3行まとめ
- 2025年9月15〜16日、ボゴタのEAN大学で第12回コロンビア・インターネットガバナンスフォーラムがハイブリッド開催されました。初日は第4回Youthサミットと5実習、2日目は5パネルの本会合です。
- 議題はAIガバナンス(国家政策CONPES 4144)、コミュニティ接続と周波数のコモンズ論、視覚障害者の金融アクセシビリティ、子どものデジタル安全法(2025年法2489号)、そしてガバナンス自体の総括。結論は成果文書「Mensajes」として公表されました。
- 12年続いた対話を「テーマ別作業部会」による通年活動へ発展させると宣言した転換点の回です。ろう者向けオンライン詐欺対策の実習など、包摂の実践も一段と具体化しました。
こんにちは、中澤です。この記事は 第12回コロンビア・インターネットガバナンスフォーラム(FGI Colombia 2025) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 第12回コロンビア・インターネットガバナンスフォーラム(FGI Colombia 2025) |
| 会期 | 2025-09-15 〜 2025-09-16 |
| 会場 | EAN大学 フンダドーレス講堂(ボゴタ、フンダドーレス棟 Carrera 11 # 78-47) |
| テーマ | 地域の共通課題 |
| 開催形態 | ハイブリッド(現地+Zoom・YouTube配信) |
| 主催 | Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet(フォーラム・コーディネーター: Julián Casasbuenas G.〈Colnodo代表〉) |
| 成果文書 | 成果文書「Mensajes centrales y conclusiones del 12 Foro Colombiano de Gobernanza de Internet」(公式サイトでPDF公開) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. AIガバナンス — CONPES 4144を「参加型」で実装できるか
取り上げたセッション: セッション4「¿Cuál es la IA que queremos para Colombia?」(9月16日、モデレーター: Umut Pájaro Velásquez, ISOCコロンビア支部会長)
- 国家AI政策CONPES 4144を出発点に、「国・企業・学術・市民社会の全セクターを巻き込み、国際的な良慣行を盲目的に模倣せず学ぶ参加型ガバナンス機構」の創設が課題として提起されました(成果文書) [1][2]
- 「専門家だけの議論にしないため、各人口集団のマッピングと能力形成が先決」「参加型ガバナンスなしの公共政策は実効性を失い誤りを犯す」と結論づけられました [1][2]
- 登壇は中南米インターネット協会ALAIのパブロ・ニエト、フンダシオン・コロナのディアナ・ダヘルら。AIの影響領域として民主主義(偽情報・資金詐欺)、健康、データ保護、著作権が挙げられました [1][2]
2. コミュニティ接続 — 周波数を「コモンズ」として再定義する
取り上げたセッション: セッション2「Conectividad Comunitaria en Colombia」(9月16日、モデレーター: Olga Paz, Colnodo)
- 「周波数(スペクトル)は経済的資源としてだけでなく、包摂と社会的厚生を生む公共財(bien común)として理解すべきで、競売・コンクール以外の割当モデルを検討すべき」と成果文書に明記されました [1][2]
- 規制の前進として、コミュニティ固定インターネット(ICF)を制度化したMinTIC政令1079号(2023年)とCRC決議7712号(2025年)の差異化された条件が確認されました [1][2]
- カウカ県の先住民自治区の共同体網「Jxa'h Wejxa(風の網)」の担い手、MinTIC、周波数庁ANE、ICESI大学、Nokiaが同席し、900MHz帯の活用やFUTIC基金へのアクセス、エネルギー面まで含む持続可能性が議論されました [1][2]
3. 子どものデジタル安全 — 2025年法2489号の実装と共同責任
取り上げたセッション: セッション5「Entornos digitales seguros」(9月16日)
- 子ども・青少年のデジタル安全を保障する2025年法2489号の実装が主要議題となり、「国・民間・市民社会・家庭の共同責任(corresponsabilidad)で進め、技術革新と権利保護を均衡させるべき」と結論づけられました [1][2]
- 横断軸としてのデジタルリテラシー、早期警戒システム、地域格差の認識、障害者や多様な文化的文脈への差異化アプローチが「真に安全なデジタル環境」の要件として列挙されました [1][2]
- 初日の実習には「ろう者へのオンライン詐欺」対策講座が置かれ、安全議題を具体的な当事者集団に落とし込みました [1][2]
4. 視覚障害者の金融アクセシビリティ — 点字ATMからCAPTCHAまで
取り上げたセッション: セッション3「Accesibilidad para el consumidor financiero con discapacidad visual」(9月16日、デジタルウェルビーイング作業部会)
- デジタル金融サービスの障壁として、ウォレットアプリ・クレジットカード・視覚情報のみのATM・窓口対応の共感不足が当事者から具体的に列挙されました [1][2]
- 勧告としてWCAG 2.1準拠、ボタンのラベリング、CAPTCHA等のセキュリティ障壁の除去、カードの触覚マーカー、点字キーボードと柔軟な操作時間を備えたATM、行員研修が成果文書に記録されました [1][2]
- アクセシブル技術企業CODACの共同創業者ら障害当事者が登壇し、「規範の前進はあるが普遍的アクセシビリティにはなお遠い」と総括されました [1][2]
5. 12年目の総括 — 対話を「作業部会」で通年化する
取り上げたセッション: セッション1「Visiones y reflexiones de la Gobernanza de Internet en Colombia」(9月16日、モデレーター: Adriana Castro, エクステルナード大学)および閉会総括
- 開会各挨拶は「ガバナンスは全ステークホルダーの意思の総和としてのみ成立する」との認識で一致し、地方参加の拡大、若者・ジェンダー視点、組織化されたコミュニティの承認が課題として挙げられました(成果文書) [1][2][3]
- 意味あるアクセス、安全なデジタル環境、ガバナンスの定着、AI、偽情報の5つの通年作業部会の設置が発表され、単発イベントを超えた対話の常設化が打ち出されました [1][2][3]
- .COインターネットのエドゥアルド・サントヨ、Karismaのピラール・サエンスら草創期からの担い手が登壇し、「インターネット規制の立法前には広範で参加型の討議が必要」「参加アクターは自らの動機に透明であるべき」との結論が記録されました [1][2][3]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が決まったの?
A. 拘束力のある決定はありませんが、結論を成果文書「Mensajes」として公表し、AI・偽情報・意味あるアクセス・安全なデジタル環境・ガバナンス定着の5つの作業部会を常設化しました。年1回のイベントから通年の対話体制への転換宣言です。
Q. 面白い論点は?
A. 「電波(周波数)はコモンズだ」という議論です。先住民コミュニティが自前で運営する「風の網」の担い手が規制当局やNokiaと同席し、競売以外の周波数割当や900MHz帯の活用まで踏み込みました。
Q. 日本に関係ある?
A. 子どものSNS利用規制(法2489号)や視覚障害者の金融アプリのアクセシビリティは、日本でも同時期に議論が進む論点です。当事者を壇上に置いて結論文書まで残す運営は、そのまま参考になります。
Colombia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Colombia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2025年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- Mensajes centrales y conclusiones del 12 Foro Colombiano de Gobernanza de Internet(成果文書PDF: 全5セッションの登壇者・結論) — Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet (gobernanzadeinternet.co)(参照: 2026-07-22)
- Mensajes del Foro Colombiano de Gobernanza de Internet 2025(成果文書の公式掲載ページ) — Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet (gobernanzadeinternet.co)(参照: 2026-07-22)
- Foro de Gobernanza 2025 — Acerca del 12º Foro Colombiano de Gobernanza de Internet(会期前公式サイト: 会場・日程・テーマ・Youthサミット・タラー) — Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet(Wayback Machine 2025年9月4日スナップショット)(参照: 2026-07-22)
- Foros anteriores(第XII回=2025年9月15-16日・Universidad EANの記録) — Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet (gobernanzadeinternet.co)(参照: 2026-07-22)
- Mesa Colombiana de Gobernanza de Internet(2025年第12回のEAN大学開催・コーディネーターJulián Casasbuenas・NRI公認の記録) — Colnodo(Wayback Machineアーカイブ)(参照: 2026-07-22)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月12日 20時25分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

