3行まとめ
- 2025年11月13日、FGI France 2025がパリ東郊バニョレのCampus Fonderie de l'Imageとオンラインで開催。IGF創設20年の節目に「責任あるAIのガバナンス」を開幕プレナリーの主題に据えました。
- AIと地域、ポスト量子時代のインターネット、「インターネットを使わない権利」といった先端アトリエに加え、ICANN・Afnicらが2026年開始の新gTLD応募ラウンドを解説。AIリテラシー教育の全国的な底上げ策も提案されました。
- 生成AIが日常化する一方で約1,600万人がデジタル活用に困難を抱えるフランスの現実は、日本のデジタル格差と重なります。AI教育を統治問題として扱う視点は日本の政策議論にも有益です。
こんにちは、中澤です。この記事は FGI France 2025(フランスIGF) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
📍 会場は前年に続きパリ市に隣接するセーヌ・サン・ドニ県バニョレ。公式には「イル・ド・フランスおよびオンライン」開催と案内された
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | FGI France 2025(フランスIGF) |
| 会期 | 2025-11-13(8:30〜20:00) |
| 会場 | Campus Fonderie de l'Image/L'École Multimédia(バニョレ、83 avenue Gallieni)+オンライン |
| テーマ | 地域の共通課題 |
| 主催 | Internet Society FranceとAfnic(組織委共同議長: Nicolas Chagny・Lucien Castex。パートナーにRenaissance Numérique、CFA numiA ほか) |
| 特記 | WSIS(世界情報社会サミット)チュニス会合から20年・IGF創設20年の節目 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 責任あるAIのガバナンス — 1,600万人の「置き去り」を防ぐ
取り上げたセッション: 開幕プレナリー「Quelle gouvernance pour une Intelligence Artificielle responsable ?」(2025年11月13日)
「(FGIを)議論と提案を織り交ぜた道具にし、素晴らしく良いアイデアを具体的で実行可能なものにしたい」
— Nicolas Chagny(FGI France組織委共同議長) [5][4][1]
- Renaissance Numériqueのジャン=フランソワ・ルカ事務局長は、生成AIが急速に普及する一方でフランスでは約1,600万人がデジタル活用に困難を抱えると指摘し、AIリテラシーを広げる3つの「集合的レバー」— 初期教育でのデジタル・AI教育の強化、デジタルとAI教育に関する全国会議の開催、全国共通のスキル基準の整備 — を提案 [5][4][1]
- CTRL-A、Rainer School、IGN(国立地理森林情報院)など多様な登壇者が「責任あるAI」の定義と、包摂的なデジタル参加を阻む壁を議論 [5][4][1]
- 組織委は本大会を「技術ガバナンスに自己完結せず、デジタルの社会的課題へ開かれたフォーラム」と位置づけ、プレナリーではAI教育の必要性を強調した [5][4][1]
2. 新gTLDラウンド2026 — ドメイン名空間がまた広がる
取り上げたセッション: ICANN・Afnicパネル(新gTLDプログラム次期ラウンド)
- ICANNのクリストファー・モンディーニ(マネージングディレクター)、地域ドメイン「.alsace」を立ち上げたバンジャマン・ルイ(Sparkling CEO)、AfnicのピエールボニスCEOが、2026年に応募受付が始まるICANNの新gTLDラウンドを解説 [1][2]
- 2012年の前回ラウンド以来となる拡張を前に、フランスの自治体・企業・コミュニティにとっての機会と留意点が具体的に議論された [1][2]
3. WSISから20年 — 節目の年の国内対話
取り上げたセッション: 大会全体テーマ(プレナリー・各アトリエ横断)
- 2005年のWSIS(世界情報社会サミット)チュニス会合とIGF創設から20年の節目に、フォーラムの意義と今後のあり方を再考。国連のWSIS+20見直しと同じ年の国内対話として位置づけられた [2][4]
- 組織委共同議長のシャニー氏は事前インタビューで、20年を機にFGIを単なる討論の場から「議論と提案を織り交ぜる」実装志向の場へ進化させたいと表明した [2][4]
4. 未来のアトリエ — ポスト量子、AIと地域、「使わない権利」
取り上げたセッション: 「デジタルの未来アトリエ(Ateliers de l'Avenir Numérique)」4本ほか、体験型企画
- アトリエは「AIと地域」「ポスト量子時代のインターネット(耐量子暗号への移行)」「インターネットを使わない権利」など、規制の先を見据えたテーマが並んだ [1][2]
- CollectivZ制作の対話型ゲーム「ZOE vs ADAM」がホールで終日実施され、AIツールと集合知を来場者が体験。Arcepのアキム・ウラル氏ら規制側の登壇もあり、遊びと政策議論を往復する設計となった [1][2]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何がテーマだったの?
A. 「責任あるAI」です。IGF創設20年の節目に、AIをどう統治し、誰もが使いこなせるようにするかを議論しました。フランスでは約1,600万人がデジタル活用に困難を抱えており、AI教育の全国的な仕組みづくりが提案されました。
Q. 変わったテーマもあった?
A. はい。「インターネットを使わない権利」や「ポスト量子時代のインターネット」というアトリエがありました。つながらない自由をどう保障するか、量子コンピュータ時代に暗号をどう守るか — 少し先の統治問題を先取りしています。
Q. 自分に関係ある?
A. あります。2026年に始まるICANNの新gTLDラウンドは日本の企業・自治体にも応募機会が開かれますし、耐量子暗号への移行は日本の銀行や行政システムでも既に始まっている課題です。
France IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
France IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2025年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- Forum sur la Gouvernance de l'Internet France 2025 : le 13 novembre 2025 en Île-de-France et en ligne — Internet Society France(参照: 2026-07-11)
- The French Internet Governance Forum (FGI France) 2025 — Afnic(解説記事)(参照: 2026-07-11)
- French Internet Governance Forum 2025 – IGF France(アジェンダ) — Afnic(参照: 2026-07-11)
- Forum sur la Gouvernance de l'Internet France 2025 : 4 questions à Nicolas Chagny — CFA numiA(インタビュー)(参照: 2026-07-11)
- Quelle gouvernance pour une IA responsable ?(開幕プレナリー報告) — Renaissance Numérique(参照: 2026-07-11)
- FGI France 公式サイト(沿革・アーカイブ、2025年版リプレイ) — FGI France (igf-france.fr)(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2025年6月3日 16:00(記事コンテンツアップ)
第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))
— 中澤祐樹

