2026年5月18日、三井住友銀行の社員を名乗る人物から、私の会社あてに「海外からの組み戻し(払い戻し)の件で確認したい」という電話がかかってきました。話し始めから違和感があり、スマホの詐欺アラート(詐欺ウォール)が鳴り止まなかったので、その場で録音しながら対応しました。
経緯としては、相鉄法人エリアの本物の営業担当である稲山さん(045-311-7970)から事前に「海外取引について連絡が入る可能性がある」と聞いていたのですが、稲山さんは5月15日まで海外出張で連絡が取りづらいタイミング。そこを突くように、03-5441-8704 という三井住友としては電話帳に登録のない番号から「組み戻し処理のため確認したい」と電話が入りました。話を聞いていくと、本物の銀行員ではあり得ない要求が次々と出てきて、典型的な特殊詐欺だと分かりました。
本記事では、その電話の流れを記録し、同じ手口にあたっても被害に遭わないよう、私が実際に使った撃退ポイントをまとめます。三井住友銀行の名前と営業担当者の名前そのものが、詐欺師の道具として悪用されているという構図がそこにあり、同じ電話が今この瞬間にも他の会社にかかっている可能性は十分にあると感じています。
0.アイキャッチ_振り込み詐欺の警鐘
今回の電話の特徴を一言で言えば、「事前に取引銀行・営業担当の名前・取引内容を握ったうえで、本物の担当者が動けないタイミングを狙って踏み込んでくる」というものでした。これは個人の振り込み詐欺というより、法人を狙った「ビジネスメール詐欺(BEC)」の電話版に近いものです。
0.アイキャッチ_振り込み詐欺の警鐘
1.組み戻し詐欺の手口
相手の話の組み立てを聞いていると、明確に「型」がありました。海外送金の「組み戻し(払い戻し)」という、ふだん使わない銀行用語を権威付けに使い、本物の営業担当の名前を出し、最終的にマイナンバーカード・免許証・社員証・戸籍謄本という本人確認資料の「フルセット原本」を私に郵送させようとしてくる流れです。
この4点セットは、本来銀行が顧客に求める性質のものではありません。口座開設の本人確認ですら原本郵送ではなくコピーで足りる時代に、原本一括送付を求めるのは、奪取後に別人名義で口座開設・カード発行などができる「フルセット」を狙っていると考えるのが自然です。下の図は、この詐欺の進み方を5ステップで整理したものです。
1.組み戻し詐欺の手口
特に質が悪いのは、ステップ1と2です。ステップ1で「相手が私の取引銀行・担当者・案件を既に知っている」ため、最初の自己紹介の段階では本物にしか聞こえません。さらにステップ2で「本物の担当者が物理的に確認できないタイミング」を選んでくるので、こちらは「本人確認したくてもできない」状態に追い込まれます。詐欺師側がここまで段取りを組んでいる時点で、個人犯ではなく組織的な準備があると見るべきです。
2.詐欺電話を見破る撃退ポイント
通話中、私はまずスマホの詐欺アラートを信用しました。今回はサリダ、サリダと連呼する独特の警告音が鳴り、画面には「この電話は詐欺です。すぐに電話を切ってください」「詐欺行為をやめてください」というメッセージが出続けていました。電話の向こうのトークがどれだけ整っていても、端末側がここまで断言しているなら、まず警戒を優先します。
次にやったのは、相手に本人確認資料を逆に要求することです。「あなたが本物の三井住友の社員なら、マイナンバー・免許証・戸籍謄本・社員証の写しを弊社に送ってください。こちらが口座を開くときには同じものを提示するのだから、銀行員を名乗るならそちらも同じことをするのが企業コンプライアンスとして当然」と返しました。本物の銀行員にこれを言うと、まず怒らずに筋を理解してくれるはずですし、詐欺師には絶対に出せない要求です。
2.詐欺電話を見破る撃退ポイント
通話の最後には、「以後の連絡は稲山さん経由でお願いします。この番号は着信拒否し、警察に届け出ます」と宣言してから切りました。本物の担当者という「正規ルート」をこちらから一本に絞ることで、相手の入る隙がなくなります。詐欺師は焦らせて即決させたいので、こちらは時間軸と窓口の主導権を取り返すのがコツです。
3.実際の通話で起きていたこと
以下は、実際の通話録音から要点を時系列でまとめたものです。生の文字起こしは前後の重複や相づちが多いため、本人確認資料の要求と私の切り返しを中心に整理しています。
- 相手(自称SMBC社員):「海外からの組み戻しの件で受付銀行に理由を確認している。ご依頼人様からの申し出という形で、引き出しのご予定だったか」
- 私:「うちはお客様が数万人いる。その中の一社がサービスを使ったうえで返金しろというのは到底受け入れられない」
- 相手:「今、詐欺ウォールがすごく鳴ってしまっているのは聞こえているが、組み戻しの理由を確認するために、あなたの免許証・社員証・マイナンバーカード・戸籍の原本をまず弊社に送ってほしい。それでないと振り込みを止めることはできない」
- 私:「私のですか? あなたが本物の銀行員かどうか私には分からない。マイナンバーと免許証の写しと、戸籍謄本、社員証のコピーをそちらが先に送ってください。それからじゃないと話はできない」
- 私:「スマホでは『この電話は詐欺です。すぐに電話を切ってください』『詐欺行為をやめてください』とずっと鳴っている。そちらには聞こえていないか?」
- 相手:「こちらには聞こえていないが…」
- 私:「企業に対してお金を振り込めという手口は最近流行っている。スマホも頭が良くなっているので警告が出ている。仮に400万も誤送金したら株主総会で問題になる。企業コンプライアンスとしてあなたに本人確認書類の提示を求めるのは当然です」
- 私:「この番号は三井住友という名前で電話帳に登録されていない。怪しいので、この4点が送られてこない限り私は一切行動しない。以後は稲山さん経由で連絡してください。この番号は着信拒否します。警察にも届けます」
- 相手:「ちょっと上司に報告してからご案内します」「失礼します」
この会話の異常さは、詐欺師が「本人確認資料の原本郵送」を依頼する側になっている点に集約されます。本物の銀行は、顧客に対して原本一括送付を求めません。「相手が立場を逆転させようとしてきたら詐欺」という、シンプルな見分け方として覚えておくと安全です。
おわりに
今回のケースでは、詐欺師が三井住友銀行のブランド・営業担当者の名前・取引内容まで予習したうえで電話してきている点が最も恐ろしい部分でした。これはもはや「うちの会社の取引情報がどこかから漏れている」前提で動かないと危険な水準です。
被害に遭わなかったのは、(1)スマホの詐欺アラートを信じた、(2)逆方向に本人確認資料を要求した、(3)通話を録音した、(4)本物の担当者(稲山さん)経由ルートに窓口を絞った、(5)着信拒否と警察通報を予告した、という5点の積み重ねでした。どれも特別な知識は要りません。電話を切る・録音する・第三者に相談する、この3つを徹底するだけで、詐欺師が成立させたい「即決」シナリオは崩れます。
私のところには結果的に被害は出ませんでしたが、同じ手口で三井住友銀行の名前を悪用された電話が他社にもかかっている可能性は高いと見ています。もし類似の電話を受けた方がいたら、その場で署名押印せず、必ず面識のある銀行担当者の固定電話に折り返してから判断してください。電話帳に登録のない番号からの「○○銀行です」は、まず疑うところから始めるのが安全です。
通話・録音環境
- 着信端末:スマートフォン(標準通話アプリ+詐欺アラート機能)
- 録音:着信側スマートフォンの通話録音機能(WAV形式)
- 文字起こし:faster-whisper large-v3(ローカルGPU処理)
- 関連電話番号:
- 相鉄法人エリア:045-311-7970(本物の三井住友銀行 営業担当・稲山さん)
- 詐欺発信元:03-5441-8704(着信拒否済み)
更新履歴
第1稿投稿 2026年5月18日 15時30分(電話通話録音から記事化、図解3点添付)
、稚内空港、オロロンラインで苫小牧へ移動_96.夕陽の方向へ続く2本の廃線レール_A7C03460.jpg)