IGF 2021国内事前会合 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Japan IGF 2021 オンライン — サムネイル

3行まとめ

Japan IGF 2021 オンライン — 3行まとめ

  1. 2021年10月27〜28日、IGF 2021(12月・ポーランド開催)に向けた「IGF 2021国内事前会合」がオンラインで開かれました。主催は同年5月に発足した「IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム」です。
  2. 2日間で6セッションが行われ、サイバー主権とスプリンターネット、脆弱性情報のガバナンス、エンド・ツー・エンド暗号化、ネットワーク中立性、海賊版対策と表現の自由などを議論しました。
  3. IGF 2023の日本開催を見据えて「マルチステークホルダーの政策対話の場」を国内に作る構想が正面から議論された、日本IGF誕生の助走となる会合です。

こんにちは、中澤です。この記事は IGF 2021国内事前会合 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Japan IGF 2021 オンライン — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 IGF 2021国内事前会合
会期 2021-10-27 〜 2021-10-28(各日16:00〜19:00)
会場 オンライン(Zoom)
テーマ 地域の共通課題
セッション数 6
主催 IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム(2021年5月発足)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Japan IGF 2021 オンライン — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. サイバー主権とスプリンターネット — 分裂するインターネットの現状と課題

取り上げたセッション: Day 1 セッションD1-1(10月27日16:10〜17:00)

  • 八田真行氏(駿河台大学)と高須正和氏(スイッチサイエンス)の進行で、インターネットのナショナリズム化と物理世界との相互影響を議論しました [3]
  • 国家によるネット統制の広がりを踏まえ、グローバルに単一なインターネットが保てるのかという、後のIGF本会合でも続く論点を国内で先取りしました [3]

2. セキュアな製品と暗号 — 脆弱性情報のガバナンスとE2E暗号化規制

取り上げたセッション: Day 1 セッションD1-2・D1-3(10月27日17:10〜19:00)

  • 脆弱性情報のガバナンスでは、伊藤智貴氏(JPCERT/CC)の進行で渡辺貴仁氏(IPA)と明尾洋一氏(サイボウズ)が登壇し、セキュアな製品づくりに向けた官・民・市民社会の取り組みを整理しました [3]
  • 続くセッションでは八田真行氏と星暁雄氏(ITジャーナリスト)が、各国で強まるエンド・ツー・エンド暗号化への規制の動きと社会への影響を議論しました [3]

3. マルチステークホルダー政策対話の場を目指して — 日本IGF構想の原点

取り上げたセッション: Day 2 セッションD2-1(10月28日16:00〜16:50)

  • 前村昌紀氏(JPNIC)と立石聡明氏(JAIPA)の進行で、飯田陽一氏(総務省)、加藤幹之氏(MK Next)、上村圭介氏(大東文化大学)が「日本におけるマルチステークホルダーでのインターネット政策対話の場」の在り方を議論しました [1][3][4]
  • 主催の活発化チームは2021年5月に発足したばかりで、IGF 2023の日本開催を見据えた国内対話の場の設計そのものが議題となりました [1][3][4]
  • この構想が翌2022年の「日本インターネットガバナンスフォーラム2022」開催として結実します [1][3][4]

4. ネットワーク中立性 — 韓国Netflix訴訟のインパクト

取り上げたセッション: Day 2 セッションD2-2(10月28日17:00〜17:50)

  • 水越一郎氏(NTT東日本)の進行で、実積寿也氏(中央大学)と趙章恩氏(KDDI総合研究所)が、韓国で争われたNetflixと通信事業者の網利用料訴訟を素材に議論しました [3]
  • 大量トラフィックを生むコンテンツ事業者と通信インフラのコスト負担のあり方という、その後日本や欧州にも波及する論点をいち早く取り上げました [3]

5. 海賊版サイト対応と表現の自由 — インターネットは"Trusted"であり続けられるか

取り上げたセッション: Day 2 セッションD2-3(10月28日18:00〜18:50)

  • 立石聡明氏の進行で、宍戸常寿氏(東京大学)、森亮二氏(英知法律事務所)、池田光翼氏(総務省)、田中恵子氏(京都情報大学院大学)が登壇しました [3]
  • 海賊版サイトへの対応策と「表現の自由」の緊張関係という、ブロッキング議論以来の日本の難題を、マルチステークホルダーの顔ぶれで議論しました [3]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. この会合は何のために開かれたの?

A. 12月にポーランドで開かれるIGF 2021に向けて、日本国内の論点を先に議論しておく事前会合です。あわせて、2023年のIGF日本開催に向けて国内の議論の場を育てる狙いがありました。

Q. 「日本IGF」とは違うの?

A. この時点では「日本IGF」名義の全国会合はまだ存在しません。この事前会合を主催した活発化チームが、翌2022年に初の「日本インターネットガバナンスフォーラム」を開きます。

Q. 自分に関係ある話はあった?

A. あります。動画サービスの通信費を誰が負担するか(ネット中立性)、メッセージの暗号化への規制、海賊版サイト対策と表現の自由など、ふだんのネット利用に直結するテーマばかりです。

Japan IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Japan IGF 2021 オンライン — Japan IGFの位置づけ

Japan IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2021年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. IGF 2021国内事前会合開催のご案内 — JPNIC(参照: 2026-07-11)
  2. IGF 2021国内事前会合プログラムのご案内 — JPNIC(参照: 2026-07-11)
  3. IGF 2021国内事前会合プログラム概要のご案内 — JPNIC(参照: 2026-07-11)
  4. JPNIC News & Views vol.1874(IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム発足) — JPNIC(参照: 2026-07-11)
  5. IGF国内事前会合シリーズ一覧 — Japan IGF(日本IGF公式サイト)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2021年9月8日 14:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹