3行まとめ
- 2020年9月8〜10日、第13回中南米・カリブ地域IGF(LACIGF 13)が開催された。チリ・サンティアゴでの対面開催がコロナ禍で断念され、2008年の発足以来初の完全オンライン開催(Zoom)となった。
- 縮小された議題は、デジタル包摂、パンデミック下の技術と人権、ポストコロナのデジタル変革と仕事の未来、ジェンダーと交差性など6セッション。スペイン語・英語・ポルトガル語の同時通訳で地域の対話を維持した。
- 最終日の「LACIGFの新しいサイクル」セッションはフォーラム改革論議の起点となり、翌2021年の新規約と事務局公募制につながった。パンデミックが地域のデジタル格差を可視化した年として記憶される。
こんにちは、中澤です。この記事は LACIGF(中南米・カリブ地域IGF) 2020年 オンライン大会 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
📍 当初はチリ・サンティアゴでの対面開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止され、2008年の発足以来初の完全オンライン開催となった
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 回次 | 第13回(LACIGF 13) |
| 会期 | 2020-09-08 〜 2020-09-10 |
| 会場 | オンライン開催(Zoomプラットフォーム) |
| テーマ | 地域の共通課題 |
| プレイベント | ユースLACIGF(9月5〜6日、オンライン) |
| 言語 | スペイン語・英語・ポルトガル語の同時通訳 |
| 主催 | LACIGF事務局(LACNIC)とプログラム委員会(政府・技術コミュニティ・民間・市民社会の4セクター代表) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. パンデミックとインターネット — 展開された技術と人権への影響
取り上げたセッション: 「インターネットとパンデミック:展開された技術の機会と人権への影響」(9月8日)
「世界的なパンデミックが生んだ特異な状況は、普段は見えにくいものの極めて重要なテーマを浮き彫りにした」
— Ernesto Majó(LACNIC副事務局長) [1][2]
- コロナ禍で急速に展開された追跡・監視技術や遠隔化の波が人権に与える影響を地域横断で点検 [1][2]
- 対面予定だったサンティアゴ開催を断念し、フォーラム史上初の完全オンライン開催(Zoom)に移行して対話を継続 [1][2]
2. デジタル包摂 — 「未接続者をつなぐ」インフラと規制の壁
取り上げたセッション: 「デジタル包摂:包摂的なインターネットのためのモデル」(9月8日)、「未接続者をつなぐ:インフラと規制の課題」(9月9日)
- 遠隔授業・在宅勤務が一気に広がる中、中南米・カリブの接続格差が生活・教育格差に直結する現実をSDGsの文脈で議論 [1][2]
- 接続拡大のモデルとして、インフラ投資だけでなく規制環境の改善を並行して進める必要性が指摘された [1][2]
3. ジェンダーと交差性 — 技術政策にジェンダー視点を
取り上げたセッション: 「インターネットガバナンス、ジェンダーと交差性」(9月10日)
- ジェンダーの視点を技術政策の設計段階から組み込む「交差性(インターセクショナリティ)」アプローチを地域IGFの主要議題として正面から扱った [1][2]
- パンデミックのオンライン化がジェンダー由来の格差や暴力をむしろ増幅しかねないという問題意識が共有された [1][2]
4. LACIGFの新しいサイクル — フォーラム改革の始動
取り上げたセッション: 「LACIGFの新しいサイクル:コミュニティ参加の機会と地域のインターネット政策への影響」(9月10日)
- 2019年の総括報告(157人が協議に参加)は、LACIGFが「革新的で成功した重要な仕組み」でありながら存在感を失いつつあると指摘し、年1回のイベントから常設メカニズムへの転換を提言していた [1][4][5]
- この改革論議が翌2021年の新規約採択と事務局公募制(後のColnodo移行)につながった [1][4][5]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. そもそも何が決まった会議なの?
A. 何かを「決める」場ではなく、中南米・カリブ地域の政府・企業・市民が対等に話す地域版IGFです。2020年はコロナ禍で史上初のオンライン開催となり、最終日の改革論議が翌年の新規約づくりにつながりました。
Q. 一番の論点は?
A. パンデミックで一気に広がった追跡・監視技術と人権のバランス、そして「つながれない人々」の格差です。遠隔授業も在宅勤務も、接続がなければ始まらないという現実が突きつけられました。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。地域IGFがオンラインでも対話を維持できることを示した先例で、日本のIGF活動にも参考になりました。パンデミック下のデジタル格差やプライバシーの論点は日本と共通です。
LACIGF(中南米・カリブ地域IGF) ってどんな会議?(はじめての方へ)
LACIGF(中南米・カリブ地域IGF)は、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2020年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- LACIGF 13(公式イベントページ) — LACIGF(参照: 2026-07-10)
- First Online LACIGF Will Be Held in September — LACNIC News(参照: 2026-07-10)
- Foros anteriores(歴代フォーラム一覧) — LACIGF(参照: 2026-07-10)
- Balance del Foro Latinoamericano y del Caribe de Gobernanza de Internet, LACIGF(2019年総括報告) — LACIGF(参照: 2026-07-10)
- Nosotros(LACIGFの歴史・組織) — LACIGF(参照: 2026-07-10)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2020年8月4日 14:00(記事コンテンツアップ)
第2稿更新 2026年7月10日 23:16(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))
— 中澤祐樹

