3行まとめ
- 2024年9月11日、ベオグラードのドルチョル・プラッツで第3回セルビアIGF「IGF Serbia 2024」が開催されました。テーマは「デジタルの未来に人間らしさと共感をどう残すか」です。
- 国連のグローバル・デジタル・コンパクト(GDC)とWSIS+20、EUのNIS2指令と情報セキュリティ法、AI戦略2025-2030、デジタル暴力、グリーン×デジタルの二重移行を5つのパネルで議論しました。
- 国連で採択目前だったGDCを国内フォーラムがどう受け止めたかを示す好例です。NIS2対応や非合意ポルノの犯罪化論議は、日本の重要インフラ規制やデジタル暴力対策と直結する論点です。
こんにちは、中澤です。この記事は IGF Serbia 2024 を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | IGF Serbia 2024 |
| 回次 | 第3回 |
| 会期 | 2024-09-11 |
| 会場 | ドルチョル・プラッツ(ベオグラード) |
| テーマ | デジタルの未来に「人間らしさ」と「共感」をどう残すか |
| 開催形態 | 現地開催(10:00〜16:30、オンライン視聴可) |
| 主催 | RNIDS(セルビア国家インターネットドメイン登録財団)がホスト。共催: 情報通信省、Diploファウンデーション、ISOCセルビア(ベオグラード支部)、Gransy。支援: 平等保護コミッショナー事務所、サイバーセキュリティ・ネットワーク財団 |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. グローバル・デジタル・コンパクトとWSIS+20 — 国連の節目にNRIから声を上げる
取り上げたセッション: 基調講演(10:20、マサンゴ国連IGF事務局長)+パネル「GDC・WSIS+20・IGF20+レビューのグローバル・地域・ローカルの視点」(10:50)
「RNIDSは何年も前からインターネットガバナンスをめぐる対話とプロセスに関わり続けてきました(セルビア語原文からの翻訳)」
— デヤン・ジュキッチ(RNIDS理事) [1][2][4]
- 開会にはジュキッチRNIDS理事、ヤンコヴィッチ平等保護コミッショナー、ベリスUNDPセルビア常駐代表が登壇。パネルはInternews/SEEDIGのオルガ・キリリューク氏、ISOCセルビアのデジレー・ジェリカ・ミロシェヴィッチ氏、ICANN理事会副議長のダンコ・イェヴトヴィッチ氏で構成され、UNDPのスロボダン・マルコヴィッチ氏が進行 [1][2][4]
- 国連で採択が迫るGDCとWSIS+20・IGFマンデート更新のレビューを、グローバル・地域・国内の三層でどう受け止めるかを議論した [1][2][4]
2. NIS2と情報セキュリティ法 — EU規制のセルビア国内実装
取り上げたセッション: パネル「NIS2と情報セキュリティ法」(12:10)
- 情報通信省のミラン・ヴォイヴォディッチ氏、通信事業者A1のミナ・トミッチ氏、RNIDSのジュキッチ理事が登壇し、Gransyのドゥシャン・ストイチェヴィッチ氏が進行。最初のNIS指令が情報セキュリティ法・CERT設立・企業義務に与えた影響を振り返り、NIS2への期待を議論 [1][2][3]
- 新しい規制はセルビア企業のコンプライアンス義務を広げる一方、EU市場への統合を後押しする、というのがパネルの結論だった [1][2][3]
3. AI戦略2025-2030 — 権利保護と発展を両立させる枠組み
取り上げたセッション: パネル「人工知能: 戦略と未来」(13:00)
- Partneri Serbiaのアナ・トスキッチ・ツヴェティノヴィッチ氏、セルビアAI研究開発研究所のリュビシャ・ボイッチ氏、ICT庁のウロシュ・ポルガ氏が登壇し、平等保護コミッショナー事務所のボグダン・バニャツ氏が進行。2025〜2030年のAI開発戦略草案を議論 [1][2][3]
- 人権を守りながら経済発展を妨げない法的・戦略的枠組みには、セクター横断の協働が不可欠というのがパネルの結論だった [1][2][3]
4. デジタル暴力と平等 — 非合意ポルノの犯罪化を立法の優先課題に
取り上げたセッション: パネル「デジタル権利と自由」(14:30。モデレーター: クルーナ・サヴォヴィッチ弁護士)
- ヤンコヴィッチ平等保護コミッショナー、調査報道記者のアンジェラ・ミリヴォイェヴィッチ氏、BDW Magazineのブラニスラヴァ・アントヴィッチ・アレクシッチ氏が登壇。ヤンコヴィッチ氏は非合意ポルノ(同意なき性的画像の拡散)の犯罪化を立法の優先課題とすべきだと訴えた [1][2][3]
- 女性がデジタル空間で継続的な嫌がらせと虐待に直面している現状を共有し、ジェンダー暴力の報道からセンセーショナリズムを排する倫理的なコミュニケーションをメディアが先導すべきだと提起した [1][2][3]
5. グリーン×デジタルの二重移行 — 人間中心の持続可能性
取り上げたセッション: パネル「グリーン・デジタル統合と二重移行」(15:15)+ライトニングトーク「デジタル人文学とeサイエンス」(16:00)
- UNDP循環経済アナリストのアナ・ミティッチ=ラドゥロヴィッチ氏とUNDPデジタル技術顧問のスロボダン・マルコヴィッチ氏が登壇し、5つのイノベーションチームが取り組みを発表。ベリスUNDP常駐代表は開会挨拶で、デジタル移行とグリーン移行の連結を人間中心の持続可能な発展への道と位置づけた [1][2]
- 締めくくりには大学図書館学術センターのヴァシリイェ・ミルノヴィッチ氏がデジタル人文学を紹介し、オープンマイクで参加者が自由に発言した [1][2]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. 何が決まった会議なの?
A. 決定機関ではなく、セルビアの官民市民が年に一度デジタル政策を話し合う国内フォーラムの3回目です。この年は国連のグローバル・デジタル・コンパクト採択の直前で、「世界のルールを国内でどう受け止めるか」が軸になりました。
Q. 一番具体的な論点は?
A. 二つあります。EUのNIS2指令に合わせた情報セキュリティ法制の改正で企業の義務がどう変わるか、そして同意なき性的画像の拡散(非合意ポルノ)を刑法でどう罰するかです。どちらも生活と事業に直結する話です。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。NIS2は日本企業の欧州拠点にも適用され、重要インフラ防護の世界標準を形づくっています。デジタル暴力の犯罪化論議も、日本の撮影罪や私事性的画像記録(リベンジポルノ)対策と地続きのテーマです。
Serbia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Serbia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2024年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- IGF Srbija 2024(公式サイト・プログラム) — IGF Serbia(公式サイト igf.rs)(参照: 2026-07-11)
- Da li je moguće sačuvati humano i empatično u digitalnoj budućnosti(デジタルの未来に人間らしさと共感は残せるか) — BizLife(セルビア語経済メディア)(参照: 2026-07-11)
- "IGF Srbija 2024" seminar o digitalnoj budućnosti 11. septembra u Beogradu — ラジオテレビ・ヴォイヴォディナ(RTV)(参照: 2026-07-11)
- Eastern European Regional Group — NRI records(Serbia IGF: annual meeting 11 September 2024, Belgrade) — 国連IGF事務局(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2024年6月7日 09:00(記事コンテンツアップ)
第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))
— 中澤祐樹

