IGF Serbia 2023 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Serbia IGF 2023 ベオグラード — サムネイル

3行まとめ

Serbia IGF 2023 ベオグラード — 3行まとめ

  1. 2023年5月16日、ベオグラードの文化拠点ドルチョル・プラッツで第2回セルビアIGF「IGF Serbia 2023」が開催され、地政学・サイバーセキュリティ・デジタル権利・AIまで幅広いデジタル政策を一日で議論しました。
  2. 地政学とデジタル空間、デジタル監視、「権利と自由のはざまのAI」、ITビジネスの4パネルに加え、国家CERTによる報道関係者向けサイバーセキュリティ演習も併催されました。
  3. 戦争と分断の時代に「インターネットの一体性」を小国の国内フォーラムがどう議論したかが読みどころです。記者がランサムウェア対応を疑似体験する演習は、日本のメディアや企業研修にも応用できる実践例です。

こんにちは、中澤です。この記事は IGF Serbia 2023 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Serbia IGF 2023 ベオグラード — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 IGF Serbia 2023
回次 第2回
会期 2023-05-16
会場 ドルチョル・プラッツ(ベオグラード)
テーマ 地域の共通課題
開催形態 現地開催(10:00〜16:00、RNIDSのYouTubeチャンネルでライブ配信)
主催 RNIDS(セルビア国家インターネットドメイン登録財団)がホスト。共催: 情報通信省、Diploファウンデーション、ISOCセルビア(ベオグラード支部)、Gransy。支援: USAID/Internews、RIPE NCC、ICANN、平等保護コミッショナー事務所

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Serbia IGF 2023 ベオグラード — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 地政学とデジタル空間 — 対立の時代にインターネットの一体性を守る

取り上げたセッション: パネル「Geopolitics and Digital Spaces」(10:30。開会は国連IGF事務局のマサンゴ氏、ICANNのベッカリ氏、SEEDIGのキリリューク氏)

  • Diploファウンデーションのウラジミール・ラドゥノヴィッチ氏、ISOCセルビアのデジレー・ジェリカ・ミロシェヴィッチ氏、ICANN理事会のダンコ・イェヴトヴィッチ氏が登壇し、UNDPのスロボダン・マルコヴィッチ氏が進行 [1][3][5]
  • 複雑化する地政学状況の下で、インターネットの調整・運営と将来をどう守るかを議論。中立的なインターネット運営がインターネットをグローバルに保つ、というのが大会を貫くメッセージだった [1][3][5]

2. AI — 権利と自由のはざまの技術

取り上げたセッション: パネル「Artificial Intelligence Between the Technologies of Rights and Freedoms」(午後の部)

  • ノヴィサド大学法学部のサニャ・サヴチッチ博士、情報通信省のマヤ・ザリッチ氏、ニシュ大学のブラニミル・トドロヴィッチ氏が登壇し、RNIDSのデヤン・ジュキッチ理事が進行。法学・行政・工学の三つの視点を突き合わせた [1][3]
  • アルゴリズム開発の技術水準、国際機関によるAIへの取り組み、そして権利・自由への法的含意を検討した [1][3]

3. デジタル権利とデジタル監視 — 足跡は誰のものか

取り上げたセッション: パネル「Digital Rights and Digital Surveillance」(11:30。モデレーター: ベオグラード安全保障政策センターのボヤン・エレク氏)

  • 平等保護コミッショナー事務所のボグダン・バニャツ氏、Partneri Srbijaのアナ・トスキッチ・ツヴェティノヴィッチ氏、公益情報コミッショナー上級顧問のドゥシュコ・グドゥリッチ氏が登壇 [1][3]
  • デジタルフットプリントと監視の広がりを踏まえ、オンライン環境で個人の権利をどう守るかを議論した [1][3]

4. 記者のためのサイバー防御演習 — ランサムウェア被害を疑似体験

取り上げたセッション: 並行ワークショップ(10:30、「Koska」スペース。国家CERTとRNIDSの共催、講師: 国家CERTのヨヴァン・ミロサヴリェヴィッチ氏)

  • 代表的なサイバー攻撃の類型と動機、利用者が自分でできる予防策を紹介。メディア企業へのランサムウェア攻撃を模した演習では、参加した記者たちが攻撃下の意思決定者役を「被害者」の視点で体験した [4]
  • 報道機関のIT基盤の守り方として、ドメインロックによる保護強化やDNSへの攻撃と対策も解説された [4]

5. ITビジネス — セルビアのIT企業とスタートアップの現在地

取り上げたセッション: ITビジネスパネル(午後の部)

  • Quantox Technologyのフィリップ・カライチッチ氏、スタートアップJobertyのジョルジェ・ヴコティッチ氏、Women4Cyber Serbiaのサニャ・ケキッチ氏、Gransyのドゥシャン・ストイチェヴィッチ氏が登壇 [1][3]
  • 技術変化のただ中にあるセルビアIT産業の事業環境、人材、市場の課題と機会を議論した [1][3]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が決まった会議なの?

A. 決定の場ではなく、セルビアの政府・企業・市民社会・技術者が年に一度、インターネット政策を対等に話し合う国内フォーラムの2回目です。地政学からAIまでを一日で扱い、議論は国のデジタル政策論議へ引き継がれます。

Q. 一番の目玉は?

A. 国家CERTと共催した報道関係者向けのサイバー演習です。メディア企業がランサムウェア攻撃を受けたという想定で、記者が「被害者側の意思決定者」を体験する実践型プログラムでした。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。報道機関へのサイバー攻撃は日本でも現実の脅威で、記者向け演習という手法はそのまま輸入できます。ウクライナ侵攻後の「インターネットの分断」議論を旧ユーゴの国がどう扱ったかも、日本の国際情勢理解に役立ちます。

Serbia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Serbia IGF 2023 ベオグラード — Serbia IGFの位置づけ

Serbia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2023年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. IGF Srbija 2023(大会アーカイブサイト・プログラム) — IGF Serbia(公式)(参照: 2026-07-11)
  2. Registration is open for IGF Serbia 2023 — RNIDS(参照: 2026-07-11)
  3. IGF Srbija 2023: geopolitika i internet, digitalna prava, veštačka inteligencija i IT biznis — Ogledalo(セルビア語メディア)(参照: 2026-07-11)
  4. Održan srpski forum o upravljanju internetom – IGF Srbija 2023(セルビアIGF 2023開催報告) — セルビア国家CERT(Nacionalni CERT Republike Srbije)(参照: 2026-07-11)
  5. Serbia IGF on 16 May Open to All! — 国連IGF事務局(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2023年6月20日 16:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹