3行まとめ
- 2017年11月14〜17日、第7回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB 7)がリオデジャネイロのホテル・プロディジー・サントス・ドゥモンで開かれた。テーマは「あなたのデジタルの未来を形づくる」。
- 公募78件から選ばれた21ワークショップというボトムアップの新形式に移行し、サイバー攻撃の急増、個人データ保護、そしてCGI.br自身の改革を問う公聴会が議論の柱となった。
- 国内IGFが「主催者がつくる会議」から「コミュニティがつくる会議」へ脱皮した回であり、日本のIGF活動の運営を考えるうえでも参考になる。
こんにちは、中澤です。この記事は 第7回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB 7) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。
大会の基本情報(公式発表より)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 第7回ブラジル・インターネットフォーラム(FIB 7) |
| 会期 | 2017-11-14 〜 2017-11-17 |
| 会場 | ホテル・プロディジー・サントス・ドゥモン(リオデジャネイロ市中心部) |
| テーマ | あなたのデジタルの未来を形づくる(Moldando seu futuro digital) |
| ワークショップ数 | 21(公募78件から選定された21ワークショップ(CGI.br発表)) |
| 主催 | ブラジル・インターネット運営委員会(CGI.br)/NIC.br |
(出典: 文末の出典一覧を参照)
ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)
現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。
1. 新形式 — 公募ワークショップ21本のボトムアップ運営
取り上げたセッション: 大会全体(デーゼロ・プレナリー・21ワークショップ)
「78件の提案が寄せられ、21のワークショップが選ばれました」
— マクシミリアーノ・マルチニョン(CGI.br調整官) [1][2][4]
- 従来のトラック制をやめ、7月24日〜9月3日の公募に集まった78件から21ワークショップを選ぶ、国連IGF型のボトムアップ編成に移行した [1][2][4]
- 各セクターが自主企画を持ち寄る「デーゼロ」、全体プレナリー、公聴会という4日間構成で、テーマは暗号化・忘れられる権利・AI・ブロックチェーン・固定ブロードバンドのデータ従量制まで広がった [1][2][4]
- 参加は無料で、政府・技術学術・企業・NGOの登壇者が並行セッションで議論した [1][2][4]
2. サイバーセキュリティ — 攻撃報告が1年で2.4倍
取り上げたセッション: サイバーセキュリティ専門パネル
「どうすればインターネットのセキュリティ・安定性・強靱性を確保できるのか」
— クリスチーネ・ホーパース(CERT.br統括) [3]
「セキュリティの分野では、孤立して働くことはできない」
— ジャイメ・ケイロス将軍(陸軍サイバー防衛司令部 CDCiber) [3]
- CERT.brへのスキャン・DoS攻撃などのインシデント報告は2016年に前年比138%増と急増しており、ホーパース統括が全国的な攻撃状況と通報統計を解説した [3]
- ウネスプのアドリアーノ・カンシアンは「サイバーセキュリティ教育を拡充する必要がある」と学界と産業界の乖離を指摘し、CGI.br理事チアゴ・タヴァレスはIoT玩具の脅威を、エンリケ・ファウルハーベルは利用者啓発とCERT.br教材の活用を訴えた [3]
3. CGI.br改革公聴会 — ガバナンス構造を問い直す
取り上げたセッション: 公聴会(11月17日)
- 最終日に、ブラジルのインターネットガバナンス構造(CGI.brの構成・役割)を議論する公聴会が開かれた [2][4]
- 2017年は政府がCGI.brの構成や代表選出のあり方を公開協議にかけた年にあたり、20年続いたマルチステークホルダー構成の行方が国内外の注目を集めていた [2][4]
- フォーラム自体がマルチステークホルダー方式の実演の場となり、改革論議に対する各セクターの意見表明の機会となった [2][4]
4. 個人データ保護 — LGPD成立前年の集中議論
取り上げたセッション: データ保護・プライバシー関連ワークショップ
- 個人データ保護法案が議会審議中の時期にあたり、プライバシー・忘れられる権利・児童のオンライン保護を扱うワークショップが並んだ。包括法LGPDは翌2018年8月に成立する [2][4]
- CGI.br理事のマルコス・ダンタス(学術セクター)は、プラットフォーム企業の大量データ収集ビジネスモデルを問題視し、セクター規制の重要性を提起した [2][4]
- 表現の自由とネット上の人権侵害への対応も主要議題で、Marco Civil後の制度づくりが問われた [2][4]
5. インターネットの過去・現在・未来 — 開幕の回顧と7年の到達点
取り上げたセッション: 開幕セッション(11月14日)
「この開かれた協力こそ、インターネットの大きな財産のひとつだ」
— デミ・ゲチコ(NIC.br CEO・CGI.br理事) [2][5]
「中澤の世代には、自由なインターネットが必要だ」
— リアネ・タロウコ(リオグランデ・ド・スル連邦大学) [2][5]
- 開幕セッションはインターネットの過去・現在・未来を回顧するパネルで、ブラジル最初期のネット接続を担ったゲチコらレジェンドが登壇した [2][5]
- ITSリオのロナウド・レモスはMarco Civilなどブラジルが成し遂げた到達点を挙げ、リオ州政府のレオナルド・ソアレスは包摂の取り組みを歓迎した [2][5]
- 2011年の初回から7年、サンパウロ・レシフェ・ベレン・サルバドール・ポルトアレグレ・リオと全国を巡回する国民的フォーラムに成長したことが確認された [2][5]
3分ショートトーク — よくある疑問に答えます
Q. この回は何が新しかったの?
A. 会議のつくり方そのものです。運営側がテーマを決める従来方式をやめ、市民から78件の企画を公募して21のワークショップを選びました。国連IGFと同じボトムアップ方式への転換です。
Q. 一番深刻だった話題は?
A. サイバー攻撃の急増です。ブラジルのCERTへの攻撃報告は1年で138%増。国防・技術・学界の専門家が「孤立しては守れない」と連携を訴えました。CGI.br自体の改革を問う公聴会も緊張感のあるテーマでした。
Q. 日本に関係ある?
A. あります。公募型の国内IGF運営は日本のIGF活動にも通じる手法ですし、この回で議論された個人データ保護は翌年のLGPD成立につながり、日本企業のブラジル事業にも直接影響しています。
Brazil IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)
Brazil IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。
日本の私たちへの影響
この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2017年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。
出典・参考資料
- VII Fórum da Internet no Brasil(公式サイト) — CGI.br(FIB公式サイト)(参照: 2026-07-11)
- VII Fórum da Internet no Brasil inicia atividades com reflexão sobre passado, presente e futuro da Internet — NIC.br(プレスリリース)(参照: 2026-07-11)
- Desafios de cibersegurança são analisados por especialistas no VII Fórum da Internet no Brasil — CGI.br(プレスリリース)(参照: 2026-07-11)
- Com novo formato, VII Fórum da Internet no Brasil tem inscrições abertas — Intervozes(参照: 2026-07-11)
- Uma visão do Fórum da Internet no Brasil, 2011-2017 — Tapuia(個人ブログ・参加報告)(参照: 2026-07-11)
- Edições — Fórum da Internet no Brasil — CGI.br(FIB公式サイト)(参照: 2026-07-11)
※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。
関連リンク
- IGF公式(リージョナル/ナショナル一覧): https://www.intgovforum.org/en/content/national-and-regional-igf-initiatives
- 日本IGF: https://japanigf.jp/
- 参考:中澤祐樹ブログ https://nkzw.jp/category/igf/
更新履歴
第1稿投稿 2017年8月26日 15:00(記事コンテンツアップ)
第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))
— 中澤祐樹

