こんにちは、中澤です。
日本に住んでいると「ネットがない生活」は想像しづらいかもしれません。でもアジア太平洋地域ではまだ数億人がインターネットを使えていない のが現実です。AprIGF 2025 カトマンズ大会では、この「デジタル格差(デジタルデバイド)」をどう埋めるかが円卓会議でじっくり議論されました。
会場の雰囲気(公式写真より)
そもそもデジタル格差って何?
「デジタル格差」と一言で言っても、実は 3つの段階 があります。
- 接続格差 — そもそもネット回線がない
- スキル格差 — 回線はあるが使いこなせない
- 活用格差 — 使えるが仕事や学習には活かせない
途上国では①の解決が先、先進国では②③が問題。アジア太平洋にはすべての段階の人がいるのが特徴です。
アジア太平洋の現状 — 数字で見る
2025年時点で、アジア太平洋全体のインターネット利用率は 約66%。世界平均より少し高いですが、国別のばらつきが極端 です。
| 国・地域 | 利用率(概数) |
|---|---|
| 日本・韓国・シンガポール | 90%以上 |
| 中国・タイ・マレーシア | 70〜85% |
| インド・インドネシア | 50〜60% |
| ネパール・バングラデシュ | 40〜50% |
| 太平洋島嶼国の一部 | 30%未満 |
地域全体の「平均」だけを見ると見えない、国をまたいだ深い溝 がここにあります。
格差が生む具体的な問題
ネットにつながれないと、単に「不便」では済まない問題が次々起きます。
- 子どもがオンライン授業を受けられず、教育の差が広がる
- 小規模事業者がECにアクセスできず、経済機会を失う
- 医療・行政のオンライン手続きが使えず、サービス差別が固定化
- 災害時に情報が届かず、被害が拡大する
コロナ禍で一気に顕在化したこの問題は、ポストコロナでも解消していません。
AprIGF 2025 で議論された解決策
セッションでは、立場を超えて次の4つの方向性が共有されました。
- インフラ整備 — 衛星インターネット(Starlinkなど)と地上回線の組み合わせ
- 手頃な料金 — 所得に見合ったプラン設計を政府が後押し
- 地域コミュニティ主導 — 小さな村で住民自身がWi-Fiを運用する "コミュニティネットワーク"
- スキル教育 — 子どもから高齢者まで、世代別のネットリテラシー教育
とくに コミュニティネットワーク は、トップダウンで届きにくい山間地域で急速に広がっており、ネパールの事例が多数紹介されました。
日本にも関係する?
「日本はもう99%以上がネットつながるし、自分には関係ないよね」——そう思いがちですが、日本にも 国内デジタル格差 があります。
- 高齢者のスマホ操作スキル
- 離島・山間部の通信品質
- 障害者のアクセシビリティ
- 外国人住民の言語バリア
AprIGFでアジア各国の取り組みを知ることは、日本国内の格差を埋めるヒント にもなります。
まとめ — "誰も取り残さない" をどう実装する?
SDGs(持続可能な開発目標)にある 「誰も取り残さない(Leave No One Behind)」 は、インターネットの世界では "まずつなぐこと" から始まります。AprIGF 2025は、その実装を真剣に議論する場でした。日本IGF支援機構では、次の記事でもAprIGFの別セッション(プラットフォームガバナンス)を紹介します。
関連リンク
- AprIGF 2025: https://aprigf.org.np/
- AprIGF 公式: https://ap.rigf.asia/
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/aprigf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年4月28日 19時12分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

