RIGF 2021(ロシアIGF・第11回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Russia IGF 2021 モスクワ — サムネイル

3行まとめ

Russia IGF 2021 モスクワ — 3行まとめ

  1. 2021年4月7〜9日、コロナ禍で1年延期された第11回ロシアIGF(RIGF 2021)がモスクワのエクスポセンターでハイブリッド開催されました。一般参加はオンライン視聴とし、3日間で7セッションを実施しました。
  2. 情報セキュリティ、SNS規制、データ主権、AI倫理などを議論し、開会にはITU次期事務総局長となるドリーン・ボグダン=マーティン氏やIGF MAG前議長アンリエット・エステルフイセン氏も参加。第1回Youth RIGFも併催されました。
  3. パンデミック下でも国際ゲストとの回線を保った回であり、プラットフォーム規制やデータ主権など、日本でも進行中の論点が「ロシア型」の文脈でどう扱われたかを知る素材になります。

こんにちは、中澤です。この記事は RIGF 2021(ロシアIGF・第11回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Russia IGF 2021 モスクワ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 RIGF 2021(ロシアIGF・第11回)
回次 第11回
会期 2021-04-07 〜 2021-04-09
会場 エクスポセンター中央展示場(モスクワ)
テーマ 地域の共通課題
セッション数 7(本体7セッション+ユーストラック。4月6日にはスコルコボ科学技術大学(Skoltech)で第1回Youth RIGFを開催)
開催形態 ハイブリッド(登壇者は会場・オンライン併用、会場入場はコンテスト受賞者・記者・招待客に限定し一般はオンライン視聴)(第11回は当初2020年4月7日開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染状況と関連規制により延期され、2021年に第11回として開催された(2020年は開催なし))
表彰 Virtuti Interneti賞はベルトラン・ド・ラ・シャペル氏(Internet & Jurisdiction Policy Network共同創設者)に授与
主催 ccTLD .RU/.РФ調整センター(Coordination Center for TLD RU/РФ)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Russia IGF 2021 モスクワ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. コロナ延期からの再開 — 2年ぶりの第11回

取り上げたセッション: 開会セッション(4月7日10:00、シャダエフ・デジタル発展相、マトヴェエワ大統領府局長、ITUのボグダン=マーティン氏らが登壇)

  • 第11回は本来2020年4月7日開催予定だったが感染状況により延期され、2年ぶりの開催となった。会場入場は受賞者・記者・招待客に限定し、一般はストリーミング視聴という感染対策型のハイブリッド形式を採った [1][2]
  • 開会にはITUのドリーン・ボグダン=マーティン氏、IGF MAG前議長のアンリエット・エステルフイセン氏、ICANNのマンディ・カーヴァー氏など国際機関の顔ぶれがそろい、国連IGF系の対話回路が維持された [1][2]

2. AI倫理 — 欧州評議会とロシアの研究者が同席

取り上げたセッション: セッション2「Emerging Technologies — Artificial Intelligence and Ethics」(4月7日13:50–15:20)

  • 欧州評議会のヤン・クレイセン情報社会局長、Skoltechのマクシム・フェドロフ、マイクロソフトのエルザ・ガネエワらが、AIの倫理原則と規制の在り方を議論した [2][4]
  • この議論は同年10月にロシア国内で署名される「AI倫理コード」への布石となり、以後のRIGFでAI規制は常設テーマになっていく [2][4]

3. データ主権とプラットフォーム規制 — 「ゲームのルール」を誰が書くか

取り上げたセッション: セッション3「Regulation — Data Sovereignty」・セッション4「Digital Platforms — The Rules of the Game」(4月8日)

  • データ主権セッションにはベルトラン・ド・ラ・シャペル(Internet & Jurisdiction)、トーマス・シュナイダー(スイス)ら国際論者が参加し、国家のデータ管轄権とグローバルなデータ流通の緊張を議論した [2][4]
  • プラットフォームセッションでは、SNS規制を強めるロシアの文脈の中で、国家・プラットフォーム・利用者の力関係と「ゲームのルール」の設定権が問われた [2][4]
  • 3日目には利用規約(ユーザー契約)を扱うセッションも置かれ、プラットフォームと利用者の非対称性という世界共通の論点を扱った [2][4]

4. 第1回Youth RIGF — 若者トラックの制度化

取り上げたセッション: Youth RIGF(4月6日・Skoltech)およびユースセッション(4月9日13:20)

  • 本体に先立つ4月6日、スコルコボ科学技術大学で第1回Youth RIGFが開催され、30歳以下の若者が専門家とともに「若者メッセージ」の土台となる論点整理を行った [1][3][2]
  • 本体3日目のユースセッションで成果が報告され(イロナ・スタドニク氏による発表)、以後Youth RIGFは毎年の独立系列として定着した [1][3][2]
  • Virtuti Interneti賞はベルトラン・ド・ラ・シャペル氏に授与され、国境を越える管轄権問題への貢献が評価された [1][3][2]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 2020年はどうなったの?

A. 開催されていません。第11回は2020年4月7日に予定されていましたが、コロナ禍で延期され、2021年に同じ第11回として開催されました。「2020年オンライン開催」という記録があれば誤りです。

Q. この回の特徴は?

A. 感染対策のハイブリッド形式と、国際ゲストの多さです。ITUやIGF MAG、ICANN、欧州評議会の関係者がオンラインを含めて参加し、パンデミック下でも国際対話の回線が保たれました。

Q. 日本に関係ある?

A. データ主権・SNS規制・AI倫理という議題は日本のデジタル政策の論点と同じです。同じテーマが「国家主導」の文脈でどう議論されるかを比較できる、格好の事例です。

Russia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Russia IGF 2021 モスクワ — Russia IGFの位置づけ

Russia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2021年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. RIGF 2021 公式サイト — ccTLD .RU/.РФ調整センター (Coordination Center for TLD RU/РФ)(参照: 2026-07-11)
  2. RIGF 2021 Agenda(プログラム・登壇者一覧) — ccTLD .RU/.РФ調整センター(参照: 2026-07-11)
  3. RIGF 2021 Press Center — ccTLD .RU/.РФ調整センター(参照: 2026-07-11)
  4. Russian Internet Governance Forum (RIGF) 2021 — Digital Watch Observatory (DiploFoundation)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2021年6月6日 10:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹