3行まとめ
- 2025年10月7日、第4回Youth IGF Nepalがカトマンズのホテル「Vivanta」で開かれ、120名超が参加しました。1カ月前の9月4日に政府がFacebookやXなど未登録26プラットフォームを一斉遮断した直後という、緊迫の中の開催です。
- 開会全体会「Banned and Beyond(禁止、そしてその先へ)」では国民議会議員・UNESCO・デジタル権利団体が遮断とTikTok禁止、SNS運用指令2023を検証し、「規制は必要だが一律遮断は民主主義的価値を損なう」との認識で一致しました。
- 偽情報検証やサイバー犯罪のライトニングトークを挟み、閉会では指導部交代も実施。ネットの遮断を経験した国の若者が「その先」を構想する場となりました。
こんにちは、中澤です。この記事は Youth IGF Nepal 2025(第4回・カトマンズVivanta) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Youth IGF Nepal 2025(第4回・カトマンズVivanta) |
| 会期 | 2025-10-07 |
| 会場 | カトマンズ(Vivanta) |
| テーマ | Empowering Youth for an Open, Inclusive and Secure Internet(開かれた・包摂的で・安全なインターネットのために若者に力を) |
| 参加者 | 120(120名超(公式サイト開催後記事)) |
| 主催 | ホストはOpen Internet Nepal(Internet Societyネパール支部)。ISOC Youth SG・IGFSA・UNESCO・APNIC・ICANN・Internet Governance Institute・Worldlink・ネパールIX(NPiX)ほかが支援 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 「Banned and Beyond」 — 26プラットフォーム遮断を検証する
取り上げたセッション: 開会全体会(司会: Sadichchha Silwal氏。Padam Pariyar国民議会議員、Nirjana Sharma氏〔UNESCO〕、Santosh Sigdel氏〔Digital Rights Nepal〕)
- SNS運用指令2023、TikTok禁止、そして2025年9月4日のFacebook・X等26プラットフォーム一斉遮断という一連の規制強化を、議員・国際機関・デジタル権利団体が公開の場で検証しました [1]
- 登壇者は「規制は必要だが、一律の遮断は民主主義的価値を損なうリスクがある」との認識で一致しました [1]
- 遮断が若者主導の大規模抗議と政変を招いた直後のネパールで、若者フォーラムが政府側議員も交えて冷静な検証を成立させたこと自体が成果でした [1]
2. 規制を演じ直す — 包摂的・透明・権利ベースという答え
取り上げたセッション: マルチステークホルダー・ロールプレイ(進行: Nikesh Balami氏)
- 参加者が政府・法執行・民間・市民社会・市民の立場に分かれ、SNS規制をめぐる現実の政策対立をシミュレーションしました [1]
- セッションの結論は「実効的な規制は一律遮断ではなく、包摂的・透明・権利ベースであるべき」というもので、開会パネルの検証と呼応しました [1]
- 利用者保護とデジタル権利の間の緊張を、立場を入れ替えて体感させる設計は、遮断を実体験した直後の参加者にとって生々しい演習になりました [1]
3. 若者は政策の共同設計者か — 構造的参加とインターセクショナリティ
取り上げたセッション: パネル「Youth Power in Internet Policymaking」(司会: Suvechchha Chapagain氏。Nhasala Joshi氏、Pawan Acharya氏、Kabita Rai氏)ほか、Jaco du Toit氏(UNESCO)のROAM-X原則講演
- Nhasala Joshi氏は形だけの若者参加を疑問視し、諮問機構への構造的な組み込みを提唱。Pawan Acharya氏は人口構成と政策参加のずれを指摘し、請願などの市民的手段への接続を求めました [1]
- Kabita Rai氏はマデシ・ダリット・ジェンダー多様な若者など周縁化された属性の代表性と安全な市民空間を求め、インターセクショナリティの視点を持ち込みました [1]
- UNESCOのJaco du Toit氏はROAM-X原則(権利・開放性・アクセス・マルチステークホルダー・横断的包摂)を紹介し、インターネットを人権として捉え若者が共同創造者になるべきだと訴えました [1]
4. 偽情報とサイバー犯罪 — 遮断後の情報空間を守る技術
取り上げたセッション: ライトニングトーク(Pravin Bhatta氏〔NepalFactCheck.org〕、Suraj Ray氏)と閉会式(議長交代: Ananda Gautam氏→Surendra Tiwari氏)
- NepalFactCheck.orgのPravin Bhatta氏はラテラルリーディングや画像逆検索など、若者が自ら偽情報の連鎖を断つ検証技術を実演しました [1][2]
- Suraj Ray氏は拡大するサイバー犯罪の実情を報告し、予防は利用者の意識とメディアリテラシーから始まると強調しました [1][2]
- 閉会式で議長がAnanda Gautam氏からSurendra Tiwari氏へ交代。草の根から国連承認プラットフォームへ育った4年間を締めくくり、次世代への引き継ぎを制度として定着させました [1][2]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 開催の背景に何があったの?
A. 1カ月前の2025年9月4日、ネパール政府がFacebookやXなど26のSNSを一斉遮断し、若者主導の大規模抗議と政変に発展しました。その直後に、当の若者たちが遮断を冷静に検証する場を開いたのがこの会合です。
Q. 結論はどうなった?
A. 「規制は必要。ただし一律遮断は民主主義を損なう。実効的な規制は包摂的・透明・権利ベースであるべきだ」。パネルとロールプレイの双方が同じ結論に到達しました。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。SNS規制やプラットフォーム遮断は世界中で現実の選択肢になりつつあり、遮断を実体験した国の若者による検証は、日本の規制論議にも貴重な実例を提供します。
Nepal Youth IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Nepal Youth IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2025年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- From Bans to Beyond: How Youth Are Reshaping Nepal's Internet Policy at Youth IGF Nepal 2025(公式サイト開催後記事) — Youth IGF Nepal (yigf.org.np)(参照: 2026-07-22)
- Nepal Youth IGF(国連IGF NRIページ:年次会合情報「2025年10月7日・カトマンズ」) — 国連IGF事務局 (UN IGF Secretariat)(参照: 2026-07-22)
- Youth IGF Nepal(公式サイト:Past Events一覧・2026年版準備情報) — Youth IGF Nepal (yigf.org.np)(参照: 2026-07-22)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年7月16日 15時51分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

