGF)とバングラデシュ電気通信規制委員会(BTRC)の共催。ISOC Foundationが助成(IGFイベント助成 3,500米ドル) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 「私たちが望むインターネット」 — 京都の8テーマをダッカに移植
取り上げたセッション: 全体プログラム(8サブテーマ構成)
- テーマは国連IGF 2023京都大会の「The Internet We Want」を承け、「Empowering All People in Bangladesh」を付して国内化しました [1][2]
- プログラムはAIと新興技術、サイバーセキュリティ、デジタル格差、人権と自由、分断回避、データガバナンス、グローバル協力、持続可能性の8サブテーマで編成され、京都の主題体系をそのまま採用しています [1][2]
- 3日間で約400人が参加し、政府・規制当局・市民社会・技術コミュニティ・若者が一堂に会する国内最大級のIG対話となりました [1][2]
2. 規制当局BTRCとの共催 — サイバーセキュリティ法の年の距離感
取り上げたセッション: 主催体制と開会(BTRC庁舎、アガルガオン)
- この回はBIGFとBTRC(電気通信規制委員会)の共催で、開催案内はBTRC庁舎(アガルガオン)を名指ししました。市民社会主導のNRIが規制当局と全面共催する形は、国内IGFの政府接近を示す実験でした [1][3][4]
- 重点領域はサイバーセキュリティ・サイバー犯罪・オンライン安全で、悪評高いデジタル安全法を置き換えるサイバーセキュリティ法(CSA)が成立した直後という時期に、この主題を規制当局と同じ屋根の下で扱いました [1][3][4]
- 国連IGFの事前告知(11月2〜4日・ハイブリッド)から実開催(11月23〜25日)へ日程が動いており、公式ページの会場欄もYWCAダッカと併記されるなど、運営の流動性も記録に残っています [1][3][4]
3. 女性のIG参画 — APNICが遠隔で語ったフェローシップへの道
取り上げたセッション: Bangladesh Women in Internet Governance Forum セッション
- 併設の女性IGF(BWIGF)セッションにAPNICのシエナ・ペリー氏がオンラインで参加し、インターネットガバナンスとコミュニティ課題への多様な参加の重要性を強調しました [5]
- APNICフェローシップ、APNICアカデミーの研修、コミュニティプラットフォーム「Orbit」という具体的な参加経路が紹介され、女性の技術コミュニティ参画の入口を示しました [5]
- 2022年に確立した子ども・若者・女性の多層トラックの流れを引き継ぎ、包摂を運営構造として維持しました [5]
4. 小さな助成で回る国内IGF — ISOC Foundationの3,500ドル
取り上げたセッション: 運営・資金(ISOC Foundation IGFイベント助成)
- この回はISOC Foundationの「IGFイベント助成」から3,500米ドルの支援を受けました。国内IGFの年次会合が数十万円規模の助成と共催者の持ち出しで成立している実態がうかがえます [4][3]
- 助成記録上の開催予定(9月28〜30日)と実開催(11月23〜25日)のずれは、資金確保から会期確定までの調整の跡を示します [4][3]
- 規制当局との共催・国際助成・企業協力を組み合わせる資金モデルは、南アジアのNRIに共通する持続可能性の課題と工夫を映しています [4][3]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が一番特徴的だった?
A. 規制当局BTRCとの共催です。市民社会が主導してきた国内IGFが、監督官庁と同じ屋根の下でサイバーセキュリティやオンライン安全を議論する、接近と緊張が同居する回でした。
Q. 一番の論点は?
A. サイバーセキュリティ・サイバー犯罪・オンライン安全です。表現の自由への濫用が批判されたデジタル安全法を置き換えるサイバーセキュリティ法が成立した直後で、法の運用が焦点でした。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。この回は国連IGF京都大会の8テーマをそのまま採用しており、京都で交わされた議論がどう各国に降りていくかを示す好例です。規制当局と市民社会の距離の取り方も、日本の官民対話に通じる論点です。
Bangladesh IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Bangladesh IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- 18th BIGF 2023(公式イベントページ: 日程・会場・参加者400人・BTRC共催、Wayback Machine) — Bangladesh IGF(bangladeshigf.org)(参照: 2026-07-17)
- Bangladesh Internet Governance Forum 2023(テーマと8サブテーマ告知、Wayback Machine) — Bangladesh IGF(bangladeshigf.org)(参照: 2026-07-17)
- Bangladesh IGF(NRI会合ノード: 2023年11月2〜4日ハイブリッドの事前告知) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-17)
- 18th Bangladesh Internet Governance Forum 2023(IGFイベント助成記録) — Internet Society Foundation(参照: 2026-07-17)
- Event Wrap: 18th BIGF 2023 — APNIC Blog(参照: 2026-07-17)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月18日 19時41分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹
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