深夜便のさんふらわあさっぽろで大洗から苫小牧へ — 霧と夕日の19時間

燃える夕日

深夜便のさんふらわあさっぽろで大洗から苫小牧へ

2026年3月29日、深夜便のさんふらわあさっぽろで大洗フェリーターミナルを出港し、苫小牧へ向かった。所要時間はおよそ19時間。終始、霧がたちこめる太平洋を北へ進み続けた。夕刻には霧が薄れ、燃えるような日没が空を染めた。船旅でしか出会えない光景がそこにあった。

大洗フェリーターミナルにて

1.大洗フェリーターミナル

1.大洗フェリーターミナル

商船三井さんふらわあのチェックインカウンター。「大洗 ↔ 苫小牧」の大きな案内板の前でチェックインを済ませた。

2.客室7A15

2.客室7A15

今夜の部屋番号は7A15。丸いプレートが船らしい。

3.客室に荷物を置いた

3.客室に荷物を置いた

広い個室にスーツケースとカメラバッグを置いてみると、思ったより余裕がある。テレビもデスクもある快適な部屋だ。

出港前夜 — 大洗港の灯り

4.大洗港、出港前の夜景

4.大洗港、出港前の夜景

出港30分前に甲板へ出た。大洗港のライトが海面に揺れている。この灯りを見るのもあと少しだと思うと、なんとなく名残惜しい。

5.出港前の大洗港、魚眼で

5.出港前の大洗港、魚眼で

魚眼レンズで切り取った出港直前の大洗港。リフト式の可動橋が港の奥に白く浮かんでいる。

6.いよいよ動き出す

6.いよいよ動き出す

エンジン音が変わった。岸壁がゆっくり遠ざかっていく。北海道へ向かう旅が、ようやく始まった。

M1.出港の瞬間(動画)

深夜の太平洋へ

7.出港後、大洗港を振り返る

7.出港後、大洗港を振り返る

出港してしばらくして甲板に出た。港のリフト橋がまだ正面に見える。

M2.深夜の甲板(動画)

8.遠ざかる大洗の灯り

8.遠ざかる大洗の灯り

街の明かりが点になっていく。冷たい夜風を受けながら甲板に立ち、いつまでも眺めていた。

9.深夜の太平洋へ

9.深夜の太平洋へ

気がつけば周囲は暗い海だけになっていた。遠くに街の明かりがほのかに残っているが、もう陸地とは呼べない距離だ。

M3.深夜の海(動画)

夜明け — 靄に包まれた朝の海

10.夜明け前の太平洋

10.夜明け前の太平洋

夜中に目が覚め、甲板に出てみた。4時半の空はまだ夜と朝の間にある。どこまでも続くブルーグレーの水平線。

11.夜明け、白む海

11.夜明け、白む海

6時の甲板。空がようやく明るくなってきた。白い船体の向こうに、穏やかな朝の太平洋が広がっている。

12.朝靄の中の大型船

12.朝靄の中の大型船

霧の向こうに突然、大型貨物船のシルエットが現れた。自分たちも同じように北を目指しているのだろうか。

13.霧の中、並走する船

13.霧の中、並走する船

さっきの船がさらに近い。霧の中を静かに進む巨大なシルエット。

霧の太平洋 — 昼間の航行

14.霧の甲板

14.霧の甲板

10時になっても霧は晴れなかった。白いデッキ、白い霧、白い海。どこに海面があるのかわからない。

15.霧の海、ミニマルな構図

15.霧の海、ミニマルな構図

空と海と霧が一つになる瞬間がある。フェンスだけが「上」を教えてくれる。

16.船内のキッズルーム

16.船内のキッズルーム

船内を探索していたらこんな空間があった。カラフルなマットにくまのぬいぐるみ、丸窓の向こうにも海が続いている。

17.霧が晴れはじめた

17.霧が晴れはじめた

昼過ぎ、少しずつ霧が薄れてきた。水平線のラインがうっすら見えてきた。

M4.霧の太平洋(動画)

M5.霧の海、α7Cで(動画)

昼間の甲板と船内

18.霧の中の太陽

18.霧の中の太陽

魚眼レンズを横に傾けて、霧の中から顔を出した太陽を捉えた。これだから魚眼は面白い。

M6.甲板の風景(動画)

19.キッズルーム、別アングルで

19.キッズルーム、別アングルで

誰もいない時間に改めて撮影。壁に描かれた海の絵がかわいらしい。

20.船内ラウンジ

20.船内ラウンジ

広々としたラウンジに乗客が思い思いに座っている。椅子が豪華で、ちょっとしたホテルのロビーのようだ。

船内の通信インフラ — docomoフェムトセルとStarlink

44.5階プロムナードのdocomo機器

44.5階プロムナードのdocomo機器

5階プロムナードの柱に、見慣れない機械が取り付けられていた。ドコモのロゴが入っている。

45.docomoフェムトセル

45.docomoフェムトセル

正面から見ると「携帯電話用制御」と書かれたdocomoのフェムトセルだとわかった。SW・STATE・LEVELのインジケーターが並ぶ。太平洋の真ん中でもスマートフォンの4G回線が使えるのは、このデバイスがStarlinkのインターネット回線を経由してdocomoネットワークに接続しているからだ。

46.Starlinkが支えるラウンジ

46.Starlinkが支えるラウンジ

フロア全体を見渡すと、柱ごとに同じ機器が設置されている。Starlinkアンテナで受けた衛星インターネットがバックホールとなり、フェムトセルが船内に4G電波を作り出している。洋上でも「圏内」という現代の当たり前を、複雑な通信インフラが支えていた。

47.客室廊下天井のWi-Fiアクセスポイント

47.客室廊下天井のWi-Fiアクセスポイント

客室7A14前の廊下を見上げると、天井に白い箱が埋め込まれていた。これが船内Wi-Fi「Sunflower_wifi」を飛ばしているアクセスポイントだ。廊下の各エリアにきっちりと配置されている。

48.Buffalo AirStation Pro AP-33

48.Buffalo AirStation Pro AP-33

正面から見ると Buffalo の業務用無線LANアクセスポイント「AirStation Pro AP-33」だった。POWER・5GHz・2.4GHz・LAN1のLEDが緑に点灯している。法人向けの堅牢なモデルで、24時間稼働を前提に設計されている。

49.廊下のLANコンセント

49.廊下のLANコンセント

AirStationの下を辿っていくと、壁にLANコンセントがあった。電源コンセント(100V)の隣にRJ-45のジャックがあり、LANケーブルが差さっている。船内には有線LANのバックボーンが組まれていて、各APはこの配線で繋がっている。

50.Cat6Aケーブルが配線された船内LAN

50.Cat6Aケーブルが配線された船内LAN

コネクタを近くで見ると、ELECOMのLANケーブルが使われている。配線は床のモールに沿ってきれいに通されていた。Starlinkの衛星回線がこのLANを通じて船内の各APに供給され、乗客のスマートフォンへと到達する。陸上のオフィスと同じ構造が、洋上にもそのまま広がっていた。

船内設備のディテール

51.7階デッキマップ

51.7階デッキマップ

エレベーターホールに掲示された7階デッキのフロアマップ。客室は7A01〜7A21、6階はレストラン、5階がプロムナードとショップ、4階が脱出集合場所、1〜3階が車両甲板という構成。深夜便のさんふらわあさっぽろは縦長の7層構造で、思っていたよりずっと大きい。

52.車両甲板の様子

52.車両甲板の様子

乗船時に通った車両甲板。トラックが整然と並び、誘導用のコーンが立てられている。緑色の床に白で書かれた矢印と「徐行 EASY SPEED」の注意書きが船らしい。北海道へ向かう物流の動脈を、目の前で見ている感じだ。

53.深夜の煙突と換気塔

53.深夜の煙突と換気塔

深夜0時過ぎ、最上部のオープンデッキに上がってみた。オレンジに光る煙突(ファンネル)と、その周りに4基並んだ白い円筒形の換気塔。船の心臓部から伸びる排気と空気の通り道。エンジンの低い振動が足元に伝わってくる。

54.煙突のソーラーパネル

54.煙突のソーラーパネル

昼間に同じ煙突を改めて見上げてみると、青い長方形のパネルが8枚並んでいた。船のファンネルにソーラーパネル。海上は遮るものがなく日射量が安定するため、補助電源として理にかなった配置だ。Starlink・docomoフェムトセル・LAN網に加えて、ここにも省エネ技術が取り入れられている。

霧に溶ける船影、そして夕暮れへ

21.霧の太平洋、極限のミニマル

21.霧の太平洋、極限のミニマル

空と海の境界が溶けて消えた。こんな景色、陸にいたら絶対に見られない。

M7.霧の海(動画)

M8.霧の海 2(動画)

22.霞の中の光の道

22.霞の中の光の道

太陽が霞の向こうから海面を照らす。光の道が水平線に向かって伸びていた。

23.霧に浮かぶ大型船

23.霧に浮かぶ大型船

ピンクがかった霞の中に、別の大型船がシルエットとなって浮かんでいる。絵画のような光景だった。

M9.霧に浮かぶ船影(動画)

24.コンテナ船と光の道

24.コンテナ船と光の道

コンテナ船と太陽光の反射が重なった一瞬。霧がフィルターになって、映画のような色になった。

25.霧に溶けるシルエット

25.霧に溶けるシルエット

少し露出を落として撮ると、船のシルエットがさらに際立った。

26.夕暮れの光の道

26.夕暮れの光の道

16時を過ぎると、光の色が変わってきた。霞の向こうから黄金色の光が帯状に伸びてくる。

27.黄金の水平線

27.黄金の水平線

やっぱりこの光の道から目が離せない。もう一枚撮った。

マジックアワーと日没

28.マジックアワーの甲板

28.マジックアワーの甲板

日没前後のわずかな時間、空が青から紫へと変わっていく。甲板の黄色いレールが夕映えに浮かぶ。魚眼で切り取ると別世界のようだ。

29.星が出た

29.星が出た

空を見上げると、星がぽつりぽつりと灯り始めていた。昼間の霧が嘘のような夜空。

30.沈みゆく太陽

30.沈みゆく太陽

太陽が水平線に向かってゆっくりと下りていく。海面がきらきらと輝いて、目が離せなかった。

31.フェンスごしの夕日

31.フェンスごしの夕日

デッキの金属格子越しに夕日を見た。格子が光の道を分割して、面白い模様になった。

M10.日没(動画)

M11.日没後の海(動画)

32.夕日と陸地のシルエット

32.夕日と陸地のシルエット

水平線の右端に、うっすらと陸地らしきものが見えた。苫小牧が近いのかもしれない。

33.雲に半分隠れた夕日

33.雲に半分隠れた夕日

太陽が雲に入ってしまった。でもそのぶん、空のオレンジ色が広がった。

34.燃える夕日

34.燃える夕日

雲を突き破るように太陽が真っ赤に輝いた。海面まで赤く染まって、まるで燃えているようだった。

苫小牧の灯りへ

35.苫小牧の灯りが見えた

35.苫小牧の灯りが見えた

暗くなった海の向こうに、工場の灯りが並んでいる。苫小牧だ。ここまで来た実感がじわじわと湧いてくる。

36.北海道の工業の灯り

36.北海道の工業の灯り

苫小牧の工業地帯。夜の海に映る灯りが美しい。

37.ブルーアワーの海

37.ブルーアワーの海

日没後、空が青とピンクのグラデーションになる時間。星がひとつ。デッキのライトが黄色く温かい。旅の途中でこれほど美しい空を見られるとは思っていなかった。

38.薄暮の星空

38.薄暮の星空

西の空にまだ残照があるなか、東の空に星が見えはじめた。

39.月と夜の船

39.月と夜の船

夜空に月が出ていた。船の構造物の向こうに浮かぶ月を見上げながら、今夜の旅の終わりを予感した。

苫小牧入港

40.苫小牧港、接近

40.苫小牧港、接近

工業地帯の灯りが近づいてきた。煙突からの白い煙も見える。北海道最大の工業港、苫小牧へ着岸まであと少し。

41.苫小牧港入港

41.苫小牧港入港

港の灯りに包まれるように入港した。出発から約19時間、ようやく北海道の地に到着だ。

M12.苫小牧港入港(動画)

42.係留中の自動車運搬船

42.係留中の自動車運搬船

港には大型の自動車運搬船が停泊していた。夜の港の灯りの中に浮かぶ巨大な船体。

43.苫小牧、夜の港

43.苫小牧、夜の港

着岸直前、フェリーターミナルや工場の灯りが目の前に広がった。霞んだ夜の工業都市、苫小牧。大洗からここまで来た。

M13.苫小牧着岸(動画)

M14.苫小牧到着(動画)

撮影機材

  • Canon EOS R6
  • RF24-105mm F4-7.1 IS STM
  • SONY α7C(魚眼レンズ)
  • SONY Xperia 1 II

更新履歴

第1稿更新2026年6月2日 00時00分