第15回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB15) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Brazil IGF 2025 サルバドール — サムネイル

3行まとめ

Brazil IGF 2025 サルバドール — 3行まとめ

  1. 2025年5月26〜30日、バイーア州サルバドールのフィエスタ・バイーア・ホテルで第15回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB15)が開催されました。ワークショップ公募は4年連続過去最多の197件にのぼり、27件が採択。開会式には科学技術革新相ら3閣僚が顔をそろえました。
  2. 最大の成果はCGI.brによる「SNSプラットフォーム規制原則」案の提示です。主権・情報の完全性・透明性など9項目の原則案を公開協議にかけ(約300件の意見を経て同年8月に10原則として確定)、ほかにAIと文化・教育、CGI.br設立30周年が柱となりました。
  3. 翌月の国連IGFオスロ会合と年末のWSIS+20を見据えた準備会合でもあり、SNS規制のルールづくりを国民的協議で進めるブラジル方式は、プラットフォーム規制を模索する日本にとって格好の比較対象です。

こんにちは、中澤です。この記事は 第15回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB15) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Brazil IGF 2025 サルバドール — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第15回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB15)
会期 2025-05-26 〜 2025-05-30
会場 フィエスタ・バイーア・ホテル(サルバドール、バイーア州)
テーマ 地域の共通課題
ワークショップ数 27
主催 ブラジル・インターネット運営委員会(CGI.br)、実務はNIC.br
特記 CGI.br設立30周年(1995年設立)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Brazil IGF 2025 サルバドール — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. SNS規制原則 — 9原則案の提示と公開協議

取り上げたセッション: メインセッション「デジタルプラットフォーム規制の原則と指針: 合意形成の課題」

  • CGI.brはFIB15の機会にSNS・プラットフォーム規制の原則案を提示。①主権、②自由・プライバシー・人権、③情報の完全性、④情報自己決定、⑤イノベーションと発展、⑥透明性と説明責任、⑦責任、⑧規制の比例性、⑨規制環境とガバナンスの9項目に整理された(ヘナタ・ミエリCGI.brコーディネーターの提案で関連項目を統合) [5][6]
  • 原則案は5〜6月の公開協議にかけられ、全国から約300件の意見が寄せられた。同年8月に「SNSプラットフォーム規制のための10原則」として最終版が公表された [5][6]
  • 基本権の保護と情報空間の完全性(integridade da informação)の確保が、規制目的の中心に据えられた [5][6]

2. CGI.br設立30周年 — マルチステークホルダー型ガバナンスの棚卸し

取り上げたセッション: 30周年記念セッション(5月30日)・Prêmio Destaques CGI.br授賞式(5月29日)

「FIBは2011年、インターネットガバナンスをめぐる多元的な対話の場として構想されました」
デミ・ゲチュコ(NIC.br理事長、「ブラジル・インターネットの父」) [2][3][4]

  • 1995年設立のCGI.brの30年を記念し、最終日に祝賀セッションを開催。多セクター合議で国のネット政策を運営するブラジル・モデルの先駆性が振り返られた [2][3][4]
  • 29日には国内のインターネット発展への貢献者を表彰する「Prêmio Destaques CGI.br」授賞式を実施 [2][3][4]
  • 開会式にはルシアナ・サントス科学技術革新相、フレデリコ・デ・シケイラ・フィリョ通信相、シドニオ・パルメイラ社会コミュニケーション長官の3閣僚が出席 [2][3][4]

3. AIと文化・教育 — サルバドール発の公共的AI論

取り上げたセッション: 地元企画セッション「人工知能: 文化・教育・公共の利益」(5月28日)

  • サルバドール現地実行委員会の企画で、AIを文化・教育・公共の利益の観点から議論。倫理・デジタル包摂とあわせ、アフロ・ブラジル文化の中心地ならではの視点が持ち込まれた [2][4]
  • 採択27ワークショップのマクロテーマは「多様性と包摂」「人工知能」「インフラ・アクセス・接続性」が中心で、AIが国内ガバナンス議論の主軸に定着したことを示した [2][4]

4. 世界IGF・WSIS+20への橋渡し — 準備会合としてのFIB

取り上げたセッション: 全体プログラム

  • FIB15は翌月の国連IGF 2025(ノルウェー・オスロ、6月23〜27日)に向けたブラジルの準備活動と明確に位置づけられた [3][4]
  • 2025年末のWSIS+20見直し(IGFマンデート更新を含む)を控え、マルチステークホルダー方式の擁護というブラジルの伝統的立場が再確認された [3][4]
  • デミ・ゲチュコは「より包摂的で開かれ、アクセスしやすいインターネット」に向けて結束を呼びかけた [3][4]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. この年の一番のニュースは?

A. SNS規制の「原則」がお披露目されたことです。CGI.brが主権・情報の完全性・透明性など9項目の原則案を提示して国民から意見を募り、8月に10原則として確定しました。法律の前にまず原則を社会全体で合意する、というやり方です。

Q. 節目の回だったの?

A. はい。15回目のフォーラムであると同時に、主催のCGI.br設立30周年でした。3人の閣僚が開会式に出席し、「ブラジル・インターネットの父」ゲチュコ氏が30年を振り返りました。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。SNS規制の原則づくりを公開協議で進める手法は、日本の情報流通プラットフォーム対処法後の制度論議への示唆に富みます。また翌月の国連IGFオスロ会合・年末のWSIS+20に直結する準備会合でもありました。

Brazil IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Brazil IGF 2025 サルバドール — Brazil IGFの位置づけ

Brazil IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2025年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. FIB15 — 15º Fórum da Internet no Brasil — FIB / CGI.br(公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  2. 15º Fórum da Internet no Brasil acontece de 26 a 30 de maio em Salvador — IHAC / バイーア連邦大学(UFBA)(参照: 2026-07-11)
  3. Em Salvador, 'pai da Internet no Brasil' debaterá futuro da rede — A TARDE(バイーア州の日刊紙)(参照: 2026-07-11)
  4. CGI.br abre inscrições gratuitas para o 15º Fórum da Internet no Brasil — CGI.br(公式リリース)(参照: 2026-07-11)
  5. Redes Sociais: CGI.br propõe princípios para sua regulação — Mobile Time(専門メディア)(参照: 2026-07-11)
  6. Após consulta aberta, CGI.br apresenta versão final dos Princípios para a Regulação de Redes Sociais — CGI.br(公式リリース)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2025年8月27日 13:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹