FGI France 2023(フランスIGF) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

France IGF 2023 パリ — サムネイル

3行まとめ

France IGF 2023 パリ — 3行まとめ

  1. 2023年7月6日、FGI France 2023がパリのソルボンヌ大学とオンラインで開催。ICANN設立25周年を機に「10年後のインターネットガバナンス」を展望し、6つのアトリエと2つのプレナリーが行われました。
  2. 開幕プレナリーはICANN暫定CEOサリー・コスタートンの総括で締めくくられ、閉会プレナリー「インターネットと脆弱性」には「インターネットの父」ヴィント・サーフも登壇。AIとサイバーセキュリティ、分断と私有化、インフラ地政学、迷惑メール対策、アドテックと分科会は多彩でした。
  3. 生成AI元年に「弱い立場の利用者を守る統治」を正面に据えたフランスらしい回です。ネットの脆弱性をめぐる議論は、日本の誹謗中傷対策やプラットフォーム規制にも重なります。

こんにちは、中澤です。この記事は FGI France 2023(フランスIGF) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

France IGF 2023 パリ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 FGI France 2023(フランスIGF)
会期 2023-07-06
会場 ソルボンヌ大学(パリ13区、91 boulevard de l'Hôpital)+オンライン
テーマ 地域の共通課題
ワークショップ数 6
主催 Internet Society France(組織委共同議長: Nicolas Chagny/Internet Society France、Lucien Castex/Afnic)
特記 ICANN設立25周年(開幕プレナリーの主題)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

France IGF 2023 パリ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. ICANN 25周年 — 10年後のインターネットガバナンスを描く

取り上げたセッション: 開幕プレナリー「ICANN 25周年 — 10年後のインターネットガバナンスは?」(9:50〜11:00、進行: Emma Caner/OVHcloud)

  • INRIAのジャン=フランソワ・アブラマティック、Internet & Jurisdictionのベルトラン・ド・ラ・シャペル、EURALOのセバスチャン・バショレ、GoDaddyとOrangeの実務家が、ドメイン名を軸とした調整機関ICANNの四半世紀を振り返り、次の10年の統治像を議論 [2][1]
  • プレナリーはICANN暫定社長兼CEOサリー・コスタートンの総括で締めくくられた [2][1]
  • 冒頭にはAfnicのルシアン・カステックスによる入門解説「2語で語るインターネットガバナンス」が置かれ、一般参加者への導入が図られた [2][1]

2. インターネットと脆弱性 — ヴィント・サーフも加わった閉会討論

取り上げたセッション: 閉会プレナリー「Internet et vulnérabilité」(16:00〜17:00、進行: Lucien Castex)

  • 「インターネットの父」と呼ばれるヴィント・サーフ(Google)が登壇し、国家デジタル評議会(CNNum)のジャン・カタン、CNIL、権利擁護官事務所、Arcomの担当者らと、脆弱な立場の利用者を支えるネットの統治を議論 [2]
  • 反差別省庁間代表部(DILCRAH)のシャニ・ベヌアリド氏の参加が示すように、ヘイト・差別対策やアクセシビリティといった人権面からインターネットを問い直すフランスらしい切り口が主題となった [2]

3. AIとサイバーセキュリティ — 生成AI元年の攻防

取り上げたセッション: アトリエ「AIとサイバーセキュリティ」(13:45〜15:00、進行: Samih Souissi/ANSSI)

  • ANSSI(国家情報システムセキュリティ庁)のアリックス・デュラン、CNILのフロラン・デラ・ヴァル、INRIAのイザベル・リル、セキュリティ企業HarfangLabのコンスタン・ブリドンが、AIがサイバー攻撃と防御の双方にもたらすリスクと機会を検討 [2][3]
  • 生成AIブーム最初の年のフォーラムとして、規制当局(CNIL)・安全保障当局(ANSSI)・研究機関・民間が同じテーブルで論点を整理した点に意義があった [2][3]

4. 分断・私有化・インフラ地政学 — インターネットは誰のものか

取り上げたセッション: アトリエ「インターネットの分断と私有化」(13:45〜15:00)、「インターネット・インフラの地政学」(11:20〜12:35)

  • AfnicのピエールボニスCEO、ICANNのアラン・デュラン、IFRI(フランス国際関係研究所)のジュリアン・ノセッティ、CNRSのフランチェスカ・ムジアーニが、国家による分断圧力と大手プラットフォームによる私有化という二重の遠心力を議論 [2][3]
  • 午前には地政学研究者ケヴィン・リモニエらによるインフラ地政学のアトリエも開催され、AfnicチームによるSPF・DKIM・DMARCなどメール認証技術の実務アトリエ、アドテックとプライバシーの将来を問うアトリエも並行して行われた [2][3]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が特別な回だったの?

A. ICANN設立25周年に合わせて「10年後のネット統治」を占った回です。しかも閉会討論には「インターネットの父」ヴィント・サーフが登壇。国内IGFとしては豪華な布陣でした。

Q. 一番の論点は?

A. 「インターネットと脆弱性」です。ヘイトや差別、ネットを使いこなせない人たちをどう守るか — 技術の話に閉じず、弱い立場の利用者を中心に統治を考え直す議論が軸になりました。

Q. 自分に関係ある?

A. あります。生成AIとサイバー攻撃、迷惑メール対策(SPF/DKIM/DMARC)、広告トラッキングの行方など、この回の分科会テーマは日本のネット利用者が日々直面する問題そのものです。

France IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

France IGF 2023 パリ — France IGFの位置づけ

France IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. Forum sur la gouvernance de l'Internet France 2023 (FGI France) — Internet Society France(参照: 2026-07-11)
  2. FGI France 2023 — Programme complet — FGI France(Medium公式)(参照: 2026-07-11)
  3. FGI 2023 : rendez-vous gratuitement à Paris le 6 juillet pour dialoguer sur la gouvernance de l'Internet — Next(next.ink、旧Next INpact)(参照: 2026-07-11)
  4. Renaissance Numérique vous donne rendez-vous au FGI France 2023 — Renaissance Numérique(参照: 2026-07-11)
  5. FGI France 公式サイト(沿革・アーカイブ、2023年版リプレイ) — FGI France (igf-france.fr)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2023年6月14日 15:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹