AprIGF 2025 カトマンズ大会レポート — アジア太平洋のネットを語る5日間

AprIGF 2025 カトマンズ — サムネイル

こんにちは、中澤です。

IGFには "世界大会" のほかに、地域ごとの "地区大会" があります。アジア太平洋では AprIGF(Asia Pacific regional Internet Governance Forum) が毎年開催され、2025年はネパールの首都 カトマンズ で行われました。この記事では、AprIGF 2025でどんなことが話題になったかを全体俯瞰でまとめます。

会場の雰囲気(公式写真より)

AprIGF 2025 カトマンズ — AprIGF 2025 Kathmandu セッション風景
引用元: APrIGF Kathmandu 2025 Official Site

AprIGFって何? なぜアジア太平洋なの?

AprIGF 2025 カトマンズ — AprIGFの位置づけ

AprIGFは2010年から毎年開催されている アジア太平洋地域のIGF です。アジアには日本・中国・韓国・インド・東南アジア諸国・太平洋島嶼国など、人口・文化・経済レベルが大きく異なる国々 が並びます。グローバルIGFでは話せない "アジア特有の" 論点を深掘りできるのが持ち味です。

グローバルIGFが「世界の共通ルール」を話すなら、AprIGFは「アジアならではの事情」を話す場、と考えるとわかりやすいです。

2025年のテーマとサブテーマ

AprIGF 2025 カトマンズ — 2025年テーマ

AprIGF 2025の大テーマは 「The Future of Multistakeholder Digital Governance in Asia Pacific(アジア太平洋のマルチステークホルダー型デジタルガバナンスの未来)」。5つのサブテーマで議論されました。

  1. Security & Trust(安全と信頼)
  2. Resilience(回復力)
  3. Innovation & Emerging Technologies(イノベーションと新技術)
  4. Sustainability(持続可能性)
  5. Access & Inclusion(アクセスと包摂)

「Resilience(回復力)」がサブテーマに入っているのがAprIGF 2025の特徴。災害・停電・サイバー攻撃に強いネットをどう作るか、という実務的な議論が多く行われました。

5日間でよく話題に出た議論 TOP5

AprIGF 2025 カトマンズ — 頻出トピックTOP5

AprIGF 2025で特に多く取り上げられたトピックは次の5つ。

  1. デジタル格差の解消 — アジア太平洋は最もネット接続率の差が大きい地域
  2. プラットフォームガバナンス — アジア発のSNSや越境コンテンツの規制
  3. ファクトチェック連携 — アジア域内でフェイク対策を束ねる動き
  4. エコインターネット — データセンターの電力・水消費をどう減らす
  5. インターネット分断(Splinternet)への対応 — 国境でのネット遮断

とくにデジタル格差はネパール開催ということもあり、"まだネットに触れたことのない人が身近にいる国の視点" が前面に出ました。

日本からの参加と発表

AprIGF 2025 カトマンズ — 日本からの参加

日本からはJPNIC、総務省、大学研究者、企業、市民団体、そして若者グループ(Japan Youth IGF関係者)が参加。以下のような議題に貢献しました。

  • アジア地域のファクトチェック連携(日本のファクトチェック機関も登壇)
  • 災害時のネット確保(能登半島地震の経験を共有)
  • 児童の安全と生成AI(日本国内の議論をアジアに発信)

「日本は災害ベース・先進国型の課題を提供できる国」 として期待されている一方で、若者派遣はまだ他国に比べて少ないのが課題です。

AprIGFとグローバルIGFのつながり

AprIGF 2025 カトマンズ — グローバルIGFへのつながり

AprIGFには独特の仕組みとして、議論の結果を 「Synthesis Document(シンセシス・ドキュメント)」 としてまとめ、グローバルIGFに持ち込む流れがあります。これによって「アジアで話し合ったこと」が世界大会に反映されます。

2025年のSynthesis Documentは公開済みで、そこに書かれた課題が IGF 2025 オスロ大会でも下敷きに されました。つまりAprIGFで日本が発言することは、世界の議論に直接影響する ということです。

まとめと次回

AprIGF 2025 カトマンズ — まとめ

AprIGF 2025は、「アジアの多様性そのものがネットガバナンスの材料になる」と再確認された大会でした。次回AprIGFは別の国で開催されます。日本IGF支援機構では、次のAprIGFに向けて日本からの若者・一般参加を増やす活動を続けていきます。次の記事では、AprIGF 2025の中で特に盛り上がった「デジタル格差」セッションを詳しく掘り下げます。


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引用画像出典

更新履歴

第1稿投稿 2026年4月17日 21時28分(記事コンテンツアップ)

— 中澤祐樹