3行まとめ
- 2023年12月5〜6日、第7回IGF Perúが開かれました。1日目はオンライン、2日目はリマのホテルで対面という、政変で幕を閉じた前年からの「対面復帰」を果たしたハイブリッド回です。
- 5つの軸(デジタル変革・接続性・デジタル経済・市民イノベーション・AI)の下に6パネルを編成。AIと人権、憲法上の権利としてのインターネットアクセス、電子商取引、デジタルIDが主要議題でした。
- RENIEC長官やISOC・ヒペルデレチョの幹部が開会に並び、生成AI時代の人権保護をペルーの文脈で議論した最初の回として、以後のAI規制論議の起点になっています。
こんにちは、中澤です。この記事は IGF Perú 2023(第7回ペルー・インターネットガバナンスフォーラム) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | IGF Perú 2023(第7回ペルー・インターネットガバナンスフォーラム) |
| 会期 | 2023-12-05 〜 2023-12-06 |
| 会場 | 1日目オンライン、2日目はリマのオテル・ラマダ・アンコールで対面(ハイブリッド開催) |
| テーマ | 地域の共通課題 |
| 参加者 | 60(対面参加は約60人(公式サイトEdición 2024ページが「2023年版は約60人」と回顧)。オンラインはFacebook配信で公開) |
| 主催 | 組織委員会8者: ヒペルデレチョ、ComexPerú、ISICRI、Cultura Digital.pe、RENIEC、CGI USMP、ペルー科学ネットワークRCP、Democracia Digital。事務局はサンマルティン・デ・ポレス大学インターネットガバナンス研究センター(CGI USMP) |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 人権アプローチのAI — 生成AI時代の最初の本格討議
取り上げたセッション: パネル3「Inteligencia Artificial desde el Enfoque de Derechos Humanos」(12月6日)
- ヒペルデレチョ企画のパネルに、イリアルテ法律事務所のファティマ・トチェ氏、Internet Societyのウムット・パハロ氏、ヒペルデレチョ技術部長エドガル・ウアランガ氏が登壇しました [2]
- 「AIに基づくツールを開発する際には人権アプローチが重要」という点で一致し、続くパネル4では世界のAI規制動向との接続が図られました [2]
2. 開会講義 — エレイン・フォード氏が語るガバナンスの現在地
取り上げたセッション: 2日目開会セレモニー(12月6日、オテル・ラマダ・アンコール)
- フォード氏はインターネットガバナンスを「分散的・協調的にインターネットの運営を形づくるプロセスと規範」と説明し、Diplo財団の7領域(インフラ・セキュリティ・法・経済・開発・社会文化・人権)を紹介。国連の「デジタル相互依存の時代」報告書とジュネーブでのAI作業部会設置を重要なマイルストーンに挙げました [1]
- 開会にはRENIEC長官カルメン・ベラルデ氏、CGI USMPのマリツァ・アグエロ氏、ヒペルデレチョ事務局長ディルマル・ビジェナ氏が登壇しました [1]
3. 憲法上の権利としてのネットアクセス — 接続性と法制の2パネル
取り上げたセッション: パネル1「Conectividad e inclusión digital」・パネル2「アクセス権の憲法化と個人データ保護の政策動向」(12月6日)
- ペルーでは2023年、インターネットアクセスを憲法上の権利とする改正が公布されており、その具体化とデータ保護法制の改革が法・政策パネルの中心となりました [1]
- 接続性パネルは地方の未接続地域への投資と包摂を扱い、5軸の筆頭「接続性とデジタル市民権」を体現しました [1]
4. 電子商取引とデジタルID — RENIECが問うアイデンティティ基盤
取り上げたセッション: パネル5「Desafíos del comercio electrónico en el Perú」・パネル6「デジタルIDガバナンスの技術活用」(12月6日)
- 電子商取引パネルは決済・物流・消費者保護の実務課題を扱い、ComexPerúの主導で構成されました [1]
- 国民IDを所管するRENIECが組織委に入った年らしく、国家デジタルID(DNIe)のガバナンスと課題を正面から扱うパネルが設けられました [1]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. どんな年だったの?
A. 政変で3日目が中止になった前年を経て、対面開催に戻った回です。1日目オンライン・2日目リマのホテルというハイブリッドで、対面は約60人でした。
Q. 一番の議題は?
A. AIです。「AIツールの開発には人権アプローチを」という原則が確認され、憲法上の権利になったばかりのインターネットアクセスの具体化も議論されました。
Q. 日本に関係ある?
A. 生成AIの人権影響やデジタルIDのガバナンスは日本の論点と同じです。アクセス権を憲法に書き込んだペルーの実験は、権利保障の制度設計として注目に値します。
Peru IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Peru IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- IGF PERÚ | Una nueva edición del Foro de Gobernanza de Internet se llevó a cabo con expertos(2023年12月5〜6日開催の詳細報告) — Democracia Digital(D&D Internacional)(参照: 2026-07-23)
- Hablemos de Gobernanza de Internet en el Perú: IGF Perú 2023(共催者による開催報告。「octava」の回次表記は誤数え) — Hiperderecho(参照: 2026-07-23)
- Edición 2024 – Foro de Gobernanza de Internet Perú(2023年の対面参加約60人への言及) — IGF Perú(gobernanzadeinternet.pe)(参照: 2026-07-23)
- Peru IGF(NRI記録) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-23)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2026年8月7日 17時58分(記事コンテンツアップ)
— 中澤祐樹

