第6回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2017) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Korea IGF 2017 ソウル — サムネイル

3行まとめ

Korea IGF 2017 ソウル — 3行まとめ

  1. 2017年9月15日、ソウルの世宗大学校・広開土館で第6回KrIGFが開かれました。テーマは「賢いインターネット、開かれたガバナンス」、9ワークショップと3チュートリアルに約180人が参加しました。
  2. 「グーグル税」に象徴される国内外プラットフォームの逆差別、ゼロレーティング、フェイクニュース対応、住所資源法の改革、ブロックチェーンとAIまで、当時の争点を総ざらいしました。
  3. 海外プラットフォームへの課税・規制という今日まで続く論争を国別IGFが正面から扱った早い例で、日本のデジタル課税・プラットフォーム規制論議の先行事例としても読めます。

こんにちは、中澤です。この記事は 第6回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2017) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Korea IGF 2017 ソウル — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第6回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2017)
会期 2017-09-15
会場 世宗大学校 広開土館(ソウル)
テーマ 賢いインターネット、開かれたガバナンス
参加者 180(参加者数はKIGA公式の開催履歴表による概数(約180人)。GISWatchは共催19機関・後援11機関と記録)
セッション数 12(公募ワークショップ9本+チュートリアル3本(KIGA開催履歴表では12セッション))
トラック インターネット経済/安全なインターネット/ガバナンス/チュートリアルの4トラック
主催 KIGA(多者間インターネットガバナンス協議会)主催、KISA・Naverなど18機関が共催

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Korea IGF 2017 ソウル — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. グーグル税 — デジタル経済の「逆差別」論争

取り上げたセッション: ワークショップ1「デジタル経済の逆差別 — グーグル税以後の世界」(10:45〜12:15)

  • 国内企業には課税・規制が及ぶ一方、海外プラットフォームが免れているという「逆差別」への不満を背景に、いわゆるグーグル税以後の世界を議論しました [2][3]
  • GISWatchも、より広い聴衆を呼び込むため2017年はグーグル税・フェイクニュース・ブロックチェーンといった新興イシューをプログラム委員会が意識的に採り上げたと記録しています [2][3]

2. ゼロレーティング — 通信費対策か市場歪曲か

取り上げたセッション: ワークショップ4「通信費の解決策としてのゼロレーティング — 市場競争の観点」(13:30〜15:00)

  • 家計の通信費軽減策として当時の政権下で注目されたゼロレーティングを、市場競争とネット中立性の観点から検証しました [2]
  • 特定サービスだけ通信量を無料にする手法が、資金力のある大手を利し新規参入を阻むのではないかという論点が交わされました [2]

3. フェイクニュース — 虚偽情報対応のガバナンス

取り上げたセッション: ワークショップ8「デジタル虚偽情報対応ガバナンス」(15:15〜16:45、オープンネット提案)

  • 朴槿恵大統領の弾劾と2017年5月の大統領選挙を経て虚偽情報対策が韓国政治の焦点となる中、市民団体オープンネットの提案でフェイクニュース対応のガバナンスを議論しました [2][3]
  • 規制強化が表現の自由の抑圧に転じないか、プラットフォーム・報道機関・利用者の役割分担をどう設計するかが論点となりました [2][3]

4. 住所資源法の改革 — マルチステークホルダーの実装

取り上げたセッション: ワークショップ3「住所資源政策改革のための多者間ガバナンス実装」・ワークショップ9「インターネット住所資源のオープン政策」(KIGA提案)

  • インターネット住所資源政策の改革を扱う2本のワークショップで、政府主導の住所政策審議委員会をボトムアップ選出の自律的な委員会に置き換える法改正構想が議論されました [2][3]
  • KIGAはこの改正に向けたワーキンググループを設置しており、KRNICのKISAからの分離・独立も視野に入れた制度設計が示されました(GISWatch) [2][3]

5. ブロックチェーンとAI — チュートリアル・トラックで学ぶ新技術

取り上げたセッション: チュートリアル1「ブロックチェーン技術の理解と応用」(KISA ミン・ギョンシク氏)、2「AIの過去・現在・未来」(Kakao チョン・スホン氏)、3「インターネットガバナンス概要(IGF・ICANN・SIG)」

  • KISAのミン・ギョンシク氏によるブロックチェーン講座、Kakaoのチョン・スホン氏によるAI講座など、新技術を基礎から学ぶチュートリアル・トラックが常設されました [2]
  • IG概要チュートリアルではICANNのKelvin Wong氏らが登壇し、IGF・ICANN・インターネットガバナンススクール(SIG)の仕組みを紹介しました [2]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. そもそも何が決まった会議なの?

A. 決議はありませんが、グーグル税・フェイクニュース・住所資源法改正といったその年の争点を、政府・企業・市民が同じ部屋で議論する場として機能しました。議論は住所資源法改正案づくりなど実際の制度論議に接続しています。

Q. 一番モメた点は?

A. 「逆差別」問題です。国内IT企業だけが課税・規制を受け、海外巨大プラットフォームが免れているのは不公平ではないか——という不満が、グーグル税ワークショップで正面から扱われました。

Q. 自分に関係ある?

A. あります。海外プラットフォームへの課税やフェイクニュース対策は、その後日本でもデジタル課税・偽情報対策として本格化した論点で、韓国はその議論を一足早く公開の場で行っていました。

Korea IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Korea IGF 2017 ソウル — Korea IGFの位置づけ

Korea IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2017年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. 2017 KrIGF 개요(第6回フォーラム概要) — KrIGF公式サイト(Kr-IGF 한국 인터넷거버넌스포럼)(参照: 2026-07-11)
  2. 2017 프로그램(第6回フォーラム プログラム) — KrIGF公式サイト(Kr-IGF 한국 인터넷거버넌스포럼)(参照: 2026-07-11)
  3. Korea, Republic of — Internet governance country report — Global Information Society Watch(APC)(参照: 2026-07-11)
  4. 한국 인터넷거버넌스포럼 (KrIGF) 소개・개최 이력(開催履歴表) — KRNIC 한국인터넷정보센터(KISA運営)(参照: 2026-07-11)
  5. 2025년 제14회 한국 인터넷거버넌스포럼 세미나 정보(歴代テーマ一覧を含む) — 韓国国会図書館(국회도서관)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2017年7月11日 15:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹