第8回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2019) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Korea IGF 2019 ソウル — サムネイル

3行まとめ

Korea IGF 2019 ソウル — 3行まとめ

  1. 2019年7月5日、ソウルの世宗大学校コンベンションセンターで第8回韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2019)が開かれ、「持続可能なインターネット、共につくるガバナンス」をテーマにコミュニティ提案の9ワークショップが行われました。
  2. 5G時代の網中立性と「網利用対価」論争、GDPR施行後のWHOIS登録者プライバシー、プラットフォーム労働の権利保障など、当時の韓国の時事を映した議題が並びました。
  3. 通信網のコスト負担やプラットフォームで働く人の保護は日本でも進行中の論点です。隣国が同じ課題を政府・企業・市民社会の対話で扱う姿は、日本のIGF活動の参考になります。

こんにちは、中澤です。この記事は 第8回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2019) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Korea IGF 2019 ソウル — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第8回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2019)
回次 第8回
会期 2019-07-05
会場 世宗大学校コンベンションセンター 広開土館B1(ソウル)
テーマ 持続可能なインターネット、共につくるガバナンス(지속 가능한 인터넷, 함께하는 거버넌스)
ワークショップ数 9
主催 多者間インターネットガバナンス協議会(KIGA)主催、インターネット関連の公共機関・市民団体・学界・企業・技術コミュニティが共同企画

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Korea IGF 2019 ソウル — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 網中立性規制の未来 — 「網利用対価」論争と5G

取り上げたセッション: オープンネット主催ワークショップ「網中立性規制の未来」(7月5日 15:15–16:45、広開土館B1 小会議室5)

  • 高麗大学ロースクールのパク・キョンシン教授(オープンネット理事)が発題し、韓国で続く「網利用対価(ネットワーク利用料)」論争と網中立性原則をどう調和させるかを議論しました [2]
  • 5Gのネットワークスライシング、ゼロレーティング、発信者従量制の相互接続規則の影響が主な争点となりました [2]
  • 科学技術情報通信部の通信競争政策課長も討論者として参加し、規制当局・学界・業界が同席する場になりました [2]

2. プラットフォーム経済と労働 — 第4次産業革命時代の働き方

取り上げたセッション: 進歩ネットワークセンター提案ワークショップ「第4次産業革命時代のプラットフォーム経済と労働」(7月5日 10:45–12:15)

  • 韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン副所長が発題し、プラットフォーム事業者と労働者の関係設定、労働権の保障、プラットフォーム経済の適正な成長に必要な社会的合意の3点を討論しました [3]
  • プラットフォーム労働連帯、スタートアップ団体(コリアスタートアップフォーラム)、ケア労働の協同組合など、立場の異なる当事者が同席したのが特徴です [3]

3. GDPRとWHOIS — ドメイン登録者のプライバシー

取り上げたセッション: ワークショップ5「GDPR施行に伴うWHOISドメイン登録人のプライバシー保護イシュー」

  • EUのGDPR施行(2018年)を受け、ドメイン登録者情報を公開するWHOISの扱いが韓国でも正面から議題になりました [4]
  • セッションの模様はYouTubeで公開されており、国内フォーラムの記録公開の実践例にもなっています [4]

4. 3本柱の議題設定 — 「すべての人の」「安全な」「資源としての」インターネット

取り上げたセッション: 全体プログラム

  • 9つのワークショップは「すべての人のためのインターネット」「安全なインターネット」「資源としてのインターネット」の3本柱に沿って構成されました [1]
  • KIGA主催・参加無料のコミュニティ公募型という、国連IGFのマルチステークホルダー方式を国内に移植した運営が定着しています [1]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. KrIGFってどんな集まり?

A. 国連のインターネットガバナンスフォーラム(IGF)の韓国版です。政府・企業・市民社会・学界が対等な立場で年1回集まり、インターネット政策の論点を議論します。2019年で8回目でした。

Q. 2019年で一番の論点は?

A. 「網利用対価」論争です。通信網のコストをコンテンツ事業者にも負担させるべきかという韓国発の議論で、網中立性の原則とどう両立させるかが規制当局も交えて正面から議論されました。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。ネットワークコストの負担論争は日本でも起きていますし、配達員など「プラットフォームで働く人」の権利保護も共通の課題です。隣国の議論は数年後の日本を映す鏡になります。

Korea IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Korea IGF 2019 ソウル — Korea IGFの位置づけ

Korea IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2019年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. 2019 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) '지속 가능한 인터넷, 함께하는 거버넌스' 개최(開催告知) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  2. 오픈넷, KrIGF 2019에서 망중립성 주제로 워크샵, 오픈데이터 분석 강연 개최(オープンネットのKrIGF 2019参加告知) — Open Net(オープンネット)(参照: 2026-07-11)
  3. [워크숍] 4차산업혁명 시대 플랫폼 경제와 노동(第4次産業革命時代のプラットフォーム経済と労働) — 進歩ネットワークセンター(digitaljustice.kr)(参照: 2026-07-11)
  4. 2019 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 워크샵5 — GDPR 시행에 따른 WHOIS 도메인등록인의 프라이버시 보호 이슈(セッション動画) — YouTube(KrIGFチャンネル)(参照: 2026-07-11)
  5. 한국 인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 개최 이력(KrIGF開催履歴表) — KIGA/한국인터넷정보센터(KRNIC)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2019年7月15日 15:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹