第7回 パラグアイ・インターネットガバナンスフォーラム(IGFpy7・2023) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Paraguay IGF 2023 アスンシオン — サムネイル

3行まとめ

Paraguay IGF 2023 アスンシオン — 3行まとめ

  1. 2023年10月2〜3日、アスンシオンのアメリカーナ大学で第7回パラグアイ・インターネットガバナンスフォーラム(IGFpy7)が開かれ、対面とオンラインで370人超が参加しました。コロナ期3年の空白を経た再開です。
  2. テーマは「より安全なインターネット」。個人データ保護法案、司法における生成AI、経路制御の安全(MANRS)やDNSSECの技術研修、農村部のコミュニティネットワークまで8以上のセッションが並びました。
  3. 2017年に始まった保護法運動が2021年提出の法案審議と重なった当たり年で、市民団体TEDICは法案前進のための総括セッションを主催しました。技術と立法を同じ会場で回す成熟した国内IGFの姿です。

こんにちは、中澤です。この記事は 第7回 パラグアイ・インターネットガバナンスフォーラム(IGFpy7・2023) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Paraguay IGF 2023 アスンシオン — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第7回 パラグアイ・インターネットガバナンスフォーラム(IGFpy7・2023)
回次 第7回(公式登録ページのイベントID「igfpy7」。2020〜2022年の空白を挟む再開回)
会期 2023-10-02 〜 2023-10-03
会場 アメリカーナ大学(アスンシオン)
テーマ より安全なインターネット——パラグアイにとっての課題と機会
参加者 370人超(対面+オンライン。公式の閉会御礼記事による)
セッション数 8セッション超(パネルとワークショップ)
主催 IGFpy組織委員会(総合コーディネーター: リカルド・アベイロISOCパラグアイ会長)。ISOCパラグアイ支部・アメリカーナ大学・TEDIC・APADITなどが共同組織

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Paraguay IGF 2023 アスンシオン — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 包括的データ保護法へ — 6年がかりの運動の中間決算

取り上げたセッション: パネル「Oportunidades y desafíos en la búsqueda de una ley integral de protección de datos personales en Paraguay」(10月3日16:00、アメリカーナ大学講堂。TEDIC共同代表エドゥアルド・カリージョ登壇)

  • TEDICはこのセッションを「マルチステークホルダーによる集合的な振り返りの場」と位置づけ、IGFパラグアイ内で約6年前に生まれたデータ保護連合の作業を総括した [1][3]
  • 2021年に下院へ提出された個人データ保護法案の審議を前進させることが明確な目標として掲げられ、国内IGFが立法プロセスの推進装置として機能した [1][3]
  • パネルには法案起草に関わった専門家・市民社会・官民の関係者が集まり、施行体制や監督機関の設計が論点となった [1][3]

2. 司法と生成AI — ジェンダー視点の「ジャスティス4.0」

取り上げたセッション: パネル「La IA generativa al servicio del Poder Judicial con perspectiva de género y la inclusión」・ワークショップ「Inteligencia Artificial: Justicia 4.0」

  • 生成AIを裁判所の実務に取り入れる際の便益とリスクを、ジェンダー視点と包摂の観点から検討。世界の成功事例が参照された [3][2]
  • ChatGPT公開から1年足らずの時点で、国内IGFが行政・司法のAI導入を正面テーマ化した早い例となった [3][2]

3. 経路とDNSを固める — MANRS・DNSSEC・KINDNSの技術トラック

取り上げたセッション: パネル・ワークショップ「MANRS」「DNSSEC」「KINDNS」「DNS: aceptación universal e IDNs」「Seguridad de datos en Internet」

  • 経路制御の安全性を高める国際的な行動規範MANRS(相互合意に基づくルーティングセキュリティ規範)の講義と実習が行われ、国内ISP・IXP運用者の底上げを図った [3][2]
  • DNSSECの導入研修、DNS運用者向けのベストプラクティス枠組みKINDNS、国際化ドメイン名(IDN)とユニバーサルアクセプタンスのセッションが並び、テーマ「より安全なインターネット」を技術面から支えた [3][2]

4. 農村を繋ぐ — コミュニティネットワークの現在地

取り上げたセッション: パネル討論「Redes comunitarias: experiencia en Paraguay, futuro de las soluciones para zonas rurales y aisladas」・ワークショップ「Cómo montar una red comunitaria」

  • パラグアイ国内のコミュニティネットワーク運用経験を共有し、農村・孤立地域の接続手段としての将来像を討議。実際に構築手順を学ぶワークショップも併設された [3][2]
  • 2014年の第1回以来つづく「内陸国の接続格差」という系列の原点テーマが、住民自身がネットワークを建てる実践論へ具体化した [3][2]

5. 370人の再開 — 空白3年を越えて

取り上げたセッション: 閉会と公式御礼(リカルド・アベイロ総合コーディネーター名義)

  • 公式の閉会御礼は、対面・オンライン合わせて370人超の参加と8超のセッション実施を報告。テーマ「より安全なインターネット——パラグアイにとっての課題と機会」の下で農村接続からAIまでを扱ったと総括した [2][1]
  • 2019年の第6回から2020〜2022年の3年間開催が途絶えた後の再開で、ISOCパラグアイのアベイロ会長が総合コーディネーターとして体制を立て直した [2][1]
  • 会場提供のアメリカーナ大学、TEDIC・APADITら共催団体、モデレーター・登壇者・ボランティアへの謝辞が明記され、多者連携の運営が維持されたことを示した [2][1]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が話し合われたの?

A. 合言葉は「より安全なインターネット」。個人データ保護法案をどう成立させるか、裁判所で生成AIをどう使うか、通信経路やDNSをどう固めるか、農村に住民の手でネットワークをどう作るか——政策と技術の両輪で議論されました。

Q. なぜ4年ぶりだったの?

A. 2019年の第6回のあと、コロナ禍で2020〜2022年は開催が途絶えました。2023年の再開では370人以上が参加し、規模の面でも過去最大級の回になりました。

Q. 日本に関係ある?

A. 国内IGFを「法案を前に進める場」として使う運用が最大の見どころです。市民団体の連合が6年かけて法案提出まで到達し、その審議促進をIGFの場で公開総括する——政策対話の実装例として学べます。

Paraguay IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Paraguay IGF 2023 アスンシオン — Paraguay IGFの位置づけ

Paraguay IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. Internet Governance Forum – Paraguay 2023(共催団体TEDICの告知: 10/2-3アスンシオン・データ保護セッションの狙い・登録リンクigfpy7) — TEDIC(参照: 2026-07-23)
  2. ¡Muchas gracias!(公式の閉会御礼: 参加370人超・8超セッション・テーマ・会場・謝辞。アベイロ総合コーディネーター名義) — IGFPy(igf.org.py)(参照: 2026-07-23)
  3. Panel: Oportunidades y desafíos en la búsqueda de una ley integral de protección de datos personales en Paraguay(公式セッションページ。同時期公開の各セッションページにMANRS・DNSSEC・KINDNS・司法AI・コミュニティネットワーク等) — IGFPy(igf.org.py)(参照: 2026-07-23)
  4. Internet Governance Forum(公式サイトの系列沿革: 2014年初開催) — IGFPy(igf.org.py)(参照: 2026-07-23)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2026年8月9日 14時02分(記事コンテンツアップ)

— 中澤祐樹