「いつ公開したか」を第三者の台帳に残す無料ツール DateSealed を公開しました

English version: DateSealed: A Free Way to Record When You Published Something, Without Uploading It

私は写真を撮り、SEO の仕事もしています。どちらの仕事でも、必ず来る嫌な場面があります。自分の写真や記事が他人のサイトに載っているのを見つけたとき、「先に公開したのは自分だと示せますか?」と聞かれることです。

正直に言うと、答えは「だいたいは」になりがちです。CMS の日付は書き換えられます。ファイルのメタデータも、スクリーンショットも書き換えられます。必要なのは、自分以外の誰かが、後から書き換えられない形で書き留めた記録です。

そこで作ったのが DateSealed です。文章、写真、ウェブページが「いつ存在していたか」を記録し、その記録を私自身にも書き換えられない場所に残す、無料のツールです。

既存のサービスを使わなかった理由

きっかけは、私が経営している不動産会社の物件写真でした。写真を改ざんされたり、他のサイトに盗用されたりしないようにしたくて、まず日本にあるものを調べました。2026 年 11 月時点で、見つかったのは次のとおりです。

  • 公証人の確定日付。 紙の文書に公証人が日付を押します。1 件 700 円です。同じ手数料で電子版(電子確定日付)もありますが、対象はテキスト・PDF・XML の 10MB 以下のファイルだけで、法務省のオンライン申請システムを平日に使い、事前に公証役場へ連絡します。契約書には向きますが、次々に増える写真や記事には向きません。
  • 文化庁の著作権登録。 第一発行(公表)年月日の登録は 1 件 3,000 円で、その日に公表されたと推定される効果があります。公表後に、1 作品ごとに書面で申請します。
  • 総務大臣認定のタイムスタンプ。 料金は法人向けです。たとえば、ある事業者は月 1,000 回で 120,000 円、別の事業者は月 1,000 回で 8,800 円です。メールに添付して付ける再販サービスには、月 5 件まで無料・それ以降 1 件 40 円のものもありますが、企業向けの案内です。
  • ブロックチェーン系。 日本で見つかったのは法人向けでした。トヨタの企業記録向けサービスと、テックビューロの月 500 円からの保管サービスです。海外発のブラウザ拡張 ProofSnap は、ウェブページの保全とファイルのハッシュをビットコインに刻みますが、10 件で約 5 ドルからで、無料プランはありません。
  • カメラ内署名(C2PA)。 ソニー、ニコン、キヤノンの一部の機種は、撮影時に写真へ署名します。これは「どこから来たファイルか」を示すもので、「いつ公開したか」とは別の問いです。両方そろうと強くなります。

どれも役に立つものですし、DateSealed のページでもそう書いています。見つけられなかったのは、私が欲しかった組み合わせでした。無料で、登録が要らず、ハッシュをブラウザの中で作るので何もアップロードされず、記録が運営者にも書き換えられない場所に残り、WordPress プラグインで公開のたびに自動で付く。だから自分で作りました。

仕組み

  1. ブラウザの中でハッシュを作ります。 SHA-256 のハッシュは、ファイルや文章の 64 文字の指紋です。計算はあなたのブラウザの中で行うので、写真や記事はアップロードされません。
  2. すぐに時刻署名が返ります。 DateSealed 自身の時刻署名局が署名した、標準の RFC 3161 の時刻署名です。
  3. 同時に、ビットコインにも刻みます。 ハッシュは OpenTimestamps の公開カレンダーに送られ、数時間以内にビットコインのブロックに書き込まれます。以後は、DateSealed が無くなっても、ビットコインの台帳だけで日付を確かめられます。

大事なのは 2 つ目の層です。私が署名した時刻署名は、私を信用できる範囲でしか信用できません。ビットコインのブロックは、私にも書き換えられません。

できないこと

期待を間違えると困る人が出るので、ここは正確に書きます。

  • 記録が示すのは、このハッシュに対応するデータが、その時刻には存在していたことだけです。内容が正しいこと、あなたが作ったこと、権利を持っていることは示しません。
  • 法的効力を保証するものではありません。 日本で制度上の位置づけを持つのは、総務大臣の認定を受けた事業者のタイムスタンプです。それが必要な場面では、認定事業者をご利用ください。
  • DateSealed は、手早く安く作れる証拠の一つとして、ほかの証拠と並べて使うものです。それ以上のものではありません。

使い方は 4 つ

  • 文章を貼るか、ファイルを選ぶ。 トップ画面で、ハッシュはブラウザの中で作ります。
  • ページの URL を入れる。 サーバーが公開ページを 1 回取得し、本文(メニューやフッター、広告枠を除いたもの)のハッシュと、生 HTML のハッシュの 2 つを記録します。残すのはハッシュと URL だけで、内容は保存しません。ページ自身が示している日時も記録ページに載せますが、確認はしていないと明記しています。
  • WordPress プラグイン。 公開・更新のたびに、あなたのサーバーの中で記事のハッシュを作り、ハッシュだけを送ります。更新のたびに新しい記録を作るので、最初の公開の記録が上書きされることはありません。PHP 8.2 以上が必要です。
  • API。 POST /api/v1/proofs に {"sha256": "..."} を送るだけです。説明は datesealed.com/api にあります。

私を信用しなくても確かめられます

記録ページから、.tsr(署名された時刻署名)、.ots(ビットコインの証明)、証明書をダウンロードできます。自分のパソコンで検証できます。

openssl ts -verify -digest <sha256> -sha256 -in <id>.tsr -CAfile ca.pem
ots verify <id>.ots

ルート証明書の SHA-256 指紋は 64:D0:D6:F2:89:BE:13:FC:98:D7:73:27:FE:D7:80:47:E0:C3:0D:09:F6:36:41:83:0E:7D:21:D7:CA:B9:82:2B です。ルート鍵は私のパソコンで作り、私だけが知るパスフレーズで暗号化してあり、サーバーには置いていません。サーバーにあるのは、時刻署名用の鍵だけです。

プライバシーと制限

  • 保存するのは、ハッシュ、記録の時刻、証明ファイルです。URL を入力した場合は、その URL も保存しますが、公開ページには出しません。IP アドレスは、塩付きのハッシュにして 30 日だけ保持します。
  • Cookie は使いません。
  • 制限は、1 つの IP アドレスあたり 1 時間に 10 件、1 日に 50 件です。URL の入力は 2 件ぶんに数えます。ページは 2MB まで取得します。JavaScript で本文を描くページは、生データのハッシュだけになります。
  • 20 言語に対応し、英語が既定です。翻訳は機械の助けを借りているので、おかしな文を見つけたら教えてください。

試してみてください

datesealed.com/ja/ を開いて、文章を 1 つ貼り、ボタンを押してみてください。数秒で終わり、何もアップロードされません。

DateSealed はライトセンド株式会社が運営しています。どこで壊れるか、次に何ができてほしいかを聞かせてください。とくに、「どちらが先か」の言い争いを経験した写真家やブロガーの方の声を聞きたいです。

筆者について

中澤祐樹(nkzw.jp)


2026.11.02 / written by 中澤祐樹

更新履歴

  • 第1稿投稿 2026年11月2日 22時07分(記事コンテンツアップ)