RIGF 2011(ロシアIGF・第2回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Russia IGF 2011 モスクワ — サムネイル

3行まとめ

Russia IGF 2011 モスクワ — 3行まとめ

  1. 2011年5月12日、モスクワのエクスポセンターで第2回ロシアIGF(RIGF 2011)が開かれ、500人超(うち海外から約100人)が参加しました。ICANN理事会議長やISOC副理事長も登壇しています。
  2. シチョゴレフ通信相が「ロシアはネットに厳格な統制を課さない」と言明したのが最大のニュース。CIS(旧ソ連)諸国のガバナンス、露米の未来シナリオ討論、欧州とのサイバー犯罪対策を円卓で議論しました。
  3. 国家統制への懸念が強まる中で、政府がマルチステークホルダー路線を公言した貴重な記録です。のちのロシアのネット規制強化と読み比べると、この時期の「開かれたRunet」の空気が分かります。

こんにちは、中澤です。この記事は RIGF 2011(ロシアIGF・第2回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Russia IGF 2011 モスクワ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 RIGF 2011(ロシアIGF・第2回)
会期 2011-05-12
会場 エクスポセンター(クラスナヤ・プレスニャ)(モスクワ)
テーマ 地域の共通課題
参加者 500(500人超・うち海外からの参加約100人(公式プレスリリース))
主催 ロシア国別ドメイン調整センター(Coordination Center for TLD RU)、共催: ロシア通信・マスメディア省

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Russia IGF 2011 モスクワ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 開会全体会合 — 「ロシアは厳格な統制を課さない」

取り上げたセッション: 全体会合「イノベーションの道具としてのインターネット」(10:30〜13:00)

「ロシアはインターネットの機能に厳格な統制を課すつもりはありません(公式プレスリリースより、英語からの翻訳)」
イーゴリ・シチョゴレフ(ロシア通信・マスメディア相) [3][4][2]

「共同統治こそが、インターネットを今の姿にしたのです(公式報告より、英語からの翻訳)」
マルクス・クンマー(ISOC公共政策担当副理事長) [3][4][2]

「今日、インターネットガバナンスは実のところ中澤の生活を統治しています(公式報告より、英語からの翻訳)」
マリーナ・ニケロワ(調整センター評議会議長) [3][4][2]

  • ICANN理事会のピーター・デンゲート・スラッシュ議長、ITUのントコ氏、スコルコボ財団、カスペルスキー研究所のナタリヤ・カスペルスキー氏ら、国際機関・産業界のトップが顔を揃えました(公式プログラム) [3][4][2]
  • 運用開始から1年となったキリル文字ドメイン.РФの歩みも節目として振り返られました [3][4][2]

2. CIS諸国のインターネットガバナンス — 旧ソ連圏の地域対話

取り上げたセッション: ラウンドテーブル2「CIS諸国のインターネットガバナンス」(14:00〜15:30)

  • モルドバのスコラ情報技術通信副大臣、キルギス・アルメニア・ウズベキスタン・ウクライナの専門家が一堂に会し、旧ソ連圏の国別課題を突き合わせました。司会はISOCのクンマー氏と調整センターのロマノフ副所長です(公式プログラム) [2][4]
  • 中央アジア・東欧の途上国では、アクセス整備とガバナンス制度づくりを同時に進めるという固有の難しさが共有されました [2][4]

3. 未来シナリオ討論 — 「島化するネット」から「世界政府」まで

取り上げたセッション: セッション「インターネットの未来シナリオ: ロシアと米国の視点」(16:00〜17:30)・基調講演(17:30〜18:30)

  • 「インターネットの島化」「ユーザー主権」「インターネットの世界政府」という3つのシナリオを、露米の論者が対で討論する趣向でした。米側はVeriSign、ジョージタウン大学、TechAmericaの代表が務めました(公式プログラム) [2][4]
  • 締めくくりにはインターネット黎明期の重鎮、カーネギーメロン大学のデビッド・ファーバー教授が基調講演を行いました [2][4]
  • 「島化」シナリオはのちの「スプリンターネット(ネット分裂)」論争を先取りするもので、2011年時点でロシアの会合が正面から扱っていたことは注目に値します [2][4]

4. 欧州との協調 — サイバー犯罪と国境を越えるネット

取り上げたセッション: ラウンドテーブル1「ロシアと欧州のインターネットガバナンスの展望」(14:00〜15:30)

「インターネットに特定の個人による統制は不要です。ただし、法的な監督は必要です(公式報告より、英語からの翻訳)」
ヨヴァン・クルバリヤ(DiploFoundation創設者) [2][4]

  • サイバー犯罪・サイバーテロ・過激主義への対処という欧州共通の課題を軸に、仏国際外交アカデミーのベルトラン・ド・ラ・シャペル氏、蘭SIDNのマイエルCEO、欧州評議会の越境インターネット作業部会副議長を務めるヤクシェフ氏らが議論しました(公式プログラム) [2][4]
  • 国家の関与と自主規制のバランスという、この後10年のロシアのネット政策を貫くテーマがすでに主戦場になっていました [2][4]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. そもそも何が決まった会議なの?

A. 拘束力のある決定はありませんが、通信相が「ネットに厳格な統制を課さない」と公言し、ICANNやISOCのトップと同じ壇上に立ったことが最大の成果です。政府の公式姿勢の記録として今も引用価値があります。

Q. 一番モメた点は?

A. インターネットの未来像です。「国ごとに島化する」「ユーザーが主導権を握る」「世界政府ができる」という3つのシナリオを露米の専門家が戦わせました。island化の議論は今の「ネット分裂」論争の先取りでした。

Q. 自分に関係ある?

A. あります。ここで議論された「ネットの島化」は、その後のロシアの主権インターネット法や各国のデータ localization 規制として現実化しました。分裂か開放かという問いは日本のネット利用者にも他人事ではありません。

Russia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Russia IGF 2011 モスクワ — Russia IGFの位置づけ

Russia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2011年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. Russian Internet Governance Forum – 2011(公式サイト) — ロシア国別ドメイン調整センター(Coordination Center for TLD RU)(参照: 2026-07-11)
  2. Program of Russian Internet Governance Forum – 2011(公式プログラム) — ロシア国別ドメイン調整センター(Coordination Center for TLD RU)(参照: 2026-07-11)
  3. RIGF-2011: Russia can play a pivotal role in the internet governance(公式プレスリリース・開催報告) — ロシア国別ドメイン調整センター(Coordination Center for TLD RU)(参照: 2026-07-11)
  4. RIGF 2011 Report(公式報告ページ) — ロシア国別ドメイン調整センター(Coordination Center for TLD RU)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2011年6月24日 09:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹