Hungary IGF 2019(通称 Internet Generation Forum) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Hungary IGF 2019 ブダペスト — サムネイル

3行まとめ

Hungary IGF 2019 ブダペスト — 3行まとめ

  1. 2019年9月12日、ブダペストのHUNGEXPOでハンガリー初の国別IGFが「Internet Generation Forum」の愛称のもと開催されました。ITU Telecom Worldと連携した英語開催で、直接登録94名に加え大学生500名超の枠にも開放されました。
  2. 中東欧のインターネットの未来、AI時代の情報、若者のオンライン安全の3パネルを実施。AIパネルは「AI政策は人権を中心に据えるべきだ」との全会一致の結論に達し、欧州評議会も参加しました。
  3. V4諸国の学生コンペ優勝チームにはベルリンの世界IGF行きが贈られました。「IGF」を若者世代の言葉に読み替えた命名と設計は、国別IGFの立ち上げ方として異色かつ巧妙な事例です。

こんにちは、中澤です。この記事は Hungary IGF 2019(通称 Internet Generation Forum) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

📍 同会場で開催中のITU Telecom World 2019(9月9〜12日・ブダペスト)と連携し、その会場・設備を利用して開催

大会の基本情報(公式発表より)

Hungary IGF 2019 ブダペスト — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 Hungary IGF 2019(通称 Internet Generation Forum)
会期 2019-09-12(8:30〜15:30)
会場 HUNGEXPO(ブダペスト・アルベルティルシャイ通り)Forum Areaルーム4「Helicopter」
テーマ Internet Generation Forum — 若者と今日・明日のインターネットを議論する
参加者 直接登録94名(男性56・女性38、ハンガリー57名ほか欧州各国)。同時開催のITU Telecom World参加者にも開放され、同日登録の大学生500名超の多くが参加
主催 HTE(インフォコミュニケーション科学協会)とIVSZ(ハンガリーICT協会)の共催。革新技術省が後援、IGF事務局・ICANN・SEEDIGがパートナー
成果文書 3基調講演・3パネル・学生コンペ決勝で構成。公式報告書をIGF事務局に提出

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Hungary IGF 2019 ブダペスト — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 中東欧のインターネットの未来 — 5Gから頭脳流出まで

取り上げたセッション: 第1パネル「Future of Internet in CEE」(司会:ヨアンナ・クレシャ氏〔ICANN At-Large〕)

  • 5Gネットワークのセキュリティとプライバシーに「地域特有の事情」はあるか、優秀な人材が他地域へ流出する「頭脳流出」をどう食い止めるかが正面から論じられました [1]
  • 非ラテン文字ドメインの受容(ユニバーサル・アクセプタンスとIDN)や、地域のエンドユーザーのニーズを世界の議論にどう反映するかも議題となりました [1]
  • 登壇者はアルバニア・北マケドニア・イタリア・ハンガリーから集まり(SEEDIGアンバサダー、.huレジストリのヤーノシュ・ジャコー氏、国連CSTDのペーテル・マヨル氏ら)、「地域のマルチステークホルダー協力の場が必要か」という問いで締めくくられました [1]

2. AI時代の情報 — 「人権を政策の中心に」で全会一致

取り上げたセッション: 第2パネル「Information in the age of AI」(司会:レヴェンテ・ニャカシュ氏〔NMHH〕。欧州評議会が参加)

  • AI開発の透明性を担保する保証手段、政治と利用者双方からのAIへの信頼、AIによるフィルターバブルやコンテンツ削除が情報アクセス(表現の自由)に及ぼす影響、AIのバイアス問題という4つの問いを軸に議論されました [1][4]
  • 登壇者はAccess NowでEUのAIハイレベル専門家グループ委員のファンニ・ヒドヴェーギ氏、Facebookのガブリエラ・チェフ氏、ELTE法学部のゲルゲイ・ゴストニ氏、ポーランドのクシシュトフ・イズデブスキ氏ら多国籍構成でした [1][4]
  • 欧州評議会の報告によれば、多様なステークホルダーを代表するパネリストは「AIへの政策アプローチは人権を中心に据えなければならない」という全会一致の結論に達しました [1][4]

3. 若者のオンライン安全 — GDPR・教育・製造者の責任

取り上げたセッション: 第3パネル「Keeping the Internet of tomorrow safe and secure for youngsters」(司会:オットー・ダロシュ氏〔CISCOハンガリーCEO〕)

  • クラウドは若者のセキュリティとデータ完全性をどう守れるか、GDPRの役割、サイバーセキュリティ教育のベストプラクティスが論じられました [1]
  • 「SNSはどれほど危険か」「安全の重要性を若者にどう納得させるか」という実践的な問いに、ICANNのジャン=ジャック・サヘル氏、独のクラウドセキュリティ専門家プレドラグ・タシェフスキ氏らが応じました [1]
  • 若者の安全確保における機器メーカーと国家の役割分担という、後のオンライン安全法制につながる論点も提起されました [1]

4. 学生コンペ決勝 — 「明日のインターネットのために今日の何を直す?」

取り上げたセッション: 学生コンペティション決勝(V4諸国と中東欧の大学生・若手イノベーター対象)

  • 「より良い明日のインターネットのために、今日のインターネットの何を直すか」という課題にV4諸国(ハンガリー・ポーランド・チェコ・スロバキア)と中東欧の学生が応募し、ハンガリーとアルメニアの大学から4チームが決勝に進みました [1]
  • 優勝はコルヴィヌス大学(ブダペスト)のアンナ・コッラール氏とヴィラーグ・キシュ氏のチームで、賞品は同年11月のベルリン世界IGFへの招待(渡航費全額支給)でした [1]
  • 登壇料・旅費を一切支払わない低コスト運営で、ITU Telecom Worldの会場提供とスポンサーの現物支援によって初回開催を成立させました [1]

5. 開会基調 — 政府・規制当局・隣国からの三本柱

取り上げたセッション: 基調講演(ショイマール副国務長官、カイジンゲル氏〔NMHH〕、グワディシュ氏〔ポーランドUKE〕)

  • 革新技術省のカーロイ・バラージュ・ショイマール副国務長官と国家メディア情報通信庁(NMHH)のエルヴィン・カイジンゲル国際部長が、技術とインターネットの議論への若者参画の重要性を説きました [1][5]
  • ポーランド電子通信庁(UKE)のアグニェシュカ・グワディシュ氏がポーランドの通信セクターを概観し、V4地域の視点を持ち込みました [1][5]
  • 全体司会は国連CSTD委員でハンガリーのICANN GAC代表を務めるペーテル・マヨル氏でした [1][5]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 「Internet Generation Forum」って何?IGFと違うの?

A. 同じものです。ハンガリー初の国別IGFは、IGFの頭文字を「インターネット世代のフォーラム」と読み替えて若者参画を前面に出しました。国連の正式なNRI(国別IGF)として2019年6月に承認されています。

Q. 何が決まったの?

A. 決定の場ではありませんが、AIパネルでは「AI政策は人権を中心に据えるべきだ」という全会一致の結論が出ました。EUのAI法に先立つ2019年時点で、中東欧の国内フォーラムがこの原則を明言した点に意味があります。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。若者向けの読み替えブランディング、ITU国際会議への相乗り開催、学生コンペで世界IGF行きを賞品にする設計など、低予算で国別IGFを立ち上げる工夫の見本市で、日本の若者IG活動にも応用できる型です。

Hungary IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Hungary IGF 2019 ブダペスト — Hungary IGFの位置づけ

Hungary IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2019年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. The Internet Generation Forum Hungary 2019 — 公式報告書(PDF・Wayback Machine) — IGF Hungary(igfhungary.hu)(参照: 2026-07-16)
  2. Hungary IGF(NRI記録:2019年設立・コーディネーター情報) — 国連IGF事務局 (intgovforum.org)(参照: 2026-07-16)
  3. Internet Governance Forum 2019(開催告知) — IVSZ(ハンガリーICT協会)(参照: 2026-07-16)
  4. Council of Europe at the IGF – Hungary: Human rights must be at heart of the policy approach towards artificial intelligence(Wayback Machine) — 欧州評議会 (Council of Europe)(参照: 2026-07-16)
  5. Hungary IGF(開会の様子。基調登壇者とメインテーマの記録・Wayback Machine) — IGF Italia 2019(トリノ工科大学)(参照: 2026-07-16)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2019年6月13日 09:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹