第3回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2014) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Korea IGF 2014 ソウル — サムネイル

3行まとめ

Korea IGF 2014 ソウル — 3行まとめ

  1. 2014年7月4日、ソウル・駅三洞の創業支援施設D.CAMPで第3回KrIGFが開かれました。テーマは「参加と協力によるインターネットガバナンス」、参加者は約50〜70人でした。
  2. 米国がインターネット根幹資源(IANA機能)の監督権限を手放すと発表した直後で、ICANN国際化への韓国の対応と、国内に常設のマルチステークホルダー協議体を作る構想が主要議題となりました。
  3. この回から市民社会・学界・民間の提案による共同開催に転換し、同年11月のKIGA発足に結実します。官主導から民主導へ——国別IGFの運営が変わる瞬間の記録です。

こんにちは、中澤です。この記事は 第3回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2014) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Korea IGF 2014 ソウル — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第3回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2014)
会期 2014-07-04(10:00〜18:00)
会場 銀行圏青年創業財団「D.CAMP」6階多目的ホール(ソウル・駅三洞)
テーマ 参加と協力によるインターネットガバナンス
参加者 50(KIGA公式の開催履歴表では約50人、GISWatch国別報告では約70人と記録に幅がある)
セッション数 5
基調講演 全吉男(チョン・キルナム)KAIST名誉教授による基調講演「Multi-stakeholder Model – under development」
主催 韓国インターネットガバナンスフォーラム組織委員会(市民社会・学界・民間が提案し、KISA・Naver・Daum・Gabia・Googleなどが共催)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Korea IGF 2014 ソウル — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. IANA機能移管 — 米国の「インターネット手放し」と韓国の立ち位置

取り上げたセッション: ワークショップ1「ICANN・IANAの国際化イシューと韓国の立場」(11:00〜12:30、司会: イ・ヨンウム韓国放送通信大教授)

  • 2014年3月に米商務省NTIAがインターネットの根幹資源(IANA機能)の監督権限を手放す方針を発表した直後で、KAISTのイ・ドンマン教授がNTIAのIANA移管について発表し、オープンネットのチョン・ウンフィ氏、KISAのファン・インピョ氏らが討論しました [1][2]
  • ルートサーバーやドメインの管理が米国政府の監督下からグローバルなマルチステークホルダー体制へ移る歴史的転換に、韓国がどう関与し発言力を確保するかが焦点となりました [1][2]

2. 基調講演・全吉男 — 「韓国インターネットの父」が語るマルチステークホルダー

取り上げたセッション: 基調講演「Multi-stakeholder Model – under development」(10:30〜10:50)

  • 「韓国インターネットの父」と呼ばれる全吉男(チョン・キルナム)KAIST名誉教授が、なお発展途上にあるマルチステークホルダーモデルの現在地を基調講演で語りました [1][2]
  • 開会式には未来創造科学部のソン・ギョンヒ氏、KAISTのイ・ドンマン教授、Daumのイ・ビョンソン氏、オープンネットのチョン・ウンフィ氏が登壇し、政府・学界・企業・市民社会がそろって新体制の船出を告げました [1][2]

3. 市民社会主導への転換 — 官主導フォーラムの再出発

取り上げたセッション: 複数セッション

  • 第3回は市民社会・学界・民間が提案し、KISAがあとから共催に加わる形で実現しました。政府機関KISAの主導だった過去2回からの大転換です(GISWatch国別報告) [4][3]
  • 同年4月のNETmundial(ブラジル)とCGI.brモデルに触発され、2014年11月13日には官民5部門29委員からなる多者間インターネットガバナンス協議会(KIGA)が発足。以後のKrIGFはKIGAが毎年主催します [4][3]

4. 国内政策決定プロセスの点検 — 常設マルチステークホルダー機構の構想

取り上げたセッション: ワークショップ2「既存インターネット政策決定プロセスの評価」(13:30〜15:00)・ワークショップ3「国内マルチステークホルダー政策プラットフォームの構築」(15:30〜17:00)

  • ワークショップ2ではユン・ジョンス弁護士の司会で、チョン・チャンモ氏、KISO(韓国インターネット自律政策機構)のキム・ギョンテ氏、進歩ネットワークセンターのオ・ビョンイル氏らが韓国の政策決定プロセスを点検しました [2][5]
  • ワークショップ3ではキム・ボラミ弁護士が国内の常設マルチステークホルダー協議プラットフォーム構想を発表し、のちのKIGA発足の土台となりました [2][5]
  • 市民社会側でも同年2月に網中立性利用者フォーラムが電子書籍『インターネットガバナンスを語る』を刊行するなど、民間主導ガバナンス論の蓄積が進んでいました [2][5]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. そもそも何が決まった会議なの?

A. 決議はありませんが、実質的な成果は大きい回です。常設のマルチステークホルダー協議体の構想がここで議論され、4か月後の多者間インターネットガバナンス協議会(KIGA)発足に結実しました。

Q. 一番モメた点は?

A. 米国がインターネット根幹資源(IANA)の監督権限を手放したあと、誰がどう管理すべきか。そして韓国国内でも、政府主導の政策決定を利用者や民間参加型にどう改めるかです。

Q. 自分に関係ある?

A. あります。ドメインやネットのルールが「役所の告示」ではなく多様な関係者の合意で決まる仕組みづくりは、この時期に日本を含む各国で同時進行した課題で、韓国はその転換を鮮やかに見せた例です。

Korea IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Korea IGF 2014 ソウル — Korea IGFの位置づけ

Korea IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2014年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. 2014 KrIGF 개요(第3回フォーラム概要) — KrIGF公式サイト(Kr-IGF 한국 인터넷거버넌스포럼)(参照: 2026-07-11)
  2. 2014 프로그램(第3回フォーラム プログラム) — KrIGF公式サイト(Kr-IGF 한국 인터넷거버넌스포럼)(参照: 2026-07-11)
  3. 한국 인터넷거버넌스포럼 (KrIGF) 소개・개최 이력(開催履歴表) — KRNIC 한국인터넷정보센터(KISA運営)(参照: 2026-07-11)
  4. Korea, Republic of — Internet governance country report — Global Information Society Watch(APC)(参照: 2026-07-11)
  5. 인터넷거버넌스를 말하다(電子書籍『インターネットガバナンスを語る』) — 망중립성이용자포럼(網中立性利用者フォーラム・進歩ネットワークセンター掲載)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2014年7月19日 11:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹