NASのRAIDクラッシュからデータ救出、NAS移行

NASのRAIDクラッシュからデータ救出、NAS移行

これはすでに解決している話題ですが、先日、弊社で重要なドキュメント類を保存しているNAS「QNAP TS-453Be」のRAIDが突如故障しました。

もともと4本の8TBのHDDをRAID5で組み、階層化アクセラレータとしてM2SSDを256GBをRAID1(ミラーリング)を使用して運用していました。
故障に気付いた後は、即座にHDDを交換。何度かリビルドを試みましたが失敗。

調査したところ、以下の状態であることが判明しました。

<全4本中>
・2本:異常なし
・1本:完全に故障
・1本:読み取り専用(ほとんど故障しかけている)

その後も復旧を試みましたがリビルドは叶いませんでした。
仕方なくデータを読み出し、他にコピーを行います。

幸いにも片方は読み取り専用とはいえ、実際のファイルにもアクセス・開くことができたのは幸いでしたね。

考え得る限りの復元を行い、その足で新しいNAS「QNAP TS-873」を購入。 8ベイのNASで、8本のHDDが装着できます。 NAS本体、HDDなどを一揃い手配してから、到着までは2週間程かかったように思います。

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さて、今回やこれまでの教訓をもとにした対策は以下の通りです。

 

  • 【1】NAS専用HDD以上の耐久性が高いHDDを使用する
  • 【2】冗長構成をより高くする
  • 【3】メンテナンス性を更に向上させる

【1】NAS専用HDD以上の耐久性が高いHDDを使用する

これまでは通常のデスクトップ用HDDを使用していましたが、ここは反省点ですね。
デスクトップ用は同ロットで故障のタイミングが同時期となること、加えて耐久性がなく壊れやすいため、不適切でした。
今後はNAS専用HDD以上の耐久性にこだわろうと決めています。

【2】冗長構成はより高くする

冗長性が1本のHDD故障のみという点では、RAID6以上が理想であると感じました。

【3】メンテナンス性を更に向上させる

この点はホットスペアを用意することによって、 故障したタイミングでリビルドを開始できるようにすることで、データ消失の可能性をさらに下げられると見込んでいます。

以上が対策となります。
消えてほしくないデータ、停止すると支障が出るデータには、より強くあてはまるポイントでしょう。

RAID6にする場合、2本がパリティとして使用されるので、4ベイだと、HDD2本分しか容量がありません。 6ベイであれば4本分のHDD容量が使えるので、私にはちょうどいいところですね。

ただし、売れ筋ではない微妙なベイ数なので、高価です。費用対効果も考えると、そうコストパフォーマンスがいいとは言えません。
そこでホットスペアを考慮したならば、8ベイが最適解と判断しました。

8ベイのQNAP TS-873はミドルレンジ向けのようですが、価格は11万円程度と比較的安価。メモリも4スロット装備しており、32GBまで増設可能であること。さらに、SATAタイプのM2SSDスロットが2つ装備されていることを考えれば、こちらが妥当でしょう。

ちなみにQNAPでは、11万円弱で、TS-832Xという発売日の浅いNASが存在します。価格も安く、一見良さそうに見えるかもしれません。

しかしながら、こちらはメモリスロットが1つ、SSDスロットなしと、個人的にはいいところがないと考えています。
NIC(LANケーブル刺すところ)は10Gになっていますが、光ファイバータイプのLAN端子なので、一般向けではありません。かといって、SOHOや中小企業でも敷居が高いと思われます。

10年ほど前から、10Gbpsのネットワークにはあこがれていますが、ハブ、NICの価格はなかなか高価なもの……残念ながら、こちらはまだ導入できていません。
値段が今よりも更に手頃になり、ハブがコンパクトになったら、その時に改めて検討したいですね。

 

キャッシュの概念に近いアクセラレータの階層化は、QNAP TS-453Beでも利用しています。
こちらは体感速度が良かったため、今回も導入することにしました。

RAID1のミラーリングは、片方が故障した際、NASを分解して交換する手間が必ず発生してしまいます。
また、外国出張などで物理的に対応できない場合には、その分データ消失の可能性が上がってしまいます。

キャッシュではなく階層化にした場合、実データがSSDにしか保存されません。つまり、一部欠損=全データ欠損となるリスクがあります。
この点については1か月ほど前に、QNAP用のメーカー発売のM2SSD4スロットにおける拡張カードが発売されたので、これを用いることにしました。
これで、本体のM2SSD2スロットと合わせて6スロットになります。

HDDも同様に、4本のSSDでRAID6構成を選択。
2スロットをホットスペアとしました。
毎回本体を分解しなければならない関係上、2本ホットスペア体制で2~3年何もしないで済むようになることを願っています。
NAS本体は納戸に複数並べている関係上、年に一度の大掃除以外、大規模な模様替えなどはしたくないのです。

さて、組み立ては非常に簡単です。
ねじ3本を回してカバーを外し、メモリ、SSD、拡張カードをはめ込むだけです。
しいて言うのであれば、拡張カードにSSDを刺して、付属の熱伝導粘土素材を貼り付ける工程が一番苦労しましたね。素材がふにゃふにゃで非常に柔らかく、扱いづらいものでした。

NAS起動後は階層化にチェックを入れて、ストレージプールを作成。
SSDのRAIDアレイは即座に作成できましたが、HDDのアレイは24時間ほどかかりました。

作成完了後、ホットスペアの設定を試みたところ……なぜかRAID6の拡張(7台でのRAID6の容量拡張)が開始。
途中キャンセルができず、3回ほどストレージプール削除、作成をやり直す羽目になってしまいました。

ホットスペアが適切に設定できたのは4回目のこと。
なぜこうなるのか、うまく行った時の状況を比較しても分かりませんでした。

とはいえ、これで無事にボリュームも作成完了です。
ようやくNASとしての機能が整いました。

レプリケーション機能を使用して、旧NASから新NASへデータをコピー。
24時間ほどで、RTRRを使用した複製が完了しました。

これで、データを全て救出出来たことになります。

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人間、痛い目見ないとバックアップに力を入れようとしないものですね。

トラブルは、存在を忘れたころに舞い込むもの。
大事なデータは複数の方法で冗長構成すべきである、と改めて反省しました。

ヘビーユーザでなければ、気が付いたときに写真データを外付けHDDにコピーを行うだけでも構わないと思います。
しかしながら、パソコンが壊れるのはなぜかコピーしていない時期になるもの。
どちらにせよ、こまめなバックアップは重要ですね。

 ちなみに、旧NASで危険が伴うリビルドをいくつか試してみましたが、復元不可能でした。
こちらはレプリケーション(NAS)として、今後有効活用する予定です。