3行まとめ
- 2025年2〜3月、モロッコ初の国内インターネットガバナンスフォーラム「MIGF'25」がラバトの国立郵便電気通信大学院(INPT)で開かれました。主宰はISOCモロッコ支部(MISOC)、テーマは「AIとメディアの時代のインターネットガバナンス」です。
- デジタル移行・行政改革担当大臣エル・ファラー・セグルーシュニ氏の開会に、CNDP(個人データ保護委員会)委員長の基調講演。AIと偽情報、データガバナンス、AI時代のメディアの未来を4セッションで議論しました。
- 第1回国立IGスクール(MSIG'25)も同時期に始動し、モロッコが国別IGF(NRI)の輪に加わる出発点となりました。開催日は公式予告(3月17日)と報道(2月17日開幕・3日間)で食い違いが残ります。
こんにちは、中澤です。この記事は 第1回モロッコ・インターネットガバナンスフォーラム(MIGF'25) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 第1回モロッコ・インターネットガバナンスフォーラム(MIGF'25) |
| 会期 | 2025-03-17(MISOC公式予告・公式プログラム) |
| 会場 | 国立郵便電気通信大学院(INPT、ラバト) |
| テーマ | Gouvernance de l'Internet à l'ère de l'IA et des Médias(AIとメディアの時代のインターネットガバナンス) |
| サイドイベント | 第1回国立インターネットガバナンス・スクール(MSIG'25)を同時期に実施 |
| 主催 | MISOC(インターネットソサエティ・モロッコ支部) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. AIと偽情報 — メディア専門職を「装備」する
取り上げたセッション: セッション1「AIと偽情報対策 — メディアの挑戦」ほか
- MISOC会長アブデルアジズ・ヒラリ氏は、AIが日常生活の不可欠な構成要素になり情報に直接影響を及ぼしているとし、フェイクニュースや誤情報を見分ける手法をメディア専門職に提供することがフォーラムの焦点だと説明しました(MAP系報道の翻訳・要旨) [2][3][4]
- UM6P(ムハンマド6世工科大学)のアジジ教授らがAIのフェイクニュース・ディープフェイクへの影響を分析し、「ジャーナリストのための実践ツール」と題した偽情報監視の議論も行われました [2][3][4]
- サイバーセキュリティ意識の向上と、個人・組織のデータを守る実践的対策の必要性も強調されました [2][3][4]
2. データガバナンスとプライバシー — CNDP委員長の基調講演
取り上げたセッション: セッション2「AI時代のデータガバナンスとプライバシー保護」
- CNDP(国家個人データ保護委員会)のオマル・セグルーシュニ委員長は、AIの発展と人権の尊重を包括的・包摂的なビジョンの下で両立させる必要を訴えました(MAP系報道の翻訳・要旨) [4][3]
- 個人データ保護に関わる概念の明確化・統一と、国際的な場でのモロッコの立ち位置を強化するロードマップの策定を課題として挙げました [4][3]
- AIがもたらす技術的・商業的効率が倫理原則を犠牲にしてはならないとし、技術進化への伴走と人材育成も求めました [4][3]
3. 閣僚が開くNRI元年 — スクールMSIG'25との二本立て
取り上げたセッション: 開会セッションと全体設計
- 公式プログラムでは、デジタル移行・行政改革担当大臣アマル・エル・ファラー・セグルーシュニ氏が開会演説を行い、ヒラリMISOC会長がMIGF'25の目的(AIの影響理解、対話促進、イノベーション協力エコシステム、官民・スタートアップ連携)を提示する構成でした [1][2][5]
- 午後には「AIとメディア: モロッコの展望」「デジタル変革とメディアの包摂」の2つの円卓討議が置かれ、デジタル開発庁(ADD)や通信規制の関係者が名を連ねました [1][2][5]
- MISOCは同時期に第1回国立インターネットガバナンス・スクール(MSIG'25)を複数日程で実施しており、フォーラムと人材育成の二本立てでNRI立ち上げを図りました。IGF公式アフリカNRI一覧へのモロッコ掲載は2026年7月時点でまだなく、公式登録は今後の課題です [1][2][5]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が始まった会合なの?
A. モロッコで初めての国内インターネットガバナンス会議です。ISOCモロッコ支部が立ち上げ、担当大臣の開会とデータ保護当局トップの基調講演つきで、AI時代のメディアとデータの統治を議論しました。
Q. テーマがAIとメディアなのはなぜ?
A. 生成AIによる偽情報・ディープフェイクがメディアの信頼を揺るがす只中だったからです。ジャーナリスト向けの実践ツールまで踏み込む、時事性の強い初回でした。
Q. 日本に関係ある?
A. AI偽情報対策とデータ保護を初回の柱に据える構図は、各国のIGF議題の最新形です。開催日の記録が公式と報道で食い違う点は、新設NRIの記録整備の難しさを示す教材でもあります。
Morocco IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Morocco IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2025年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- Premier Forum National sur la gouvernance de l'Internet (MIGF'25) au Maroc(公式予告: 2025-03-17・INPT・目的。仏語) — MISOC(インターネットソサエティ・モロッコ支部)(参照: 2026-07-23)
- Programme : Premier Forum Marocain de la Gouvernance de l'Internet (MIGF'25)(公式プログラム: 開会登壇者・4セッション。仏語) — MISOC(参照: 2026-07-23)
- Rabat accueille le Forum marocain de la gouvernance de l'internet(MAP配信。2025-02-18付。月曜開幕・3日間・ヒラリ/セグルーシュニ発言。仏語。引用は翻訳) — Industrie du Maroc Magazine(参照: 2026-07-23)
- IA: Ouverture à Rabat du Forum marocain de la gouvernance de l'internet(MAP配信。2025-02-17付。開幕報道。仏語) — La Vie Éco(参照: 2026-07-23)
- African Regional Group(アフリカNRI一覧。モロッコの項目なし=未登録の傍証) — 国連IGF事務局 (UN IGF Secretariat)(参照: 2026-07-23)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年8月13日 19時02分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

