RIGF 2019(ロシアIGF・第10回) 詳報 — 議事録ダイジェストと3行まとめ

Russia IGF 2019 モスクワ — サムネイル

3行まとめ

Russia IGF 2019 モスクワ — 3行まとめ

  1. 2019年4月8日、第10回ロシアIGF(RIGF 2019)がモスクワのロッテホテルで開催されました。.RUドメイン誕生25周年と重なる節目の回で、プーチン大統領が祝辞を寄せました。
  2. 「グローバルなウェブの中のロシア」と題した全体会合を軸に、情報の安全と質、新技術、女性ITリーダーの4部構成で議論。Virtuti Interneti賞は『インターネットガバナンス入門』の著者ヨヴァン・クルバリヤ氏に贈られました。
  3. 大統領が「インターネットの自由の原則」を掲げた同じ年、ロシアでは通信網の独立運用を可能にする法整備が進んでおり、祝辞と現実の緊張関係を読み取れる歴史的資料となっています。

こんにちは、中澤です。この記事は RIGF 2019(ロシアIGF・第10回) を、公式発表・議事録・現地報道にあたって整理した詳報です。忙しい方は上の3行まとめと図解だけでも骨子がつかめます。

大会の基本情報(公式発表より)

Russia IGF 2019 モスクワ — 大会 基本情報

項目 内容
正式名称 RIGF 2019(ロシアIGF・第10回)
回次 第10回
会期 2019-04-08
会場 ロッテホテル・モスクワ(2階クリスタル・ボールルーム、ノヴィンスキー大通り8)
テーマ 地域の共通課題
開催形態 対面
表彰 Virtuti Interneti賞はヨヴァン・クルバリヤ氏(DiploFoundation創設者・『インターネットガバナンス入門』著者)に授与
主催 ccTLD .RU/.РФ調整センター(Coordination Center for TLD .RU/.РФ)
特記 RIGF発足10回目・国別ドメイン.RU登録25周年(1994年4月7日登録)

(出典: 文末の出典一覧を参照)

ディスカッション・ダイジェスト(議事録より)

Russia IGF 2019 モスクワ — 議論の見取り図

現地の議事録・セッション記録から、議論の核心部分を抜粋・翻訳してお届けします。

1. プーチン祝辞 — 「自由の原則」とリスク対処の二本立て

取り上げたセッション: 開会セレモニー(4月8日、キリエンコ大統領府第一副長官が代読)

「中澤は今後もインターネットの自由の原則に従い、幅広い情報交換とビジネスの取り組みやスタートアップの実現のための条件を整えていくべきだと確信しています」
ウラジーミル・プーチン大統領(書面祝辞)※英語版公式発表からの和訳 [3][4]

「同時に、サイバー犯罪や、人々の権利と国家の利益を脅かす違法コンテンツの拡散といったリスクと挑戦に対抗することも重要です」
ウラジーミル・プーチン大統領(同祝辞の続き)※英語版公式発表からの和訳 [3][4]

  • 祝辞は「25年前、インターネットが世界を一変させるとは想像し難かった」と振り返り、SNS・遠隔就労・オンライン行政が日常になったと総括した [3][4]
  • 「自由の原則」と「リスクへの対抗」を並置する言い回しは、規制強化と開放性の間で揺れる当時のロシアのネット政策を凝縮している [3][4]

2. グローバルなウェブの中のロシア — 官・国連・IT大手が同席した全体会合

取り上げたセッション: メインパネル「Russia in the global web: successes, challenges, solutions」(10:00–11:30、司会: ソフィー・シェワルナゼ)

  • 国連IGF事務局のチェンゲタイ・マサンゴ、大統領特別代表アンドレイ・クルツキフ、下院のレオニード・レヴィン、スイス連邦通信庁のトーマス・シュナイダーが登壇し、グローバルなガバナンス原則の国内適用を議論した [2][1]
  • Mail.ruのボリス・ドブロデエフ、ヤンデックスのエレーナ・ブニナというロシア2大IT企業のトップが政府・国際機関側と同席した点が、この回の到達点だった [2][1]

3. 情報の安全と質 — 欧州評議会からISOC・中国まで

取り上げたセッション: セッション「Security and quality of information」(15:30–17:30、モデレーター: ロマン・チュコフ)

  • 欧州評議会のパトリック・ペニンクス、ISOCのフレデリック・ドンク、中国科学院の郭峰、独政府のギュンター・グラトヴォールら、立場の異なる国際アクターが偽情報と情報空間の質を議論した [2][5]
  • 国連ハイレベル・パネルの一員として登壇したヨヴァン・クルバリヤ氏が議論を横断的に整理し、同氏へのVirtuti Interneti賞授与と記念講演も行われた [2][5]

4. 女性ITリーダー — 国内IGFでは先駆的なジェンダー・セッション

取り上げたセッション: セッション「Women – leaders of the IT industry: success stories」(13:00–15:00、モデレーター: アンナ・ネステロワ)

  • 上院議員リュドミラ・ボコワ、アルゼンチンのインターネットガバナンス専門家オルガ・カヴァッリ、北マケドニアのニーナ・アンゲロフスカら国内外の女性リーダーが自らのキャリアを語った [2][5]
  • 技術・政策双方での女性の過少代表という世界共通の課題を、国内IGFの正式セッションとして扱った点が2019年時点では先進的だった [2][5]

3分ショートトーク — よくある疑問に答えます

Q. 何が特別な回だったの?

A. 10回目のRIGFと.RUドメイン25周年が重なった記念大会です。プーチン大統領が祝辞を寄せ、大統領府の高官が代読しました。国内IGFに国家元首がメッセージを出すのは世界的にも珍しいことです。

Q. 一番の見どころは?

A. 「インターネットの自由の原則を守る」という大統領祝辞です。この直後の2019年5月に「主権インターネット法」が成立するため、祝辞の言葉と政策の現実のギャップが歴史資料として注目されます。

Q. 日本に関係ある?

A. 国連・欧州評議会・中国・ロシア・米欧企業が偽情報対策を同じ卓で議論した記録であり、その後分断が深まる前の「最後の同席」に近い場面です。マルチステークホルダー対話の意義を考える材料になります。

Russia IGF ってどんな会議?(はじめての方へ)

Russia IGF 2019 モスクワ — Russia IGFの位置づけ

Russia IGFは、地域・国レベルでインターネットガバナンスを議論するIGFイニシアティブのひとつです。

日本の私たちへの影響

この大会の議論は、数年内に日本のデジタル政策・プラットフォームのルール・AI規制に反映 されていきます。2019年大会で確認された方針は、あなたが毎日使うスマホ・SNS・AIサービスの「次のルール」の土台です。

出典・参考資料

  1. RIGF 2019 公式サイト — ccTLD .RU/.РФ調整センター (Coordination Center for TLD .RU/.РФ)(参照: 2026-07-11)
  2. RIGF 2019 Agenda(プログラム・登壇者一覧) — ccTLD .RU/.РФ調整センター(参照: 2026-07-11)
  3. Putin calls for maintaining freedom of Internet — TASS(タス通信・英語版)(参照: 2026-07-11)
  4. Greetings on opening of 10th Russian Internet Governance Forum — ロシア大統領府 (kremlin.ru 英語版)(参照: 2026-07-11)
  5. Президент России Владимир Путин поздравил участников RIGF 2019 с 25-летием Рунета(プーチン大統領がRIGF 2019参加者にルネット25周年の祝辞・露語) — Connect-WIT(参照: 2026-07-11)
  6. RIGF 2019 Press Center — ccTLD .RU/.РФ調整センター(参照: 2026-07-11)

※ 記事中の [数字] は出典番号を示します。


関連リンク

更新履歴

第1稿投稿 2019年6月7日 13:00(記事コンテンツアップ)

第2稿更新 2026年7月17日 12:32(詳報版へ全面改稿:3行まとめ・議事録ダイジェスト・3分ショートトーク・出典一覧・図解を追加(引用は出典実在のもののみ収録))

— 中澤祐樹