2026年の原油先物価格をわたしはこう見た|1年前・5年前と比べた記録

2026年原油先物レポート(わたしはこう見た)|アイキャッチ

2026年の原油先物価格をわたしはこう見た
 正直、今年の原油相場は、わたしの想定していた「2026年は緩やかな下落の年」というシナリオを、たった一晩で書き換えてしまいました。1月の時点でブレントが60ドル台前半まで沈んでいたので、年初の自分のメモには「供給過剰で今年は買いづらい」と書いてあったのに、4月20日現在でブレントは95.42ドル、WTIが88.85ドル。年初来でブレントは+56.4%、WTIは+22.5%です。ここまで短期間に想定が崩れた年は、個人的にはコロナ直後の2020年以来だと感じています。このページでは、わたしがリアルタイムで追っていた2026年1?4月の動きを、自分の判断ミスや気づきも含めて、なるべくそのまま書き残してみます。

はじめに|なぜ今、わたしは原油先物に注目しているのか

 原油は、わたしのポートフォリオのなかで直接のポジションは大きくありません。ただ、エネルギー関連株、為替(特にドル円)、そしてインフレ見通しを通じて、間接的に自分の資産の評価額に効いてくる相場なので、毎月のウォッチ対象に入れています。2025年は一貫して下落基調で、年末にかけて「供給過剰だからもうしばらく下」という空気でした。わたし自身、2026年の早い段階で「エネルギー株の押し目を拾えるかもしれない」と準備していたくらいです。その予想が2月末にひっくり返されたので、今回は自分の備忘録として、何が起きたのか、自分ならこの相場にどう向き合うのかを整理しておきます。

わたしが追いかけた2026年1?4月の価格推移

2026年 Brent 月次観察メモ
 1月の初旬、ブレントは61ドルまで下げていました。ここが年初来安値です。正直、この時点でわたしは「もう一段の下げがあるかもしれない」と身構えていたほどで、EIAが公表しているQ1の平均も結果的にはブレント81ドル/WTI 72.74ドルで着地しています。流れが変わったのは2月です。中東情勢の悪化を織り込みはじめ、2月初旬にブレントは一気に72ドルまで切り返しました。その後2月28日、米・イスラエルがイランへの軍事行動に踏み切り、ホルムズ海峡が事実上の閉鎖状態に。ここからの動きは、わたしのチャートメモでもとても記録しきれないほどの急騰でした。3月12日に100ドルの節目を抜け、3月末には118ドルの年初来高値まで到達。WTIも93ドル近辺まで上げましたが、米国の在庫とSPR放出計画が効いて、ブレントとの差は一時25ドルまで拡大します。4月17日にイラン外相がホルムズ再開を発表したタイミングで、ブレントは96ドル付近まで軟化しましたが、4月20日にはまた90ドル台後半に戻してきました。わたしの感覚では、いまの相場は「下げに行きたがる日と、地政学リスクで戻される日が、ほぼ毎日入れ替わっている」ような状態です。

1年前と比べて、何が変わったのか

1年前との比較
 ちょうど1年前、2025年4月16日のブレント終値は67.82ドルでした。そこから2026年4月17日の96.18ドルまで、1年でちょうど+41.81%の上昇です。1年前のわたしのメモを見返すと、当時は「EIAも年平均69ドル、供給過剰で下値は重い」と書いていて、実際2025年は1月79ドル→12月63ドルと下げ続けた一年でした。つまり、2025年の相場観をそのまま引きずって2026年を迎えた人ほど、今年の上昇には追いつけていないはずで、それは他ならぬわたし自身のことでもあります。「供給過剰ストーリー」が、わずか2?3か月で「供給ショックストーリー」に置き換わったわけで、1年前に立てたシナリオを、2月末の段階でもっと早く捨てるべきだったと反省しています。

5年前の自分なら、今の水準をどう見るか

5年スパンで見る原油の立ち位置
 5年前の2021年Q1は、コロナからの需要回復が本格化した時期でした。WTIの月次平均は1月52ドル/2月59ドル/3月62ドル/4月62ドル、ブレントは55/62/66/65ドル、年間平均はブレントで71ドルくらいでした。これを基準にすると、2026年の4月平均はブレントで65→96ドル(+46%)、WTIで62→85ドル(+37%)まで上がっていることになります。5年という時間の幅で見ると、原油相場はコロナ復興→ロシア侵攻による供給ショック→2023?25年の正常化と過剰供給→2026年の中東戦争ショック、と4つの大きな局面をくぐり抜けてきたことになります。わたしの立場でいうと、2021年当時のブレント65ドルは「やっと戻ってきた、安心して拾える水準」という感覚でしたが、2026年の96ドルは「もう安易には拾いにいけない、下げを待つ相場」に感覚が反転しています。この5年で、世界のエネルギー供給が構造的に脆くなったというのが、自分なりの結論です。

わたしが注目する3つの変動要因

3つの変動要因
 相場を動かしている要因を全部書き出すときりがないので、わたしが特に重視している3つだけ整理しておきます。

  • ホルムズ海峡の状況:ここは世界の海上原油取引の約20%が通るチョークポイントです。2月28日以降の事実上の閉鎖がブレント急騰の引き金になりました。4月17日に再開の発表が出て一時的に弛みましたが、停戦が崩れれば一瞬で120ドル超を試す展開もあると身構えています。
  • 米国のSPR放出とシェール供給:上昇を抑えている最大の要因はここだと見ています。3月末にブレント-WTIスプレッドが25ドルまで開いたのは、米国内の在庫・生産能力の厚みを反映した現象で、4月には6.6ドルまで縮まりました。WTIがブレントほど上がらない理由は、ここだけで8割くらい説明できると感じています。
  • OPEC+の姿勢:3月に206,000バレル/日の小幅増産で合意したものの、実態は中東戦争による強制的な減産が主導している状況です。6月の次回会合で、停戦が続けば本格的な増産に傾く可能性もあり、わたしはカレンダーに印をつけて待っています。

 需要サイドは、中国の回復や夏場前の季節需要がプラス、世界景気の減速懸念やドル高、EV普及がマイナス、という整理で自分は見ていますが、いまの相場での支配力は供給サイドのほうが圧倒的に強いです。

今後の見通し|わたしはこう動く

想定シナリオ
 EIAの2026年4月STEOによれば、ブレントは2Qに115ドルでピークを付けたあと、3Qに91ドル、4Qに88ドル、通年平均は96ドルというのが中心シナリオです。2027年は76ドルまで落ち着くという見立てが出ています。わたし自身は、これをベースに以下の3つのシナリオで備えています。

  • 中心シナリオ(確度50%):ブレントはQ2に110?120ドルを試したあと、Q3?Q4にかけて90ドル前後へ緩やかに低下。このシナリオなら、エネルギー関連株は高値から一段調整した押し目で拾う方針です。
  • 上振れシナリオ(25%):停戦の崩壊や再衝突でQ2中にブレントが120ドル超へ。この場合、既存のエネルギー比率を積み増すより、インフレ耐性のある資産(金、エネルギー高配当株、原油連動ETF)の組み合わせにウェイトを移す想定です。
  • 下振れシナリオ(25%):停戦の安定、中国景気の失速、ドル高加速、OPEC+の大幅増産が重なってQ3?Q4に70ドル台前半まで下落。このシナリオはむしろ自分が2025年末に描いていた世界観に近く、エネルギー株の押し目買いチャンスとして捉えます。

対応フロー

 実際にフォローするポイントは、自分のGoogleカレンダーに並べてあります。①中東停戦の持続性、②ホルムズ海峡の航行状況、③6月のOPEC+会合、④米国SPR放出の規模、⑤中国PMI・製造業指標、⑥ドル指数(DXY)、⑦EIA週次在庫統計(毎週水曜発表)。この7点のうち、3つ以上が同じ方向に傾いたときに、ポジションを動かすというのが自分のルールです。

おわりに

 2026年の相場でわたしが学び直したのは、「下げ相場のナラティブを1年越しで引きずってはいけない」ということに尽きます。1月時点のわたしのシナリオは、2月末でもう破綻していました。いまの相場は、高値圏での地政学ボラティリティが当面のメインテーマで、日々の値動きに感情で振り回されるより、自分で決めた7つのウォッチポイントを淡々と追いかけるほうが、結果的に冷静でいられると感じています。次にメモを更新するのは、6月のOPEC+会合の前後になる予定です。

参考にした情報源

  • U.S. Energy Information Administration(EIA)「Short-Term Energy Outlook」2026年4月版
  • EIA「Crude oil and petroleum product prices increased sharply in the first quarter of 2026」
  • EIA「Crude oil prices fell in 2025 amid oversupply」
  • Fortune「Current price of oil as of April 17, 2026」
  • Trading Economics ? Crude Oil / Brent Crude Oil 価格ページ
  • CNBC, Reuters, OilPrice.com によるOPEC+および中東情勢の報道(2026年Q1)

 価格や指標の数値は、公開情報にもとづく2026年4月21日時点でのわたしなりの整理です。原油先物は日次でも大きくブレる相場なので、実際の判断は最新データを必ずご自身で確認してください。このページは、あくまでわたし個人の見方と備忘録を共有する目的で書いています。

更新履歴

第1稿投稿 2026年4月21日 10時00分(記事コンテンツアップ)