CAIGF(中央アジア地域IGF) 2024 タシケント大会 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

CAIGF 2024 タシケント — サムネイル

3行まとめ

CAIGF 2024 タシケント — 3行まとめ

  1. 2024年6月21〜22日、第8回中央アジアIGF(CAIGF 2024)がウズベキスタン・タシケントのヒルトン・タシケント・シティで開催。政府・企業・国際機関から280人超が参加し、テーマは「中央アジアのデジタル地平 — イノベーション・安全・発展」だった。
  2. AIとデジタル変革、山岳・遠隔地への接続、サイバーセキュリティ、社会課題のデジタル解決を議論。グローバルIGFの議員トラックが初めて域内フォーラムに持ち込まれ、キルギスの「デジタルコード」構想やサイバー分野の新組織「デジタル強靱性協会」の設立も発表された。
  3. GoogleやIBM、TikTok、Yandex、ITU、世界銀行までが同席する場に成長した点が今大会の見どころ。中央アジアのデジタル市場と規範づくりが本格化しており、日本のデジタル協力や企業進出の観点からも注目に値する。

こんにちは、中澤です。この記事は CAIGF(中央アジア地域IGF) 2024年 タシケント大会 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

📍 【カタログとの相違】カタログは「2024年・アルマトイ」とするが誤り。第8回CAIGF(2024年)はウズベキスタンのタシケント(ヒルトン・タシケント・シティ)で開催された。アルマトイ(カザフスタン)開催は2023年11月10日の第7回で、カタログ項目はこれとの混同の可能性が高い

大会の基本情報(公式発表より)

CAIGF 2024 タシケント — 大会 基本情報

項目 内容
回次 第8回中央アジアIGF
会期 2024-06-21 〜 2024-06-22
会場 ヒルトン・タシケント・シティ、タシケント(ウズベキスタン)
テーマ 中央アジアのデジタル地平 — イノベーション・安全・発展
参加者 280人超。ウズベキスタン・カザフスタン・タジキスタン・キルギス・アルメニアの政府機関、米国・カナダ・中国・スイス・フランス・エストニアなどの専門家、GoogleやIBMなどグローバル企業が参加(公式報告書)
主催 National Legal Corporation(NLC)が主催。市民団体「インターネットポリシー市民イニシアチブ」(CIIP)、ウズベキスタン・デジタル技術省、UNIVERSOFT ITが共催・協力

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

CAIGF 2024 タシケント — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. AIとデジタル変革 — 到達点を確かめ合う中央アジア

取り上げたセッション: セッション1「中央アジアのデジタルトランスフォーメーション: 国家・ビジネス・市民にとっての課題と機会」(6月21日)

  • シェルゾド・シェルマトフ・ウズベキスタン・デジタル技術相が開会。公式報告書によれば、各国がデジタル発展の到達点を確かめ合い、ネットの安全性とアクセス性のバランスを探りながら地域のデジタルアジェンダを形づくる「またとない機会」と大会を位置づけた [1]
  • Googleの中央アジア渉外ディレクターのスコロホドワ氏がAIの可能性を報告。Ipsosとの17カ国共同調査を引き、仕事の高速化から交通・教育・生活の質まで「AIが大きなプラスの影響をもたらす」と多くの人が楽観していると紹介した [1]
  • エストニアのトーマス・ティルス大使が同国のデジタル変革とAI活用の経験を、IBMのオレグ・ビャホフ氏が公共部門のデジタル変革を支える技術を紹介。締めくくりには、AI・ビッグデータ・クラウドの導入を可能にする「柔軟な規制環境」の必要性が確認された [1]

2. デジタルインフラ — 山岳・遠隔地に届くネットワークを

取り上げたセッション: セッション2「デジタルインフラ: 技術の時代に中央アジアの潜在力を解き放つ」

  • ITUのCIS地域ディレクター、ナタリア・モチュ氏が司会を務め、世界銀行のデジタル開発プラクティス責任者ミシェル・ロギ氏、ICANNの東欧・中央アジア担当ミハイル・アニシモフ氏、UNESCOタシケント事務所、ウズベキスタンIT Parkなどが登壇 [1]
  • 遠隔地・山岳地域を含む全ての住民にデジタル化の恩恵を届けるため、信頼でき手頃な価格のネットワークインフラの整備と、接続のインクルーシブ(包摂)性が焦点となった [1]

3. サイバーセキュリティ — 「デジタル強靱性協会」の設立発表

取り上げたセッション: セッション3「中央アジアの安全なデジタルの未来: サイバー脅威増大の時代の戦略・イニシアチブ・協力」

  • サイバー攻撃分析調査センター(ЦАРКА)を率いるオルジャス・サティエフ氏が、産業界・ビジネス・国家をつないで安全なデジタルの未来を築く新組織「デジタル強靱性協会」の設立を発表した [1]
  • ウズベキスタンのUZCERTでインシデント調査部門を率いるエルキン・ハリコフ氏がサイバー脅威の進化と社会・国家への影響を報告し、地域の実情と能力に合わせたサイバーセキュリティ政策の策定を訴えた。総括では、国・地域双方の戦略整備とデジタル衛生教育の推進が提言された [1]

4. 議員トラック初上陸 — キルギス「デジタルコード」と議会外交

取り上げたセッション: セッション4「デジタル変革への貢献: デジタル空間形成における議員の鍵となる役割」(6月21日)

  • グローバルIGFで拡大してきた議員トラックが地域イニシアチブへ展開され、CAIGFで議員向けセッションを開催。キルギス・タジキスタンの議員とウズベキスタン政府代表が参加した [1][2]
  • NLC総裁のタットゥ・マンベタリエワ氏が、キルギスのデジタル関連規範を一つの法典に統合する「デジタルコード」構想を紹介。40カ国の経験と30人の専門家が関わった国際協働の成果で、キルギス議会への提出を控えると説明された [1][2]
  • アルメニアのアレクセイ・サンディコフ議員は議会外交と対話の意義を強調し、オリビエ・クレパン=レブロン氏(IGFコア・インターネット・バリュー動的連合コーディネーター)は、相互運用性・分散性・エンドツーエンドなどの「コア・インターネット・バリュー」を守る立法を議員に呼びかけた [1][2]

5. デジタルで社会課題を解く — 女性・少女の参画

取り上げたセッション: セッション5「地域の社会課題に対処するデジタルイニシアチブ」(6月22日)

  • 2日目はウズベキスタンのオレグ・ペコス第一デジタル技術次官が開会。公式報告書によれば、女性・少女を含む全ての人にデジタル機会を開くことの重要性を訴え、「少女への教育・技術訓練への投資は未来への投資」と強調した [1]
  • 遠隔医療・オンライン教育・デジタル金融サービスによる社会課題の解決を議論。NGO「TechnoWomen」共同創設者のシュジェエワ氏、TikTokの東欧担当渉外ディレクター、Yandexの地域ディレクター、UNESCOなどが登壇し、政府・市民社会・民間の連携が結論となった [1]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. この会議で何かが決まったの?

A. 決定機関ではありませんが、具体的な動きが複数生まれました。サイバー分野の地域組織「デジタル強靱性協会」の設立発表、キルギスのデジタル関連法を一本化する「デジタルコード」構想の披露、そして国連IGFの議員トラックの域内初開催です。

Q. 一番の論点は?

A. AIをどう取り込むかです。AIへの楽観的な期待(GoogleとIpsosの17カ国調査)と柔軟な規制環境づくりが語られる一方で、増大するサイバー脅威への備えと、ネットの安全性とアクセス性のバランスも大きな柱でした。

Q. 日本に関係ある?

A. 議員が本格的にネットガバナンス議論へ加わる「議員トラック」の広がりは日本を含む世界的潮流ですし、Google・IBM・TikTokまで集まる中央アジアのデジタル市場の拡大は、日本企業のビジネス機会や政府のデジタル協力にも直結します。

CAIGF(中央アジア地域IGF) ってどんな会議?(はじめての方へ)

CAIGF 2024 タシケント — CAIGF(中央アジア地域IGF)の位置づけ

CAIGF(中央アジア地域IGF)は、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2024年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. Report on the Eighth Central Asia Internet Governance Forum (CAIGF 2024) (PDF) — CAIGF事務局/National Legal Corporation (caigf.org)(参照: 2026-07-11)
  2. IGF 2024 Parliamentary Track — 国連IGF事務局 (UN IGF Secretariat)(参照: 2026-07-11)
  3. Ташкент примет 8-ой Центрально-Азиатский Форум по Управлению Интернетом(タシケントが第8回CAIGFを開催) — Digital Rights Asia(ロシア語)(参照: 2026-07-11)
  4. Central Asian Internet Governance Forum CAIGF 2024 — ウズベキスタン電磁両立性センター (CEMC, cemc.uz)(参照: 2026-07-11)
  5. VIII Центрально-Азиатский форум по управлению интернетом: «Цифровые горизонты Центральной Азии»(第8回CAIGF告知) — タジキスタン銀行協会 (namsb.tj、ロシア語)(参照: 2026-07-11)
  6. Центрально-Азиатский Форум по Управлению Интернетом 2023: Шаг Вперёд в Цифровое Будущее(CAIGF 2023はアルマトイ開催 — 2023年11月10日) — Civil Initiative on Internet Policy (CIIP, キルギス、ロシア語)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2024年9月15日 15:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月11日 02:14(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹