RIGF 2024(ロシアIGF・第14回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Russia IGF 2024 モスクワ — サムネイル

3行まとめ

Russia IGF 2024 モスクワ — 3行まとめ

  1. 2024年4月9〜10日、第14回ロシアIGF(RIGF 2024)がモスクワでハイブリッド開催され、20カ国から700人超が登録、9セッションに60人超が登壇しました。.RUドメイン30周年の節目でもありました。
  2. 「制裁下でもルネットは発展を続ける」という政府側の総括を軸に、AI規制、サイバー犯罪、データガバナンス、グローバル・デジタル・コンパクトを議論。AI倫理コードの署名式やWSIS+20への準備も行われました。
  3. 国連IGF事務局長格のマサンゴ氏が開会に加わる一方、議論の力点は技術主権と国産化に移っており、「主権化するインターネット」の現在地を定点観測できる回です。

こんにちは、中澤です。この記事は RIGF 2024(ロシアIGF・第14回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Russia IGF 2024 モスクワ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 RIGF 2024(ロシアIGF・第14回)
回次 第14回
会期 2024-04-09 〜 2024-04-10
会場 モスクワ
テーマ 地域の共通課題
参加者 登録700人超(20カ国から参加)
セッション数 9(本会議9セッション・登壇者60人超。テーマは8部門(国際協力と技術リーダーシップ、AI発展戦略、サイバー犯罪、オンライン安全、データガバナンス、デジタル格差と包摂、規制のバランス、グローバル・デジタル・コンパクト))
開催形態 ハイブリッド(現地参加とオンライン参加を併用、参加無料・要登録)
表彰 Virtuti Interneti賞はサイバーセキュリティ専門家アレクセイ・ルカツキー氏に授与。会期中に「AI倫理コード」への新規署名式も実施(署名組織は300超に)
主催 ccTLD .RU/.РФ調整センター、グローバルIT協力センター(CGITC)共催
特記 .RUドメイン30周年(1994年4月7日登録)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Russia IGF 2024 モスクワ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. 制裁下のルネット — 「困難にもかかわらず発展し続ける」

取り上げたセッション: 開会セッションおよび全体総括(4月9日)

「ルネットは、困難と制裁にもかかわらず、成功のうちにダイナミックな発展を続けています」
アレクサンドル・ショイトフ(デジタル発展省次官)※露語原文からの翻訳 [2][1]

  • 大統領府情報通信技術発展局のタチヤナ・マトヴェエワ局長は、ロシアは技術主権を確保している数少ない国の一つで、通信料金も世界最安水準だと強調した(露語報道の要約) [2][1]
  • 下院情報政策委員長アレクサンドル・ヒンシテインは、ルネットはグローバルネットワークの一部だとしつつ、2030年までに国民の97%がネット接続されるとの見通しを示した [2][1]
  • 「孤立していない・むしろ強くなった」という政府側ナラティブの舞台としてのRIGFという性格が、この回で最も鮮明になった [2][1]

2. AI規制とAI倫理コード — 300団体超の国内枠組みへ

取り上げたセッション: AI発展戦略セッションおよびAI倫理コード署名式(4月10日)

  • AI発展戦略が8部門の一角を占め、MGIMOのアンナ・アブラモワ、Skoltechのエフゲニー・ブルナエフら研究者が規制と開発振興のバランスを議論した [1][2][3]
  • 会期中に国内「AI倫理コード」への新規署名式が行われ、ANO「デジタル経済」、広告業界団体AKAR、不動産サービスのDomclick、SPLAT Globalなどが加わり、署名組織は300を超えた [1][2][3]
  • EUのAI法のような拘束的規制ではなく、業界の自主行動規範を軸とするロシア型AIガバナンスの現在形が示された [1][2][3]

3. GDCとWSIS+20 — 国連プロセスへの照準

取り上げたセッション: 国際協力・グローバル・デジタル・コンパクト関連セッション

  • 2024年9月の国連未来サミットで採択が迫るグローバル・デジタル・コンパクトへの対応と、2024年5月のWSIS+20ハイレベルイベントへの準備が議題となった [1][3]
  • 国連IGF事務局のチェンゲタイ・マサンゴ氏が開会に登壇し、CGITCのヴァディム・グルシチェンコ所長らが国際交渉におけるロシアの立場を整理した [1][3]
  • 初日の看板セッションは「データ経済: 国際協力と技術リーダーシップ」で、データガバナンスが国際競争の文脈で語られた [1][3]

4. .RU30周年とVirtuti Interneti — サイバーセキュリティの第一人者を表彰

取り上げたセッション: Virtuti Interneti授賞式(4月10日)ほか

  • 国別ドメイン.RUの登録30周年(1994年4月7日)を記念する回となり、ドメイン産業の歩みが振り返られた [2][1][4]
  • Virtuti Interneti賞は、RIGFの常連モデレーターでもあるサイバーセキュリティ専門家アレクセイ・ルカツキー氏に授与された [2][1][4]
  • サイバー犯罪・オンライン安全・デジタル格差と包摂の各部門は、フィッシング対策や地方の接続性など生活に直結する議題を扱った [2][1][4]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何がいちばんのニュースだった?

A. 「制裁下でもルネットは順調に発展している」という政府高官の総括です。デジタル発展省次官が明言し、技術主権と国産化の成果が繰り返し強調されました。宣伝的側面を差し引いて読む必要はありますが、公式の立場が明確に記録された回です。

Q. AIの話はどこまで進んだ?

A. 法規制ではなく「AI倫理コード」という自主規範を広げる路線が確認され、署名組織が300を超えました。EU型の拘束規制と対照的なアプローチです。

Q. 日本に関係ある?

A. この年9月に国連で採択されるグローバル・デジタル・コンパクトをめぐるロシア側の準備状況が分かります。WSIS+20の見直しは日本のIGF政策にも直結するプロセスです。

Russia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Russia IGF 2024 モスクワ — Russia IGFの位置づけ

Russia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2024年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. RIGF 2024 program released — ccTLD .RU/.РФ調整センター (Coordination Center for TLD .RU/.РФ)(参照: 2026-07-11)
  2. Рунет продолжает успешно и динамично развиваться(ルネットは成功裏にダイナミックな発展を続けている・RIGF 2024報告・露語) — ccTLD .RU/.РФ調整センター(参照: 2026-07-11)
  3. Опубликована программа форума RIGF 2024(RIGF 2024プログラム公表・露語) — Rossiyskaya Gazeta(ロシア新聞)(参照: 2026-07-11)
  4. RIGF 2024(イベント概要) — ICT-Online.ru(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2024年6月3日 16:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹