3行まとめ
- 2017年11月2〜3日、サントドミンゴのホテル・バルセロで第3回ドミニカ共和国IGF(III-IGFDO-2017)が開かれ、官民70超の機関から70人超が参加しました。テーマは「インフラから人権へ」です。
- サイバーセキュリティと国家安全保障の緊張、デジタル経済、若者と女性の参加を討議したうえで、2日目に国内初のIXP(インターネット相互接続点)ワークショップを開催。ISOCとLACNICの専門家が通信コスト削減の道筋を示しました。
- 「まずインフラ、それが人権につながる」という途上国型の議題設定が明快な大会です。接続料金の高さに苦しむ国でIXPがなぜ人権問題になるのか、日本の読者にも腑に落ちる構図を示しています。
こんにちは、中澤です。この記事は IGF República Dominicana 2017(第3回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | IGF República Dominicana 2017(第3回) |
| 会期 | 2017-11-02 〜 2017-11-03 |
| 会場 | ホテル・バルセロ・サントドミンゴ「サロン・リナ」(本会合11/2)。11/3に国内初のIXPワークショップ |
| テーマ | 「Desde la infraestructura hacia los derechos humanos(インフラから人権へ)」 |
| 参加者 | 70(70人超が官民の同数程度の機関から参加(閉会記事)) |
| 主催 | ISOC-DO(ISOC-RD)。後援:Internet Society・NIC.do・INDOTEL・COLUMBUS・NAPデルカリベ・IGFSA |
| 特記 | Internet Society設立25周年記念として開催 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. サイバーセキュリティ — プライバシーと国家安全保障の緊張
取り上げたセッション: パネル「サイバーセキュリティ:プライバシーと国家安全保障の緊張」(11月2日 9:30、モデレーター:エンマヌエル・アルカンタラ)
- ペルーからの特別招待者でIT法専門家のエリック・イリアルテ氏に加え、規制当局INDOTELのセサル・モリネ氏、国家警察のクラウディオ・ペゲロ氏、国家捜査庁(DNI)のサイバー犯罪捜査責任者カルロス・ラミレス・カスターニョス氏が登壇しました [1][2]
- 人権・ジェンダー専門家のラウラ・ブレトン氏とINTEC大学のラランクエント氏が加わり、治安機関の捜査権限と市民のプライバシーの線引きを公開の場で議論しました [1][2]
- 警察・情報機関と市民社会が同じパネルに座るマルチステークホルダー構成そのものが、この国では新しい試みでした [1][2]
2. IXP — 「インフラから人権へ」の要、国内初ワークショップ
取り上げたセッション: 講演「IXPの役割・重要性・インパクト」+パネル「国内IXP実装の展望」(11月2日午後〜3日、モデレーター:クリスチャン・オフラハティ〔ISOC〕)
- ISOCラテンアメリカ・カリブ担当のクリスチャン・オフラハティ氏とLACNICのギジェルモ・シシレオ氏が、IXP(インターネット相互接続点)がルーティングを効率化し、通信品質を上げ、相互接続コストを下げる仕組みを解説しました [1][2]
- 実装パネルにはINDOTEL(カトリーナ・ナウト氏)、NAPデルカリベ、WIND TELECOM、COLUMBUS、ケーブルテレビ事業者団体、A4AI(手頃なインターネット同盟)のヤシン・ケラディ氏、NIC.DOが参加し、国内IXPの制度設計を議論しました [1][2]
- この討議が起点となり、後続のFGI-DO-2019で国内IXP計画「IX-DO」の進捗が報告される流れにつながります [1][2]
3. デジタル経済 — ローカルイニシアチブの棚卸し
取り上げたセッション: パネル「デジタル経済:ローカルイニシアチブ」(11月2日 11:30、モデレーター:オスバルド・ラランクエント)
- 中小企業振興副省のデジタル経済担当ソビエスキー・ナウト氏、フィンテック企業FINEXTのアルマンド・マンスエタ氏、ISOCのシェルノン・オセパ氏らが、国内の電子決済・電子商取引の現状を報告しました [1][2]
- デジタルコンテンツの国内制作と商業化をどう促すかという2016年からの継続課題を、政府・民間双方の取り組みを付き合わせて検証しました [1][2]
4. 若者と女性の参加 — ガバナンスの担い手を広げる
取り上げたセッション: パネル「インターネットガバナンスにおける若者と女性の参加」(11月2日 14:15、モデレーター:テレサ・ロペス)
- フェデリカ・トルトレージャ氏、ラウラ・ブレトン氏、アレクサンドレ・トリビオ氏が登壇し、若者と女性がガバナンス議論の傍観者から担い手になるための条件を議論しました [1][2]
- 開会にはISOC地域担当のシェルノン・オセパ氏とISOC-DO副会長ワンダ・ペレス氏が立ち、「インターネットは開かれ、透明で、安全で、民主的で、包摂的であり続けるべきだ」という大会の基本姿勢を示しました [1][2]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が決まった会議なの?
A. 決定機関ではありませんが、方向づけには成功しました。特に2日目の国内初IXPワークショップは、通信コストを下げる相互接続点「IX-DO」計画への出発点になりました。
Q. 一番モメたテーマは?
A. サイバーセキュリティのパネルです。警察・情報機関の捜査権限とプライバシーの線引きという、どの国でも答えの出ていない問題を、治安当局の担当者本人たちを招いて議論しました。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。「インフラから人権へ」という途上国の議題設定は、接続がすでに当たり前の日本では見えにくい視点です。通信コストと人権を一本の線でつなぐ議論は、デジタル格差を考える出発点になります。
Dominican Republic IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Dominican Republic IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2017年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- Programa y Agenda del III Foro de Gobernanza de Internet RD 2017(公式プログラム:日付・会場・テーマ・全登壇者) — ISOC-DO (isoc.do)(参照: 2026-07-17)
- Clausuran III Foro de Gobernanza de Internet de la República Dominicana(閉会記事:11/2〜3開催・70人超参加・パネル詳細) — ISOC-DO (isoc.do)(参照: 2026-07-17)
- Foro Nacional de Gobernanza Internet (FNGI) República Dominicana — Reporte 2016(「2017年は10月5日に第3回を開催したい」との当初計画を記載) — ISOC-RD(国連IGF事務局 filedepot 掲載)(参照: 2026-07-17)
- Dominican Republic IGF(国連NRI記録) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-17)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月9日 20時41分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

