3行まとめ
- 2023年11月6〜7日、南東欧地域IGF「SEEDIG 8」がクロアチア・ザグレブのWESPA Business & Loungeで開催されました(オンライン併用)。2022年の活動休止を挟み、対面では2019年以来4年ぶりの年次会合です。
- テーマは「国境を越えるデジタル」。フリーダムハウスの国別報告をもとにしたインターネット自由の後退、GDPRとAI規制、ウクライナ戦争が変えたOSINT、コンテンツモデレーションなどが2日間で議論されました。
- 休止からの再起動を地域の連帯で成し遂げた事例として、また戦時下の隣接地域が語るデジタル権利の現実として、日本の読者にも地域IGFの底力を伝える大会です。
こんにちは、中澤です。この記事は SEEDIG(南東欧地域IGF) 2023年 ザグレブ大会 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
📍 【カタログとの重大な相違】カタログの開催地「ソフィア」は誤り。SEEDIG第8回年次会合(2023年)の実開催地はクロアチアのザグレブ(ソフィアは2015年第1回の開催地)。なお2022年に年次会合は開催されておらず、SEEDIG 8は2021年のオンラインシリーズ以来の年次会合で、対面としては2019年ブカレスト以来4年ぶり
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 回次 | 第8回年次会合(SEEDIG 8) |
| 会期 | 2023-11-06 〜 2023-11-07 |
| 会場 | WESPA Business & Lounge(クロアチア・ザグレブ)+オンライン |
| テーマ | Digital Beyond Borders: Regional Synergy for Community Advancement(国境を越えるデジタル — 地域のシナジーでコミュニティを前へ) |
| 開催形態 | 対面+オンライン配信(YouTubeライブ)、使用言語は英語 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 空白の2022年を越えて — 4年ぶりの対面再始動
取り上げたセッション: 会合全体(2023年11月6〜7日、ザグレブ)
- 2022年には年次会合が開かれず、SEEDIG 8は2021年のオンラインシリーズ以来の年次会合として「第8回」を名乗った。対面開催は2019年ブカレスト以来 [1][2][3][5]
- 地元共催はスプリトのデジタル権利NGO「Politiscope」。Internet Society Foundationの助成(8,042米ドル)が開催を支えており、小規模でも地域と国際コミュニティの支援で再始動できることを示した [1][2][3][5]
- 国連IGFのNRI(国・地域IGF)ネットワークも公式に告知し、「南東欧のIGF第8回」として位置づけた [1][2][3][5]
2. 後退するインターネット自由 — 4か国のFreedom on the Net報告
取り上げたセッション: インターネット自由の潮流セッション(Freedom on the Net国別報告執筆者との対話)
- アルメニア・ジョージア・セルビア・ウクライナのFreedom on the Net国別報告の執筆者が登壇し、各国の調査結果と地域全体のインターネット自由の傾向を議論した [1]
- 執筆者自身が各国でデジタル権利のアドボカシーを担っており、報告書を国・地域レベルの政策提言にどう活かすかも話し合われた [1]
3. GDPRからAI規制へ — EU最新加盟国クロアチアの現場から
取り上げたセッション: GDPR・AI規制パネル/企業への政府要請対応ワークショップ
- GDPRの実装状況と、成立目前だったEUのAI法をめぐる規制論を、EU加盟国と非加盟国が混在する地域の視点で議論した [1][4]
- 共催のPolitiscopeはGDPR実装とデータ保護を専門とし、企業が政府からのデータ提供要請にどう対応すべきかのワークショップや、デジタルセキュリティ研修も行われた [1][4]
4. 戦争が変えたインターネット — ウクライナ戦争とOSINT
取り上げたセッション: ウクライナ戦争のOSINTへの影響/コンテンツモデレーション/サイバーセキュリティ強靱性の各セッション
- ロシアのウクライナ侵攻がオープンソース・インテリジェンス(OSINT)の手法と倫理をどう変えたかを、戦地に隣接する地域の当事者感覚で議論した [1]
- SNSのコンテンツモデレーションやサイバーセキュリティの強靱性、ドメイン名の国際化まで、2日間の議題は「国境を越える」テーマで貫かれた [1]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. なぜ2年も休んでいたの?
A. コロナ禍で2020年・2021年とオンライン開催が続いたあと、2022年は年次会合そのものが開かれませんでした。2023年のザグレブ大会は、地元NGOと国際コミュニティの支援で実現した「再始動」の大会です。
Q. 一番重かったテーマは?
A. インターネット自由の後退です。アルメニア・ジョージア・セルビア・ウクライナの調査報告の執筆者本人が集まり、監視や検閲の実態と、戦争がOSINT(公開情報分析)をどう変えたかを語りました。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。EUのGDPRやAI法にどう歩調を合わせるかという周辺国の悩みは、日本の制度設計と同型です。また地域フォーラムが資金難や休止から立ち直る道筋は、日本のIGF活動にも参考になります。
SEEDIG(南東欧地域IGF) ってどんな会議?(はじめての方へ)
SEEDIG(南東欧地域IGF)は、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- SEEDIG 8 — SEEDIG(公式)(参照: 2026-07-11)
- SEEDIG 8 Hosted in Croatia 6-7 November — 国連IGF事務局 (intgovforum.org, NRI news)(参照: 2026-07-11)
- 8th Annual Meeting of the South Eastern European Dialogue on Internet Governance – SEEDIG 8 — Internet Society Foundation(助成プロジェクトページ)(参照: 2026-07-11)
- SEEDIG 8: Regionalna Sinergija za Napredak Zajednice — domene.hr(クロアチア .hr レジストリ/CARNET)(参照: 2026-07-11)
- South Eastern European Dialogue on Internet Governance — Wikipedia (en)(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2023年5月6日 13:00(記事コンテンツアップ)
第2稿更新 2026年7月11日 02:14(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))
— 中澤祐樹
