灯油362.1リットルで52,975円 ― 国民年金の4分の3が暖房に消える冬

10月9日の朝、灯油の配達がありました。ホームタンクに入ったのは362.1リットル、支払いは52,975円です。納品書を見て、しばらく手が止まりました。

手元に残っているたいせいさんの納品書や請求書をさかのぼると、2017年は1リットル68円(税抜)、2022〜2023年でも105円前後でした。今年の1〜2月は113円。それが今回は税抜133円、税込にすると約146円です。しかも今月中にあと2回値上がりすると聞いています。この記事では、届いたばかりの灯油とホームタンクの写真を並べつつ、この灯油代が年金生活の家計にどれほど重いのかを、ざっくり試算してみます。

灯油362.1リットルの納品書

配達してくれたのは、地元苫小牧の株式会社たいせいさんです。朝7時15分の納品で、いつも早くから回ってくださるので助かっています。

品名は灯油、数量362.1リットル、単価133円(税抜)で金額48,159円。消費税4,816円を足して、合計52,975円です。たった1回の給油で、5万円を超えました。

いつもなら100リットル単位でキリよく入れてもらうところ、今回は362.1リットルという半端な数字です。これは、値上げ前の価格のうちにタンクぎりぎりまで入れておいてくれた、というたいせいさんの心づかいです。今月はこのあと2回の値上げが控えているので、本当にありがたい配慮でした。

001.灯油362.1リットル52975円の納品書

📷 SONY Xperia 1 VIII|3.8mm(35mm換算16mm)|ISO320、F2、1/60秒

灯油362.1リットル52975円の納品書

庭のホームタンクは満タンに

翌日の昼過ぎ、庭に置いているホームタンクを見に行きました。秋の日差しが木漏れ日になってタンクに落ちている。足元の草はだいぶ伸びてしまいました。

白いタンクの正面には「サンライズ」のロゴ。北海道ではおなじみの、脚つきのホームタンクです。

002.庭に置かれた490型ホームタンク

📷 SONY Xperia 1 VIII|6.1mm(35mm換算23mm)|ISO25、F1.9、1/400秒

庭に置かれた490型ホームタンク

003.サンライズのロゴが入ったホームタンク正面

📷 SONY Xperia 1 VIII|3.8mm(35mm換算16mm)|ISO50、F2、1/400秒

サンライズのロゴが入ったホームタンク正面

タンクの上の油量計は、目盛りの一番上「満」を指していました。根元はすっかり錆びていますが、まだまだ現役です。この「満」の一文字に5万円以上かかっていると思うと、見る目も変わります。

004.満タンを指す油量計

📷 SONY Xperia 1 VIII|6.1mm(35mm換算23mm)|ISO40、F1.9、1/125秒

満タンを指す油量計

005.縦位置で撮った満タンの油量計

📷 SONY Xperia 1 VIII|6.1mm(35mm換算23mm)|ISO40、F1.9、1/125秒

縦位置で撮った満タンの油量計

給油口のキャップには「サンライズ産商」の文字が残っています。配達の方はここを開けて給油してくれます。

006.サンライズ産商の給油口キャップ

📷 SONY Xperia 1 VIII|6.1mm(35mm換算23mm)|ISO25、F1.9、1/250秒

サンライズ産商の給油口キャップ

490型ホームタンクの銘板

タンク正面の銘板を近くで見ると「490型ホームタンク」。内容積490リットル、タンク容量440リットルと書かれています。札幌製です。362.1リットル入ったということは、給油前はおよそ80リットル弱しか残っていなかった計算になります。

銘板には「水抜口(年2回以上必ズスル事)」の注意書きもあります。タンクの中には結露で水がたまるので、定期的に抜いてあげる必要があるのです。

007.490型ホームタンクのサンライズ銘板

📷 SONY Xperia 1 VIII|3.8mm(35mm換算16mm)|ISO50、F2、1/200秒

490型ホームタンクのサンライズ銘板

008.タンク容量440リットルと記された銘板

📷 SONY Xperia 1 VIII|3.8mm(35mm換算16mm)|ISO50、F2、1/200秒

タンク容量440リットルと記された銘板

タンクから家へ伸びる送油管

タンクの底からは、保護材を巻いた送油管がくるくると伸びて家の中のストーブへ向かっています。この細い管を通って、冬じゅう家を暖める灯油が流れていきます。

ここを破壊されたら、大変なテロ行為ですね。

009.タンク下から伸びる送油管

📷 SONY Xperia 1 VIII|6.1mm(35mm換算23mm)|ISO25、F1.9、1/200秒

タンク下から伸びる送油管

010.送油管がつながったホームタンク全景

📷 SONY Xperia 1 VIII|3.8mm(35mm換算16mm)|ISO50、F2、1/500秒

送油管がつながったホームタンク全景

灯油代はどれだけ上がったのか

たいせいさんの納品書・請求書は、2017年からスキャンして保存してあります。そこから灯油の単価だけを抜き出してみました(すべて税抜)。住所はマスキングしています。

納品日 数量 単価(税抜) 同じ362.1リットルなら(税込)
2017年11月 200リットル 68円 約27,085円
2022年12月21日 100リットル 105円 約41,823円
2023年12月 200リットル 104円 約41,424円
2026年1月22日 200リットル 113円 約45,009円
2026年2月14日 300リットル 113円 約45,009円
2026年10月9日 362.1リットル 133円 52,975円
仮に今月あと20円上がった場合 ― 153円 約60,941円

2017年の約2倍、今年の冬と比べても1リットル20円上がっています。

※同じ362.1リットルの金額は、比較しやすいよう消費税10%で計算しています(2017年当時の消費税は8%)。

2017年11月は1リットル68円。200リットル入れても、消費税込みで14,688円でした。

D1.2017年11月灯油200リットル単価68円の請求書

🧾 スキャン(2017年11月20日締め・御請求書)

2017年11月灯油200リットル単価68円の請求書

2022年の暮れには105円。この時点で、2017年の1.5倍になっていました。

D2.2022年12月灯油100リットル単価105円の納品書

🧾 スキャン(2022年12月21日・納品書)

2022年12月灯油100リットル単価105円の納品書

2023年12月は104円。ほぼ横ばいで、まだ「高いな」で済んでいた頃です。

D3.2023年12月灯油200リットル単価104円の請求書

🧾 スキャン(2023年12月20日締め・御請求書)

2023年12月灯油200リットル単価104円の請求書

今年の1月と2月は113円。真冬なので、3週間ほどの間に200リットル、300リットルと続けて入れてもらっています。

D5.2026年1月灯油200リットル単価113円の納品書

🧾 スキャン(2026年1月22日・納品書)

2026年1月灯油200リットル単価113円の納品書

D6.2026年2月灯油300リットル単価113円の納品書

🧾 スキャン(2026年2月14日・納品書)

2026年2月灯油300リットル単価113円の納品書

この2回分は、2月20日締めの請求書にまとめて載っていました。1月21日〜2月20日の1か月で灯油500リットル、灯油だけで62,150円(税込)。ガス代と合わせた請求額は64,695円です。同じ500リットルを今の133円で買うと73,150円。国民年金の満額を超えてしまいます。

D7.2026年2月締め灯油500リットル64695円の請求書

🧾 スキャン(2026年2月20日締め・御請求書)

2026年2月締め灯油500リットル64695円の請求書

札幌ではコープさっぽろの灯油が10月1日から1リットル159円となり、道内で過去最高値を更新しました。3月にも20円上がっていて、今年2回目の値上げだそうです。年内に190円まで上がる可能性もあると報じられています。

年金で暮らす人にとっての5万円

では、年金生活の方にとってこの金額はどれくらいの重さなのでしょうか。2026年度の年金額で試算しました。冬の間、毎月今回と同じ362.1リットル(52,975円)を使うと仮定した、かなり大まかな計算です。真冬の我が家は月500リットル使っていたので、実際はもっと厳しくなります。

世帯のタイプ 年金月額(2026年度) 灯油52,975円の割合 残る金額
国民年金のみ・単身(満額) 70,608円 約75% 17,633円
国民年金のみ・夫婦(満額×2) 141,216円 約38% 88,241円
厚生年金・単身(平均的な会社員40年) 約166,671円 約32% 約113,696円
厚生年金・夫婦(国の標準モデル) 237,279円 約22% 184,304円

国民年金の満額は、私が漠然と思っていた65,000円ではなく、今年度は70,608円でした。それでも、ひとり暮らしで国民年金だけという方なら、灯油代を払うと手元に残るのは2万円足らず。ここから食費、電気代、水道代、通院費を払うのは、どう考えても無理です。満額に届かない方はもっと厳しくなります。

厚生年金の標準的な夫婦世帯なら、灯油代は2割ほどで、なんとか吸収できる水準です。とはいえ電気代やガス代も同時に上がっていますし、「何もできない」とまでは言わないまでも、余裕はどんどん削られていきます。

※厚生年金・単身の金額は、標準モデル夫婦の年金額から妻の国民年金分を差し引いた目安です。実際の年金額は加入期間や収入で大きく変わります。

北海道からの支援は年1回2,000円

支援がまったくないわけではありません。昨年11月のたいせいさんの請求書には「北海道からの支援による値引き」として、マイナス2,000円の行が入っていました。対象はLPガスの料金です。今年も同じ支援が届いています。

D4.2025年11月北海道からの支援による値引きの請求書

🧾 スキャン(2025年11月20日締め・御請求書)

2025年11月北海道からの支援による値引きの請求書

ありがたい支援ではあります。ただ、年に1回、2,000円です。灯油は今回の1回だけで52,975円、真冬は月6万円を超えます。正直なところ「ちょっと……」というのが本音です。どうせなら、北海道の冬の暮らしを直接支えている灯油代のほうを補助してもらえると助かります。

おわりに

北海道の冬にとって、灯油は「あると便利なもの」ではありません。命をつなぐための燃料です。寒い地域に暮らす年金生活の方ほど、暖房を我慢するか、食費を削るかの選択を迫られてしまいます。

満タンになったタンクを眺めて少しほっとした一方で、この冬、同じように納品書を前にため息をついている方は多いのだろうなと思いました。年1回のガス代値引きではなく、灯油代そのものへの支援が広がるのか。国や北海道、苫小牧市の動きに、引き続き注目していきます。

撮影機材

  • SONY Xperia 1 VIII(XQ-GE44)

更新履歴

第1稿作成 2026年10月11日 19時52分(記事コンテンツ・写真10点・納品書/請求書スキャン7点)