第13回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2024) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Korea IGF 2024 ソウル — サムネイル

3行まとめ

Korea IGF 2024 ソウル — 3行まとめ

  1. 2024年6月28日、第13回韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2024)がソウルのフランシスコ教育会館でハイブリッド開催され、「AI時代、安全と人権のマルチステークホルダー・ガバナンス」を掲げて12セッションが行われました。
  2. グローバル・サイバー安保ガバナンスにおける韓国の役割、放送通信審議委員会によるネット検閲の是非、ビッグテックのデータ支配を問う「テクノ封建主義」のYouthセッションなど、安全と人権の緊張を軸に議論が展開しました。
  3. 国連グローバル・デジタル・コンパクト採択の年に、国際アジェンダと国内の検閲論争を同じ場で議論した構成は、日本のIGF活動が国際・国内議題をどう接続するかのヒントになります。

こんにちは、中澤です。この記事は 第13回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2024) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Korea IGF 2024 ソウル — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第13回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2024)
回次 第13回
会期 2024-06-28
会場 フランシスコ教育会館(ソウル)、オンライン参加併用・YouTube中継
テーマ AI時代、安全と人権のマルチステークホルダー・ガバナンス(인공지능 시대, 안전과 인권의 멀티스테이크홀더 거버넌스)
セッション数 12
主催 韓国インターネット振興院(KISA、イ・サンジュン院長)と多者間インターネットガバナンス協議会(KIGA)など17の機関・団体・企業が共同開催

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Korea IGF 2024 ソウル — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. グローバル・サイバー安保ガバナンス — 韓国の役割を探る

取り上げたセッション: セッション「グローバル・サイバー安保ガバナンスの現在と韓国の役割」

  • 東国大学国際情報保護大学院のイ・チャンボム客員教授が発題し、ランサムウェア・DDoS・AIによる偽ニュースの増加に加え、国家が背後にいる攻撃、攻撃主体の特定困難、犯罪と戦争の境界の曖昧化をグローバル・サイバー犯罪の特徴として整理しました [3]
  • 国家安保戦略研究院のキム・ソジョン博士は政府・公共・民間の間の情報共有不足を指摘し、リアルタイム情報共有体系や相互運用性の確保、フォレンジック協力の必要性も提起されました [3]
  • 進歩ネットワークセンターのオ・ビョンイル代表は、安保政策の協議における透明性の確保と多様な声の包摂を注文しました [3]

2. 放送通信審議委員会のネット検閲 — このままでよいのか

取り上げたセッション: セッション「放送通信審議委員会のインターネット検閲、このままでよいのか?」

  • 行政機関である放送通信審議委員会(KCSC)が違法・有害情報の遮断を通じて事実上のネット検閲を行っているのではないか、という韓国特有の論争が独立セッションとして扱われました [2]
  • 違法情報への対応の必要性と表現の自由の緊張という、「安全と人権」テーマを最も鋭く体現する議題でした [2]

3. テクノ封建主義 — ビッグテックのデータ支配を問うYouthセッション

取り上げたセッション: セッション2(Youth)「テクノ封建主義時代、超国籍データガバナンスに対する政治学的考察」

  • マイクロソフトやグーグルがAI開発のため世界規模でデータセンターを建設する状況を踏まえ、巨大資本とデータを握る企業が「デジタル領地」を支配し、他の企業や利用者がその上で暮らす「テクノ封建主義」の構図を若手研究者が提起しました [4]
  • データとプラットフォームが生む不平等、周辺部の困難、テクノ封建主義を乗り越える超国家的ガバナンスの原則が論点となり、学界・KISA・オープンネット・カカオの討論者が応じました [4]

4. 国連アジェンダと足元のインフラ — GDC・ルーティング安全・.krドメイン

取り上げたセッション: 国連デジタル協力アジェンダ、ルーティングセキュリティのチュートリアル、セッション9「3段階krドメインの公共2段階領域新設政策」ほか

「インターネットガバナンスは、政府・学界・産業界・市民団体など多様な利害関係者の観点から社会的イシューを議論することで、合理的な政策を導き出すことに意義がある(韓国語発言の翻訳)」
イ・サンジュン(韓国インターネット振興院〈KISA〉院長) [1][2]

  • 国連グローバル・デジタル・コンパクト採択を控えた年として、国連デジタル協力アジェンダを扱うセッションが置かれ、国際議論への国内対応が検討されました [1][2]
  • 「デジタル安全への道:インターネット・ルーティングの安全と信頼構築」チュートリアルや.krドメインの公共2段階ドメイン新設政策、「.krドメインの歴史・現在・未来」など、インフラと資源管理の議題も並びました [1][2]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 2024年のテーマはなぜ「安全と人権」?

A. AIとサイバー攻撃への「安全」対策が強まるほど、検閲や監視など「人権」との緊張が生じるからです。サイバー安保での韓国の役割と、放送通信審議委員会の検閲批判を同じ日に議論したのがその象徴です。

Q. 「テクノ封建主義」って何?

A. 巨大テック企業が資本とデータで「デジタル領地」を支配し、他の企業や利用者がその上で暮らすしかなくなる構図を、中世の封建制になぞらえた言葉です。若者提案のセッションで正面から議論されました。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。国連グローバル・デジタル・コンパクトへの対応は日本政府も迫られた課題ですし、違法・有害情報の遮断と表現の自由のバランスは日本の情報流通プラットフォーム対処法の議論と重なります。

Korea IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Korea IGF 2024 ソウル — Korea IGFの位置づけ

Korea IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2024年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. 2024년 제13회 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 개최(KISAプレスリリース) — 韓国インターネット振興院(KISA)(参照: 2026-07-11)
  2. 2024년 제13회 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 개최 안내(開催案内・セッション一覧) — 韓国インターネット振興院(KISA)(参照: 2026-07-11)
  3. 글로벌 사이버안보 거버넌스 측면에서 한국의 역할은 무엇인가(グローバル・サイバー安保ガバナンスにおける韓国の役割とは・セッション報告) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  4. [세션2] (Youth) 테크노 봉건주의(Techno-feudalism)시대, 초국적 데이터 거버넌스에 대한 정치적 고찰 — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  5. 2024 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 국문보고서/영문보고서(公式報告書・韓国語/英語) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  6. [LIVE] 2024년 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 개회식(開会式中継アーカイブ) — YouTube(KrIGFチャンネル)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2024年7月9日 16:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹