中澤祐樹のドメインストーリー略歴

2013年10月23日:Key-Systems GmbH(ドイツ法人)のリセラーになった

Key-Systems GmbH(ドイツ法人)
 2013年に、ドイツ法人のKey-Systems GmbHの再販業者(リセラー)として、契約を行いました。
社長のAlexander Siffrinとは、10年近く懇意にさせてもらっていたため、卸価格も破格で提供してもらいました。
リセラーとしては、.comドメインの卸値は、通常15ドルあたりのところを、約8ドルで卸してもらいました。
再販とは、gTLDである、.comや.net、.orgなどのドメインを指します。

2014年7月18日:JPRSとレジストラ(指定事業者)の契約を行う

JPRSスクリーンショット
 JPRS(日本レジストリサービス)との付き合いも、10年以上あります。
顔なじみと言う事もあり、申請を行って、スムーズにレジストラ指定を受けました。
なお、JPRSでは、レジストラの事を、指定事業者と漢字表記します。

2014年9月1日:JPドロップキャッチ開始

 友人であるダーシャンが経営する株式会社WIXIからの依頼で、JPドメインのドロップキャッチを行うようになりました。
ここから、急速にドロップキャッチのシステム開発や管理を全てWIXIから依頼されるようになりました。

2014年12月7日:アクセライトから、JPドメインのドロップキャッチ依頼を受ける

 株式会社アクセライトの坂谷さん(現ラッコ株式会社)から、JPドメインのドロップキャッチの依頼を個別に受けました。
メールで連絡をもらい、Skypeや電話でやり取りし、意気投合しました。

2014年12月24日:ドメインサービス事業を開始が決まり、協業する

 アクセライト坂谷さんと協業で、

  • ライトセンドは、ドメインサービスを提供、ドロップキャッチで中古ドメインを調達する
  • アクセライトは、中古ドメイン販売屋さんで中古ドメインを販売

という中身で、一緒に道を歩む事になりました。

2015年2月17日:gTLDのドメイン(.com, .net, .orgなど)のドロップキャッチ開始

 Key-Systemsのレジストラ回線を使い、ドロップキャッチを開始しました。
当時は、一般リセラーに対して、ドロップキャッチが行えるドロップゾーンの時間に、ドメインの登録申請が行うことが出来ました。
今は、制限がかけられており、ほぼ使えないに等しいです。

2015年6月28日:「ウルトラドメイン.JP」サービス開始

ウルトラドメインスクリーンショット(オープン当時)
 ドメインサービス事業者としての「ウルトラドメイン.JP」(通称:ウルトラドメイン)のサイトがオープンしました。
半年以上かけて、坂谷さんと連日数時間の通話しながら、一緒に作業を行いました。
仕事上のパートナー以上に、猫の話をしたり友人としての側面もかなり強くなりました。
中澤も坂谷さんも、当時は、一緒にデザイナー、プログラマーとして、共同で、ウルトラドメインを制作しました。
顧客向けの導線を考える能力は、当時は坂谷さんの方は上で、今となっては貴重な体験として、良い思い出です。

2015年9月29日:ライトセンドでICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)にICANN-Accredited Registrar(ICANN公認レジストラ)申請

ICANNトップページ
 ライトセンド株式会社の名義で、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)にICANN-Accredited Registrar(ICANN公認レジストラ)申請しました。
友人のダーシャンのWIXIに協力支援をしてもらいました。
ICANNのレジストラ申請において、管理ドメイン数が10万件必要など、諸条件が必要となります。
そのため、再販事業者(リセラー)として、契約者数を増やしてから、1次問屋、卸となるレジストラになる申請を行う必要があります。

 ちょうど良い事例が、楽天モバイルが、MVNO(仮想移動体通信事業者)として、300万契約以上獲得しました。
そして、ドコモ、AU、ソフトバンクに追従して、MNO(移動体通信事業者)になるべく総務省に申請し、MNOになりました。

 レジストラも、完全に同じ概念です。
携帯電話という身近なものに例えられますので、非常に分かりやすい事例かと思います。

 楽天モバイルも、300万件の契約において、赤字で契約数水増しや、同業他社を買収の上、契約数を総務省既定のラインまで達しました。
レジストラも同様で、企業買収やM&Aなどで、管理ドメイン数を増やし、10万件以上必要とされる諸条件をクリアする必要があります。

 レジストラになるために、一般的にハードルがたくさんあります。

  • 費用的な問題(10万件×15ドル=150万ドル/年)の費用を工面、及び顧客に提供
  • 卸値15ドルで販売価格が2,500円では、誰も見向きしてくれない(当時.comドメインは、1,000円前後だった)
  • 英語の申請書類100ページ程度作成
  • 難解なICANN規約や申請ガイドラインの読解力
  • 国際的な法務問題

など、多数が上げられます。

 私は、友人であるAlexにお願いして、たまたま8ドル(原価+40セントくらい)で仕入れさせてもらったので、費用的な問題は、大幅にクリアできました。
英語のドキュメントは、WIXIのSteve(今では、HubNamiで同僚)が頑張って作成してくれいました。
Steveは、ニューヨークでドメイン関係の仕事をしていた人物で、得意な作業だったでしょう。

 国際的な法務問題は、中澤自身で、メンタルが非常にダメージを受けましたが、自力で何とかしました。
英会話は、日常生活で困ることはありませんでした。
ですが、六法全書を日本語で、熟読するのは、日本人であっても困難です。
国際的な契約書は、その英語版に該当します。
使った事もない単語を英英辞典で、調べて、読解する日々でした。
これを外注で、米国などにオフィスを構えている日本人国際弁護士に依頼すると、1,000万円以上の金額が飛んだかもしれません。
当時は、非常につらかったですが、これも良い経験だったと思います。

2016年2月9日:ドロップキャッチ用3社でICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)にICANN-Accredited Registrar(ICANN公認レジストラ)申請

 約半年遅れながら、残りの3社に関して、ICANNのレジストラ申請を行いました。
管理ドメイン数や書類作成の都合により、一気にとはいかなかったためです。

2016年6月24日:ICANN認定レジストラになる(ICANN Accredited Registrars)

ICANN List of Accredited Registrars
 ライトセンドで、ICANNのレジストラ認定がなされました。
無事に契約書面の締結が完了しました。

2016年7月15日:Verisign Incに契約申請

 .comと.netを管理しているVerisign Incに契約の申請を行いました。

2016年7月15日:Afilias p.l.cに契約申請

 .infoを管理しているAfilias p.l.c(現IdentityDigital)に契約の申請を行いました。

2016年7月21日:PIRに契約申請

 .orgを管理しているPIRに契約の申請を行いました。

2016年7月21日:Neustarに契約申請

 .bizを管理しているNeustarに契約の申請を行いました。

2016年7月26日:Afilias p.l.cと契約完了

 .infoを管理しているAfilias p.l.cと契約完了しました。

2016年10月13日:PIRと契約完了

 .orgを管理しているPIRと契約完了しました。

2016年10月18日:Neustarと契約完了

 .bizを管理しているNeustarと契約完了しました。

2017年1月20日:Verisign Incと契約完了

 .comと.netを管理しているVerisign Incと契約完了しました。

2016~2017年:レジストラとしての業務開始する

 以下の時系列で、レジストラとしての業務を開始しました。

2016年11月10日:.orgのレジストラとしての業務開始

 .orgのレジストラとしての業務開始しました(PIR)。

2016年7月26日:.infoのレジストラとしての業務開始

 .infoのレジストラとしての業務開始しました(Afilias p.l.c.)。

2016年10月18日:.bizのレジストラとしての業務開始

 .bizのレジストラとしての業務開始しました(Neustar)。

2017年2月21日:.comと.netのレジストラとしての業務開始

 .comと.netのレジストラとしての業務開始しました(Verisign Inc)。

2017年2月18日:ドロップキャッチ3社のICANN認定レジストラになる(ICANN Accredited Registrars)

 ドロップキャッチ3社で、ICANNのレジストラ認定がなされました。
無事に契約書面の締結が完了しました。

2017年9月1日:ドロップキャッチ3社で、.comと.netのレジストラとしての業務開始

 ドロップキャッチ3社で、.comと.netのレジストラとしての業務開始しました(Verisign Inc)。

ネームスクリプト坂谷さんとの協業解消

 ようやくレジストラとして、ドロップキャッチが出来る状態が、揃いました。
これから、ネームスクリプト(アクセライトの商号変更後の社名)の坂谷さんは、利益を享受する予定でした。
ただ、坂谷さんの別の仲間とテミスホールディングスを組織するという理由で、提携が解消となりました。
ライトセンドや中澤に落ち度はないとの事で、良い形、円満なフェードアウト、お別れとなりました。

  • 株式会社ラベンダーマーケティング 芳賀麻奈穂さん(2023年3月現在第三者に事業譲渡された様子)
  • 株式会社ナレッジアーク 寿倉歩さん(2023年3月現在廃業している様子)
  • 株式会社ネームスクリプト坂谷泰翔さん

の3名で、総合SEOカンパニーを作るというものでした。

 協業が解消された後も、定期的な連絡は行っておりました。
テミスホールディングスから、ウルトラドメインの買収のご提案などもありました。
良く私のブログで出没する「新横浜プリンスホテルROSSO」という喫茶店でお話しました。
参加者:坂谷、芳賀、寿倉、中澤

 芳賀さんは、経営者として、上場させたことがある程度の能力を持っている方でした。
そのため、諸条件が、かなり厳しかったので、見送りました。
簡単に言うと、従属せよ、奴隷になれ、という提案内容でした。
なお、芳賀さんは、テミスホールディングスの代表取締役です。

 その後、テミスホールディングスは、解散し、代表には、坂谷さんが就任しています。
通話で聞いている内容から、事業化が出来ていないのに、役員報酬を毎月500万円取っていくところに相当不満をお持ちの様でした。
赤字を垂れ流しながら、芳賀さんは、シンガポールにお住まいという状況で、話を聞いている身からしても、不憫だなと思っていました。
最後に、坂谷さんがお金で解決したと、おっしゃっていました。
坂谷さんも苦労が絶えないなと思っています。
陰ながら応援はしております。

自前で、上場会社のドメインサービスに立ち向かうのは分が悪い

 提携先のネームスクリプトとの関係が、円満終了したと言う事で、事業の戦略を再考する必要が出ました。
元々、SEO事業者向けにSEOプラットフォームを提供していた身です。
SEO事業に着手しました。

 それとは、別に、自前で中古ドメインを販売し、管理ドメイン数増加やICANNライセンスを活かすことを考えました。
元は、坂谷さんが始められた中古ドメインビジネスではありますが、ICANNライセンスの維持費には多大なコストがかかります。
活かす必要があり、恩義はありますが、同種のサービスを行うため、試行錯誤しました。
その試行錯誤の末、ウルトラドメインから切り離し、リユースドメインとして、現在に至ります。
中古ドメイン販売屋さんとは、販売しているドメインの品質種類の差と顧客層が、かなり異なります。
そのため、バッティングはしていないのが、今も私は友人と思っているので、懸念にならないところが良いです。

あとがき、引用について

 各種企業のスクリーンショットは、該当企業のHPより引用させていただいております。
一部過去のスクリーンショットは、WayBackMachineより、取得掲載しております。

更新履歴

第1稿投稿 2023年3月12日
第2稿交信 2023年4月22日(アイキャッチ画像修正変更)