ドメインのライフサイクル、中古ドメイン市場と期限切れのリスクを解説!

ドメインのライフサイクル図解(gTLD)

ドメインのライフサイクルgTLD詳細版
 こちらが、.comや.net, .orgなどの汎用ドメイン(gTLD:ジェネリックトップレベルドメイン)のドメインのライフサイクルの図解になります。

ドメインには、有効期限がある|

 ドメインには、登録日から一定期間の有効期限が設けられています。
その大きな理由は、以下の3つです。
国際的な機関であるICANNの規定によって、

  • 全てのドメイン名に有効期限の設定が義務付けられている
  • インンターネットの安定性の維持のため
  • ドメイン名の所有権を明確にするため
  • ドメイン名は、インターネット上で重要な役割を果たすため
  • ドメイン名の有効期限を理解し、適切に管理することで、インターネットの安定性を維持し、ドメイン名の所有権を保護する事が出来るため
  • ドメインの有効期限は、全てのドメインで、標準的な契約期間は1年間
  • ドメインの有効期限は、最長9年間延長更新が出来る
  • 有効期限が設けられているのは、有効期限がなければ、不要になったドメイン名がいつまでも残ってしまい、インターネット上の情報の混乱を招く可能性があるか

 ドメイン名の延長更新期間は、ICANN (Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) の規定によって定められています。
ICANNの規定では、ドメイン名の最大延長更新期間は9年間となっています。
しかし、.JPドメインでは、他のドメイン(TLD:トップレベルドメイン)と異なり、最大10年間の登録が可能で、更新は1年ごとに行う必要があるなど、レジストらによって多少の違いがあり、確認は必須です。
厳密には、.JPを管理しているJPRSでは、有効期限は、直近1年しかなく、廃止申請をしたら、ドメインが削除される、通称AutoDeleteと言う仕組みが採用されています。

ドメインが失効した場合(gTLD:汎用ドメイン)

 有効期限切れになり、失効されたドメイン名は、以下のライフサイクルを経て、後に開放され、誰でも使用出来る様になります。
ドメインを失効させないためには、登録期間が切れる前に更新を忘れないようにしましょう。
また、ドメインの自動更新や、最長9年間の更新を活用するのもよいでしょう。
ドメイン価格は、世界経済のインフレに伴い、年間3~7%の値上げが毎年、または定期的に行われています。
物価上昇が見込めない日本においては、余剰資金があれば、最長年数更新してしまうのも良い手でしょう。

 また、余計な管理をしないために不要になったドメイン名は、早めの削除が大切です。
特に、ドメインの自動更新、クレジットカードと紐づいて、使ってもいないドメインを延々と料金をお支払いする事は、経済的に得策ではありません。
また、放置されたドメイン、ウェブサイトはハッキングやクラッキングを受けることが多く、その際、損害賠償請求を受けることもあります。
不必要なドメインは、削除、廃棄、または適切な管理をする事をお勧めいたします。

 更に、ドメイン名のライフサイクルを理解することで、ドメイン名の管理を適切に行う事が出来ます。

 期限切れ後のドメインは、人為的なミスも考慮し、更新猶予期間が設定されています。

ドメインのライフサイクルgTLDすっきり版

ドメインのライフサイクルgTLDすっきり版

各種ステータス

  • Auto-nenew Grace Period:自動更新猶予期間(45日間)
     ドメイン名が失効すると、45日間の自動更新猶予期間に入ります。
    この期間中に更新を申請すると、ドメイン名は復活します。

  • Redemption Period:差戻猶予期間(30日間)
    自動更新猶予期間が終了すると、30日間の差戻猶予期間に入ります。
    この期間中に更新を申請すると、ドメイン名は復活しますが、更新料が高額になります。
    日本国内のレジストラの相場は、4~10万円(税抜)です。
    余計なコストが掛からないよう、細心の注意を払い、ドメインの有効期限を管理しましょう。

  • Pending Delete:削除期間(5日間)
    差戻猶予期間が終了すると、5日間の削除期間に入ります。
    この期間中に更新を申請しても、ドメイン名は復活しません。
    いかなる手段を持っても、ドメインを取り返すことはできません。

  • ドメイン開放:削除期間終了後
    誰でも、自由にドメインが登録出来る様になります。
    SEO上、文字列的に価値のあるドメインは、再取得することは困難でしょう。
    他にも使いたいと考えている人がいる高需要なドメインは、バックオーダーにかけて、ドロップキャッチで再取得するのがおすすめです。
    ただし、複数人欲しい人がいる場合、オークションでの入札となり、3000ドル(50万円)や100万ドル(1.5億円)になる事も珍しくありません。

差戻猶予期間中にドメインを売却する

 ドメインを差戻猶予期間中に売却すると、通常よりも高額で売却できる可能性があります。
売却の意思がある場合は、まずドメインレジストラのウェブサイトで確認しましょう。
30日間ある差戻猶予期間中の後ろから4日目~1日目まで、オークションにかけられる事が一般的です。
入札がなされると、更新がかけられ、買い手に対して、ドメイン移管が行われ、リユースドメイン、中古ドメインとして、再利用されます。
もし、廃棄したウェブサイト、ドメインが、第三者が運用する事を好まない場合、更新して、自分の手元に置いておくことをお勧めします。

その他WHOISのEPPステータス一覧

コード 説明
Active 登録済みで、使用可能な状態
Pending Delete 削除待ちの状態
Redemption Period 差戻猶予期間(高額費用で更新可能)
Auto-Renew Grace Period 自動更新猶予期間(通常料金で更新可能。ただしレジストラによっては、高額の場合あり)
Expired 失効
Registrar Hold レジストラによって保留
Client Hold 登録者によって保留
Server Hold サーバーによって保留
Pending Transfer 移管中
Transferred 移管済
Locked ロック状態
Abandoned 放棄されている状態
Unknown ステータスが不明な状態

表を日本語化
出典:ICANN「EPP Status Codes | What Do They Mean, and Why Should I Know?」https://www.icann.org/resources/pages/epp-status-codes-2014-06-16-en

まとめ

 ドメインの有効期限と更新・失効について、ご説明しました。
ドメインには有効期限があり、更新を忘れると失効します。
失効すると、ホームページやメールが使えなくなり、悪意のある第三者に取得される可能性もあります。
この記事では、ドメインの有効期限、更新方法、失効した場合の対処法などについて解説しました。
また、差戻猶予期間中にドメインを売却する方法についても紹介しています。
この情報を参考にしていただき、あなたの大事、大切なドメインを守りましょう。

著者

原案:中澤祐樹
記事:芽衣
構成:中澤祐樹

更新履歴

第1稿投稿 2024年6月19日 21時20分(記事コンテンツアップ)