第11回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2022) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Korea IGF 2022 ソウル — サムネイル

3行まとめ

Korea IGF 2022 ソウル — 3行まとめ

  1. 2022年7月15日、第11回韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2022)がソウル・汝矣島のイルムセンターで3年ぶりの対面開催(YouTube中継併用)となり、「人中心のインターネット、皆が参加するガバナンス」を掲げて10セッションが行われました。
  2. ロシアのウクライナ侵攻を受けたサイバー安全保障、NFT市場の消費者保護、プラットフォーム独占規制、スマートシティの個人情報、メタバースの人権など、その年の激動を映す議題が並びました。
  3. 戦争とサイバー空間、加熱するデジタル資産市場のルールづくりは日本も無縁ではありません。中堅国としての立ち位置を模索する韓国の議論は、日本の政策議論の格好の比較材料です。

こんにちは、中澤です。この記事は 第11回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2022) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

📍 2020・2021年のオンライン開催を経て、3年ぶりに対面会場へ復帰したハイブリッド開催(09:40〜17:50)

大会の基本情報(公式発表より)

Korea IGF 2022 ソウル — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 第11回 韓国インターネットガバナンスフォーラム(KrIGF 2022)
回次 第11回
会期 2022-07-15
会場 汝矣島イルムセンター(B1ヌリホール・2階教育室1,2、ソウル)、YouTube生中継併用
テーマ 人中心のインターネット、皆が参加するガバナンス(사람중심 인터넷, 모두가 참여하는 거버넌스)
セッション数 10
主催 韓国インターネット振興院(KISA)と多者間インターネットガバナンス協議会(KIGA)など9つの機関・団体・企業が共同開催(共同主管:ガビア、未来インターネットフォーラム、サイバーコマース、オープンネットほか)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Korea IGF 2022 ソウル — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. ウクライナとサイバー安全保障 — 戦争がインターネットに問うもの

取り上げたセッション: セッション8「ウクライナとサイバー安保」

  • ロシアのウクライナ侵攻を受け、2015年のウクライナ電力網攻撃などを例に重要インフラへのサイバー攻撃リスクと、国家だけでなく民間企業・市民社会まで巻き込む戦争の変質が議論されました [3]
  • 国連GGEやOSCEでの規範合意が進まない現状と、「スプリンターネット(サイバーバルカン化)」の加速への懸念が提起されました [3]
  • 中堅国である韓国の戦略的な立ち位置や、規範形成における若い世代とSNSの役割も論点になりました [3]

2. NFT・ブロックチェーンと消費者保護 — 加熱する市場のルール

取り上げたセッション: NFT市場の消費者保護、ブロックチェーン規制、フィンテック・ガバナンス(セッション7)関連セッション

  • 投機的な盛り上がりを見せたNFT市場での消費者保護と、ブロックチェーンへの規制のあり方が独立のセッション主題になりました [1]
  • フィンテック産業をめぐるガバナンス形成の方策も別セッションで扱われ、デジタル資産のルールづくりがこの年の柱の一つでした [1]

3. スマートシティと個人情報 — 「次世代都市」か「新しいパノプティコン」か

取り上げたセッション: セッション9「スマート都市における個人情報の利用と保護」

  • 「2050カーボンニュートラル」とデジタル転換の文脈で、データを中核資源とするスマートシティ建設に伴う個人情報の収集・活用・共有が議論されました [4]
  • 「次世代都市か、新しいパノプティコンか」という問いを軸に、GDPRやCCPAなど海外の規制事例と比較しながらIoT環境のプライバシー保護策を検討しました [4]

4. プラットフォーム独占とメタバースの人権 — 新しい空間のガバナンス

取り上げたセッション: セッション5「プラットフォーム企業に対する規制の方向性」、セッション10「メタバース内の人権拡大の必要性」

  • プラットフォーム企業の独占に対する規制の方向性が正面から議論され、韓国のプラットフォーム規制論の流れを映しました [1][2]
  • メタバース内での人権保障の必要性という当時最先端の論点も扱われ、KISA側はインターネットを「メタバース・スマートシティ・AIなど未来デジタル社会の中核基盤」と位置づけました [1][2]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 3年ぶりの対面開催、何が変わった?

A. 汝矣島のイルムセンターに参加者が実際に集まり、YouTube中継も併用するハイブリッド型になりました。オンライン期に広がった視聴参加の裾野を保ちながら、対面の議論を取り戻した回です。

Q. 一番タイムリーな議題は?

A. ウクライナ戦争とサイバー安全保障です。電力網へのサイバー攻撃や「スプリンターネット」化の懸念など、戦争がインターネットの分断を加速させる現実を、中堅国・韓国の視点から議論しました。

Q. 日本に関係ある?

A. あります。NFTやプラットフォーム規制のルールづくりは日本でも進行中でしたし、重要インフラのサイバー防御は日韓共通の安全保障課題です。

Korea IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Korea IGF 2022 ソウル — Korea IGFの位置づけ

Korea IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2022年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. KISA, 2022년 제11회 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 개최(KISAプレスリリース) — 韓国インターネット振興院(KISA)(参照: 2026-07-11)
  2. 2022년 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF)(開催案内) — 進歩ネットワークセンター(digitaljustice.kr)(参照: 2026-07-11)
  3. [세션8] 우크라이나와 사이버안보(ウクライナとサイバー安保) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  4. [세션9] 스마트도시 내의 개인정보 이용과 보호(スマート都市における個人情報の利用と保護) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)
  5. 2022 한국인터넷거버넌스포럼(KrIGF) 국문보고서/영문보고서(公式報告書・韓国語/英語) — KrIGF事務局(韓国インターネットガバナンスフォーラム公式サイト)(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2022年7月15日 12:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月16日 20:09(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹